表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~  作者: 出雲大吉
第6章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

171/283

第171話 周囲から被っていると思われている本部長さん


 ヨシノさんから事情説明を聞いた日とその翌日も家から一歩も出ずにカエデちゃんと一緒に過ごした。

 そして、ついにフロンティア人とやらとの面会の日となった。


 俺は準備を終えると、玄関で靴を履く。


「先輩、気を付けてくださいね」


 カエデちゃんが心配そうに俺を見ていた。

 ギルドがまだ閉鎖中なため、カエデちゃんは家でお留守番なのだ。


「大丈夫だよ。ちゃんとクリスマスまでには帰ってくる」


 クリスマスは再来週だけど……


「フラグっぽいことを言わないでくださいよ…………」


 本当はギャグで帰ったら結婚しようって言おうと思ったんだけど、面白くないし、ガチで考えてるから言うのはやめた。


「普通に帰るよ、それで商売を再開する。冒険は…………他のメンツと相談だな」


 ナナポンとは話したが、サツキさんに話していない。

 あと、ヨシノさんやリンさんに相談してもいい。


「わかりました。いってらっしゃい」

「うん。いってくる」


 夫婦のやりとりっぽいね。

 いってらっしゃいのちゅーがないけど。


 俺はカエデちゃんに手を振ると、家を出た。

 そして、下まで降りると、マンションの前に車が止まっていたので後部座席に乗り込む。


「後ろに乗られると、運転手みたいで嫌だな」


 俺を迎えに来たヨシノさんが運転席から俺を見ながら嫌そうな顔をする。


「エレノアさんにチェンジするんだからしょうがないじゃん」

「家でチェンジして、透明化ポーションを飲んで降りてくればいいじゃないか」


 …………まあ、その手もあったね。


「もういいじゃん。着替えるから出発しろよ」

「よくそんなところで着替えられるな……」

「慣れたよ。こちとらトイレとか外で着替えてんだぞ」


 そもそもローブはそんなに難しくはない。


「その辺がめんどくさいんだな」

「まあな」


 俺は車が出発したので透明化ポーションを飲み、服を脱いだ。


「見えないと思うけど、今、裸になったぞー」

「実況はいらん。変態みたいだぞ」


 確かに……


 俺はさっさとTSポーションを飲み、エレノアさんになると、カバンから下着や黒ローブを取り出し、着替えた。


「寒いわねー。もっと暖房を効かせなさいよ」


 今、12月だぞ。


「エレノアになったんだな…………トイレよりかはマシだろ」

「まあね。あなたもやってみるといいわ。本当にみじめな気分になるから」

「やらんわ」


 だろうね。


 俺は服を着替え終えると、再び、透明化ポーションを飲み、姿を現した。


「お待たせ。世界一美しいと評判の黄金の魔女、エレノア・オーシャン見参」

「はいはい。髪をどうにかしろ。ぼさぼさだよ」


 スルーかい……


 俺は最近、皆冷たいなーと思いながらも櫛と鏡を取り出し、髪を解き始める。


「切らないのか? それだけ長いとめんどくさいだろ」

「切らない。切ったら失恋と思われるし」

「いや、思わんだろ……」


 俺は思う。

 長い髪をバッサリ切るってことは心機一転したいってことだ。

 失恋しかない!

 だから俺が切る時はカエデちゃんに捨てられた時!


「そんなことよりもヨシノさんも立ち会うの?」

「そうだな。私もギルドで待機している。何かあった時のためにAランク冒険者を配置しようってことになったんだ」

「桐生じゃなくて良かったわ」


 あいつのユニークスキルは厄介すぎる。


「本部長が決めたからな。必然的に私になる」

「なるほどね」


 俺が髪を整え終え、準備を完了すると、ヨシノさんが運転する車が池袋ギルド裏に到着した。


「あれ? マスコミがいないわね」


 ここには不自然なタクシーが1台と警備員が2人ほどいるだけだ。


「ギルドの裏は立入禁止区域だからな。マスコミは来れない。特にこの前の君を襲撃した事件があっただろ? あれのせいで特に厳しくなっている」


 あー、あのクソガキ君ね。


「立入禁止にしてはタクシーが止まっているようだけど?」

「君の友達だろ? ほっとけ」


 まあ、放っておこう。

 後で説明してやればいいだろ。


「ほら、着いたぞ」


 ヨシノさんは駐車場の駐車スペースに車を停めた。


「では、行きますか」

「そうだな。くれぐれも頼むぞ」


 どいつこいつも心配しすぎ。

 こちとら辛い社会を4年も生きてきた26歳だぞ。

 もうすぐで27歳になるけど……


「わかってるわよ」


 俺はそう言うと、後部座席から降りる。

 そして、ヨシノさんと共にギルドに入った。

 すると、サツキさんが受付の裏に出る通路で待っていた。


「あら。お出迎え?」


 俺は目の下に隈が出来ているサツキさんに聞く。


「ああ。そうだ……」

「お疲れねー。これをあげるから飲みなさい」


 俺はカバンからレベル3の回復ポーションを取り出し、サツキさんに渡した。


「悪いな」


 サツキさんは受け取った回復ポーションをごくごくと飲み干す。


「あー、1億1111万1111円の栄養ドリンクはすごいな。一瞬で疲れが吹き飛んだ」


 ヤバい薬みたいなセリフだな。


「大変ねー」

「他人事だな、おい」


 正直、この数日はカエデちゃんとゆっくり過ごせたから良かった。


「わかってるわ。私が一番の当事者よ。本部長さんと首相さんは?」

「こっちだ」


 サツキさんはそう言って、通路を歩いていったため、俺とヨシノさんもあとを追いかける。

 そして、通路の先の扉を開き、受付の裏に入ると、そこには50代前後ぐらいのおっさんが1人で立っていた。


「エレノア、お前は初めてだったな。ギルドの本部長だ」


 この人が本部長さんか……


 俺は目線を頭頂部に向ける。


「ハゲてないじゃない」


 俺はヨシノさんに言う。

 以前、育毛ポーションを作った際に本部長が薄くなっているという話を聞いていたのだ。


「あれはアフターだ。君が試供品を私に託しただろ。本部長はあれを使ったからああなっている。本当に薄かったんだぞ」

「へー。やっぱり効果があるのねー」


 本部長さんのビフォーを知らないけど、やはり効果はあるんだな。

 あとはクレアに任せよう。


「初対面でいきなり頭髪を弄られるとは思わなかったな」


 本部長さんが苦笑した。


「あら。ごめんなさい」


 確かに失礼だ。

 失礼すぎる。


「いやいい。正直に言えば、とても感謝してる。ここ数年、急にきたから悩んでいたんだ」


 男は皆、悩むわな。

 わかる、わかる。


「良かったわね」

「ああ。ところで、これは売るのか?」

「日本では売らないわね。クレアに任せている。どうせすぐにバレるし」


 鑑定にかければ育毛剤にレベル1の回復ポーションを混ぜただけというのはすぐにわかる。

 そうなったらハゲの諸君も50万円でレベル1の回復ポーションを買うだけだ。


「そうか。私の知り合いから問い合わせが多いんだがな」


 知り合い(ハゲ)……

 本部長はいい年のおっさんだし、友達とか上司とかが問い詰めているんだろうな。


「クレアの販売が終わったら言いふらしてもいいわよ。それまではダメ。営業妨害よ」


 詐欺じゃないぞ。

 本当に髪の毛が生えるんだから問題ない。


「まあいい。今日はその話ではないからな」

「そうね。そういえば、首相さんは?」


 いないじゃん。

 さすがに俺だって、今の総理大臣くらい知っている。

 ほら、えっと……何とかさん。


「支部長室で待機してもらっている。本当は君と会って話をするつもりだったのだが、周りが止めた」


 得体の知れない魔女に近づかない方がいいってことかな?

 まあ、それがいいかもね。

 変な魔法をかけられるかもしれないし。


「私としても面倒だからそれでいいわ」

「そうだな。では、君にはこれからゲートをくぐり、フロンティア人と会ってもらう。いいね?」

「そうね。ちょっと話してくるわ」

「正直な話、私もフロンティア人に会ったことがないから何も言えんが、変なことはしないでくれ」


 ホント、どいつもこいつもビビりすぎ。


「はいはい。怒らせないようにすればいいんでしょ」

「頼む」

「じゃあ、行ってくるわ」


 俺は3人に向けて、手を上げると、誰もいない受付を抜け、ゲートに向かった。

 そして、ゲートの前まで来ると、ゲートを見上げる。


「普通にくぐればいいのかしら?」


 ここでクーナー遺跡に行きたいって思えば、そっちに行けるんだろうか?

 よーし! クーナー遺跡に行きたーい!


 俺はそう思いながらゲートをくぐった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

週末のんびり異世界冒険譚 1 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

~漫画~
廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 1 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【販売中】
~漫画~
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(1)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(2)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(3)

~書籍~
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(1)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(2)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(3)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(4)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
[一言] 禿げを恥ずかしいものとする風潮がありますが、元々日本にはそんな風潮はありませんでした。 禿げを恥ずかしいものとするのは朝鮮半島の風習だとか。 私も頭頂部が薄くなってきましたが特に恥ずかしいと…
[良い点] 押すなよ、絶対押すなよ
[一言] この魔女は、まーた余計なことして…… フロンティア側で行き先決めてたとしたら呆れられてるよ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ