異世界食堂でジャガイモしかない《写真あり》
「さあ、そろそろ店を閉めるか…」
今日もよく頑張ったとレジの小銭を想像しながらシャッターに手を伸ばした時、店の脇にある草むらから声がした。
「…J'ai faim.…」
腹減った?
声がした方をおっかなびっくり見てみると、かっこいい…いや、かっこいいかもしれないけどそれよりちょっと汚い人が倒れていた。
「…J'ai faim.…Je meurs de faim.…」
「なにぃー?お腹が空いて死にそうだってぇ?
うーん…今、ジャガイモしかねーなー」
。。。
異世界に行った時、よくこんなシチュエーションありませんか?
あるある、ほんと困るんですよねー
でも!ご安心下さい!
食材はジャガイモ一つだけで、倒れていたフランス人を満足させることが出来るんです!
♪〜
全裸の天使人形が踊っている間、3分でクッキングです。
ジャガイモは、洗って皮を剥き細い千切りにします。
水に晒してはいけません。
でんぷんが要です。
千切りに出来るスライダーで下ろして、断面をガリガリにする方がベストですが、包丁でも構いません。
フライパンに油を熱し、そこにホットケーキのようにジャガイモを丸く落とします。
塩をふって、千切りのジャガイモがでんぷんでまとまってくっつくように、ぎゅうぎゅうと押し付けながら焼きます。
白っぽいジャガイモが透明になれば火が通った合図です。
ひっくり返して両面カリカリになるまで焼きます。
♪ピロピ、ピロピ、ピロピ…
3分以上経っていますが出来ました。
これだけです。
パラパラと粗挽きの胡椒をかければ、フランスの屋台などでも売られているジャガイモのガレットの出来上がりです。
表面はカリカリ、中はしっとり。
フランスにはこれにチーズが入ったモノもあるそうです。お好みのトッピングを探すのも楽しそうですね。
主食にも、おやつにも、ビールやワインのお供にも。
「Allez, profitez-en !」
(さあ、どうぞ召し上がれ!)
出来上がったガレットをフライパンのまま、どんっとテーブルに置くと、先程まで死にそうだったフランス人は目を輝かせて
「アリガトウゴサイマス。イタダキマス」
日本語でそう言った。
「おまっ!日本語上手いな!」
「マーネ」
そう言ってウインクなんかしてる。
私はグラスにワインを3センチくらい入れ「こっちは奢りだよ」と、ウインクをした。
倒れていた人だからといって、食事をタダで提供したら、翌日から店の前にたくさんの人が倒れている事になるでしょう。
拙い文章、お読み下さりありがとうございました。