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地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~  作者: 出雲大吉
第6章

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第195話 帰ろう


 王様に確認しにいったアルクはしばらくすると、王様を連れて戻ってきた。


「アルクを連れてフィーレに帰るんだって?」


 王様が早速、聞いてくる。


「ポーションの量が多くてね。とりあえず、今ある分を渡すからそれで精算をお願い。アルクは…………なんかフィーレに行きたいらしい」


 主な目的は食べ物だろう。


「うむ。わかった。まあ、アルクは転移魔法があるからどうとでもなる」


 そういや、そんな便利なのがあったな。


「ウチは2部屋しかなくて同居人がいるからダメだけど、ヨシノさんが泊めてくれるってさ」

「そうか。ヨシノ、すまんが、頼む」

「任せて。部屋は余ってるし」

「うむ。礼はする…………さて、精算だったな。では、ポーションを出してくれ」


 俺はそう言われたのでポーションを出していく。


「多いな…………」

「ねえ、全部で軽く1000は超えるんだけど? アイテム袋ごとを渡すからそっちで数えてよ。金は後日でいいからさ」

「そうするか…………では、アイテム袋をくれ」

「えーっと、これはレベル1の回復ポーションでー、これがレベル2ね。これがキュアポーション…………」


 俺は本当に多いなと思いながらも小分けしておいたカバンを王様に渡していく。

 王様はカバンを受け取ると、すぐにその場で消していった。


「ねえ、収納魔法って、中身が入ったアイテム袋も収納できるの?」

「ああ、できるぞ。そういえば、アイテム袋にアイテム袋は入れられなかったな」


 収納魔法っていいなー。


「羨ましいもんだわ。はい、これが最後のやつ。翻訳ポーションね。性転換ポーションはアルクに渡せばいい?」


 俺は最後のアイテム袋を渡すと、王様に聞く。


「ああ、そうしてくれ」


 王様がアイテム袋を魔法で収納しながら頷いた。


「ん? TSポーションも売るのか?」


 昨日の話をまったく聞いていないヨシノさんが聞いてくる。


「ええ。昨日の夜、そういうことになったわ。詳しい話は後でアルクから聞きなさい」


 どうせ泊まるんだからその時に聞けばいいだろう。


「うーん、そうするか…………ところで、帰りはどうするんだ?」

「あ、僕の転移魔法で連れていくよ。どうする? 帰る?」


 前回もそうだったが、アルクの魔法のようだ。

 しかし、もし、王様やアルクが死んだら俺とヨシノさんは一生、フロンティアにいることになっちゃうわけか。

 嫌だな……

 まあ、そもそもこの屋敷から出られずに餓死か……


「待ちなさい。おみやげのお菓子を持って帰るわ。気が利かないわね」

「君、本当に図々しいね」

「昨日、あんなにリンゴジュースとビールをあげたでしょうが」


 昨日、話が終わったから寝ることにしたのだが、別れ際にこの親子に要求されたのだ。


「ああ、そうだ。アルク、フィーレに行くんだったらビールを買ってきてくれ」


 王様がついでに要求する。


「はいはい、わかったよ。ちょっと待ってね。ミーアと取りに行ってくるよ」


 アルクはそう言うと、ミーアと共に消えていった。


「王様、アルクを連れていって、本当にいいの? あの子、唯一の王位継承者でしょ」


 俺はアルクがいなくなったので王様に聞いてみる。


「さっきも言ったが、あの子には転移魔法があるからまず問題はない。どこにいようとすぐに帰ってこれるからな。それにあの子には次の王としてフィーレを見てほしいと思っている」

「次の王としてって?」

「私は王としてフィーレとフロンティアの接触を禁じた。だが、次の王がこれをどうするかは次の王の判断になる。だからアルクにはフィーレに行き、フィーレを見て、どうするかを判断すべきなんだよ」


 王が変われば本格的に交流が始まることがあるのかもしれないのか。

 もしくは逆に完全にゲートを閉じる可能性もあるわけだ。


「私は交流はやめた方が良いと思うわよ。だって、フロンティア呼ばわりだもん」


 フロンティアを開拓する気満々。


「私もそう思う。自分達の世界をこう言うのもなんだが、戦争ばかりであまり良い世界ではない」


 だよね。


「それはこちらも同じことだな。まあ、その辺も含めて見てこいってことだ。知らなければ何も出来ないし、してはいけない。間違った判断をすれば、国民が不幸になる」


 あの楽観的なアルクにそれができるのだろうか?


「まあ、気にかけてはあげるわよ。お得意様だし」

「そうだな」


 俺とヨシノさんは頷き合う。


「頼む」


 王様が頭を下げてきた。


「持ってきたよー。これでいい?」


 俺達が話していると、カゴいっぱいに入ったお菓子を持ったミーアと同じくお菓子が入ったカゴを持ったアルクが戻ってきた。


「ご苦労」

「いやー、悪いね。お返しにあっちで奢ってあげるよ」


 俺とヨシノさんはカゴを受け取ると、それぞれのカバンに収納する。


「じゃあ、行こうか」

「アルク様、お気をつけて」


 ミーアがうやうやしく頭を下げた。


「アルク、おみやげを忘れるなよ」


 王様はこのセリフのせいでさっきのいい言葉が台無しだ。

 ビール目的にしか思えなくなった。


「うん、行ってくるね。2人共、準備はいい?」


 アルクは王様とミーアに向かって頷くと、俺とヨシノさんに聞く。


「いいわよ」

「だな」


 俺とヨシノさんは頷いた。


「じゃあ、行くよー」


 アルクがそう言った瞬間、視界が真っ白に染まった。


 ようやく太陽を拝めるぜ!


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