表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~  作者: 出雲大吉
第6章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

167/283

第167話 10時半は朝


「――ノアさん……エレノアさん」


 俺は誰かが呼ぶ声で目が覚めた。


「眠いよー」

「朝ですよ。起きてください」


 俺はうるせーなーと思いながらもカエデちゃんが起こしに来たんだなと思い、顔を声がした方に向けた。


「ん? ナナポンじゃん。俺のカエデちゃんは?」

「あなたの朝倉さんはまだ寝てます」

「じゃあ、俺も寝る……おやすみ」


 カエデちゃんが寝てるのに起こすなよな…………


「あの、電話が鳴ってますよ。相手はクレアさんです」


 クレア?

 あ、クレア!


「マジ?」


 俺はすぐに起き上がると、ナナポンを見る。

 ナナポンは髪の毛のあちこちが跳ねており、こいつも起きたばっかりのことがわかる。


「マジです。私もさっき起きたんですけど、エレノアさんのスマホがずっとぴかぴか光ってますよ」


 俺はそう言われて、目の前に置かれたローテーブルの上にあるエレノアさん用のスマホを見ると、確かに画面が光っており、その画面にはクレアの名前があった。


「ホントだ。出るか…………ナナポン、お前は風呂でも入ってこい。昨日、入ってないだろ」

「あなた達もでしょ…………じゃあ、入らせてもらいます。あと、電話に出る時は口調をエレノアさんモードに戻してくださいね」


 あー、完全に寝ぼけてるわ。

 しかし、戻すってなんだよ……


「わかった。あ、ついでにカエデちゃんを起こしておいて…………いや、やっぱいいわ。俺が起こす」


 カエデちゃんは鍵のかかっていない俺の部屋で寝てる。

 俺が起こしてあげよう。


「…………私が起こしますから電話に出てください。大事な話でしょ」


 チッ!

 ナナポンのくせに。


「はいはい。入浴剤なり、シャンプーなりは勝手に使っていいからね」

「ありがとうございます」


 ナナポンは礼を言うと、リビングから出ていった。

 俺はナナポンが出たことを確認すると、通話ボタンを押す。


『あ、やっと出た』


 クレアの声だ。


「あなた、何時だと思ってんのよ」


 俺は苦言を呈する。


『10時半ね。文句を言われる時間ではないと思うわよ?』


 あれ?

 もうそんな時間?

 ナナポンのくせに早起きだなと思ったが、十分に遅かったわ。


「ごめんなさい。寝てたわ」

『でしょうね。声がガラガラだもの』


 酒のせいだな。


「昨日、遅くまでオークションのお祝いをしてたのよ」


 寝たのは2時くらいかな?


『あなたって余裕があるのね…………』

「1億を超えたからね。そら、嬉しいわよ」

『良かったわねー。また、そのことで次の商売の話をしたいわ』

「そうね。それはまた今度。今は違うことが大事」


 今大事なのは例の身柄要求だ。


『その件で電話したのよ』

「何かわかったの?」

『まずなんだけど、あなたに言われた通りにプレジデントに伝えたわ』


 あ、マジで伝えたんだ。


「なんて?」

『レベル3の回復ポーションと2000キロのアイテム袋にものすごく食いついたわよ。そんでもって、本当に日本政府に圧力をかけた。そっちの首相に直で電話したわ』


 首相さん、ごめんね。


「で?」

『結論から言うと、日本政府はまったく関知してない。寝耳に水で対応に追われているみたいよ』


 政府が知らない?


「それ、もうフェイクニュースで当たりじゃない?」

『それがそうとも言い切れないのよ』

「何かあるの?」

『プレジデントはよほど嬉しかったのね。ついでにギルドにも圧力をかけたのよ』


 働き者だねー。

 おまけで翻訳ポーションもつけてやろう。


「ギルドはどうだったの?」

『今はまだ言えないって言葉を濁したみたいよ』


 今はまだ言えないって…………

 後で言うことがあるってことかよ。


「え? ホントに要請が来てるの?」

『それはわからないけど、ギルドが何らかのことを知ってるのは事実ね。私達が調べられるのはここまで。あとはそちらの伝手でやってちょうだい』


 サツキさんとヨシノさんか…………

 ギルドなんだからそうなるか。


「わかったわ。後はこっちで探ってみる。ありがとう。今度会った時にプレジデントにクリスマスプレゼントを用意しておくから渡しておいて」

『喜ぶと思うわ。何せ、1000キロのアイテム袋がオークションに出された時に絶対に落札しろって命令を出したくらいだからね』


 マジかよ……

 そして、落札に失敗してるし……


「いい子にしてたら来年もサンタさんが来るよって言っておいて」

『あなた、魔女じゃないの』


 まあね。

 髭のおっさんではない。


「どっちも怪しい点では一緒よ。あなたもありがとうね」

『別にいいわよ。大口の客を失うわけにはいかないもの』


 確信した。

 少なくとも、こいつは護衛の仕事を完全に忘れている。

 商売のことしか頭にないわ。


「何かわかったら連絡するわ」

『お願い。じゃあ、切るわよ』

「はいはい。おやすみなさい」

『二度寝すんな』


 クレアは笑いながらそう言うと、電話を切った。


「うーん、ギルドか……」


 俺は電話を終えると、ソファーに背中を預け、天井を見ながら考える。


 ギルドが何かを知っている?

 となると、ヨシノさん経由で本部長に聞くか、サツキさんに聞くか……

 うーん、まずはサツキさんに聞くか。

 サツキさんも探ってくれてるだろうし。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

週末のんびり異世界冒険譚 1 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

~漫画~
廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 1 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【販売中】
~漫画~
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(1)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(2)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(3)

~書籍~
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(1)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(2)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(3)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(4)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
[一言] 一話でもうちょっと進んでほしいなあ
[一言] フロンティア政府とか関係なく自衛の為にも沖田くんでレベル上げとくべきよね。レベル11で透明化ポーションとかインチキアイテム生えてる訳だし
[一言] 出口戦略が一番難しい
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ