表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~  作者: 出雲大吉
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

137/283

第137話 絶対に俺の方がまともだと思う ★


 ヨシノさんとの電話が終わり、しばらくすると、ナナポンがやってきた。


「こんにちはー……あれ? エレノアさんは?」


 ナナポンは部屋に入るなり、俺がいるのにも関わらず、キョロキョロと部屋を見渡す。


「俺が視界に入ってないのか?」

「…………なんで沖田さんなんですか」


 ナナポンは露骨にがっかりしながらソファーにやってくると、俺の隣に座った。


「そのリアクションはひどいな」

「せっかく急いできたのに…………」


 沖田君だったら急がなかったらしい。


「別に俺でも良いだろ。今日はお前が大学って言うからこっちなの」

「まあ、良いですけど……」


 全然、良くなさそうだ。


「お前らの奇妙な関係はどうでもいい。それよりもナナポン。お前、クーナー遺跡の地下遺跡を知っていたのは本当か?」


 サツキさんがナナポンに確認する。


「はい。地下にも建物があるんだなーって見てましたよ」

「何故、言わん?」

「いや、皆、知っているものかと思って……それに私のメイン活動場所はダイアナ鉱山でしたし、クーナー遺跡についてはそこまで調べてないんです」


 クーナー遺跡は人が多いから人見知りアンド弱男性恐怖症のナナポンは嫌がっていたのだ。


「ハァ……まあいい。それで金の延べ棒がいっぱいなのは本当か?」

「遠くなんでチラッとしか見えませんでしたが、それっぽいものが積んでありましたね。金かどうかはわかりませんけど」


 まあ、見ただけじゃわからんわな。

 メッキかもしれないし、そもそも、未知の鉱物の可能性もある。


「うーん、偽物か本物か…………」


 サツキさんが悩む。


「サツキさん、どちらにせよ、行く価値はあるでしょ」

「そうですよ。地下遺跡にあるものが偽物とは思えませんし、もしかしたらもっと価値のあるものかもしれません。どちらにせよ、儲かると思います」


 欲望にまみれた俺とカエデちゃんはサツキさんの背中を押す。


「まあ、行くのはお前とナナポンだから止めはせん」


 行くよ!

 金の延べ棒は黄金の魔女にこそふさわしい!

 まあ、売るけど……


「あのー……私が行くことは確定してるんです?」


 ナナポンがものすごく今さらなことを聞いてくる。


「当たり前だろ。お前が行かないで誰が行くんだよ」

「えー……怖くないです? 幽霊とか出そうですよ」

「1人でダイアナ鉱山に行っていたお前なら大丈夫だよ」


 そっちの方がこえーわ。


「怖いなー……」


 大丈夫だっての。


「一応、ヨシノさんも誘うし、自衛隊が同行するらしい」

「え? マジです? あなた、自衛隊とケンカしません?」

「なんで俺が自衛隊とケンカするんだよ…………」


 俺を何だと思ってんだよ。


「ふっ……国を守る自衛隊の実力はその程度なの? 邪魔だから下がってなさい」


 ナナカさん、それは誰のモノマネかしら?


「言いそう……」

「挑発レベル3も近いな!」


 クソッ、ムカつく。


「絶対に言わない。俺は愛国心に溢れ、国と国民を守る自衛隊を尊敬してるし」


 ありがとう!


「心にもないことってこういうことなんでしょうね」

「先輩の口から愛国心なんて言葉を初めて聞きましたよ」

「金のことしか頭にないくせに」


 うるせーなー……

 ヨシノさん、早く来いよ。




 ◆◇◆




 しばらくすると、スーツをビシッと決めた有能秘書モードのヨシノさんがやってきた。

 やってきたのだが…………


「30パーセントは譲れない」

「お前はただのお守だ。見ているだけで30パーセントはない。20パーセントで十分」


 ヨシノさんに金の延べ棒のことを伝えた結果、従姉妹同士の熱いバトルが繰り広げられていた。


「私はベテランのAランクだよ?」

「沖田君曰く、雑魚だろ」


 サツキさんがそう言うと、ヨシノさんが俺をキッと睨む。


「俺を巻き込まないでほしいな……」


 さっさと25パーセントで手を打てよ。


「今回は自衛隊もいる。あまりエレノアの手の内を見せるべきではない」

「だからその自衛隊が露払いをしてくれるんだろ? なおさらお前はいらんだろ」


 サツキさんがそう言うと、またもやヨシノさんが俺をキッと睨んだ。


 いや、なんでだよ。

 俺、自衛隊じゃねーし。


「沖田君に助けを求めてもカエデがいるからお前の安っぽい色仕掛けは無理だぞー」


 めんどくせーな、こいつら。

 俺を巻き込むなっての。


「エレノアさんで来れば良かったわ」

「ホントですよ」


 ナナポンも同意してくれる。


「俺らははんぶんこでいいな?」

「はい。それでいいです」


 ナナポンは素直でいいわー。

 それに比べて、こいつらは…………


「自衛隊はエレノアを怪しんでいるし、警戒している。エレノアの性格を考えると、衝突する可能性が高い。だから私が間に入ろう。私はエレノアやサツキ姉さんとは違うからね」

「エレノアだって自重するさ。多分……きっと」

「無理だね。この男は冒険中、自分の剣技を自慢することしか頭にない」


 こらこらー。


「うーん……」


 おい! 負けんなや!

 そんなことないって言えや!


「やんねーわ。もういいから25パーセントでいいじゃん。めんどくさい」


 いつまでやるんだよ。

 というか、俺のせいみたいになってんじゃん。


「チッ! 23パーセントで行けたのに……」

「チッ! 27パーセントで行けたのに……」


 こいつら、絶対に従姉妹じゃなくて姉妹だろ。


「もういいから…………そんなことより本部長は何て言ってた?」


 俺は2人の不満を無視し、ヨシノさんに聞く。


「本部長は指名依頼を出す方向で納得した。エレノアが出てくることに疑問を持っていたけど」

「やっぱりか……」

「エレノアは金の亡者と思われているからね」


 こいつに言われると腹立つな……


「金の延べ棒があることは言わなくてもいいけど、基本的には地下遺跡で得たものはオークションかギルドに売るって言っておいて」

「わかった。それならギルドに損はないし、本部長も納得する。私がそれとなく伝えておくよ」


 ギルドや政府が嫌がるのは貴重なアイテムを他の民間企業や外国に流されることだろう。


「あのー、ヨシノさん、その代わりに同行する自衛隊員も選ぶように言ってくれませんか?」


 カエデちゃんがヨシノさんにお願いする。


「選ぶ?」

「先輩とぶつからないような人を選んだ方がいいです」


 おい!

 後輩!


「お前までそんなことを言うんか」


 ひどい!

 敬愛する先輩だろ!


「いや、話を聞いていると、何か不安になってきまして…………」


 えー……


「お前らのせいだぞ! 俺が自衛隊にケンカを売るわけねーだろ」

「女性隊員を入れてもらうか? 沖田君も女性には優しいだろうし」

「それはそれで良いところを見せようと躍起になるかも…………でも、ケンカするよりはそっちがいいかもしれない。私達3人共女性なわけだし、それを理由にできる」


 聞けよ…………

 無視すんな。


「出来たら年下がいいと思います。この人、年下には大人ぶる傾向がありますから」


 カエデちゃーん。

 大人ぶるんじゃなくて大人なんだよー。


「確かに私やヨシノには噛みつくな…………しかし、26歳以下の女性隊員ねー……いるか?」

「さあ? とりあえず、そう言ってみるよ」


 うーん、誰も俺を信用してない。


「ナナポンは俺の味方だよな?」

「え? あ、はい」


 信じるべきは自分のみか…………




 ◆◇◆




「本部長、三枝です。ただいま戻りました」


 池袋支部に向かっていたヨシノが戻ってきたようだ。


「入れ」


 私が入室の許可を出すと、扉が開き、ヨシノが一礼をして部屋に入ってくる。


「話をつけてきました」

「長かったな。どうなった?」


 もうすでに夕方になっている。

 昼過ぎに出たにしては時間がかかりすぎだ。


「私も同行します。調査は私、エレノア、エージェント・セブンの3名になります」


 はい?


「エージェント・セブン?」

「横川です。ナナカだからセブンらしいですね。要は変装です」


 例の魔女の弟子か……

 しかし、もうちょっといい名前がなかったのかね?


「わかった。魔女の目的は探ってきたか?」

「はい。ですが、はぐらかされました」


 まあ、そうだろうな。


「とはいえ、何かがあるのは間違いないです」

「そこが知りたいんだが……」


 もしかしたらとんでもないアイテムが眠っている可能性が高い。


「一応、基本的には地下遺跡で得たものはオークションかギルドに売るそうです」


 魔女があの地下遺跡に何があるかを知っているのは確定だな。

 とはいえ、売ってもいいものらしい。


「オークション…………高価なものがあるということか」

「おそらくは」


 その情報があれば、ヨシノのパーティーに行かせるという手もあるが…………


「お前のパーティーだけで行く気はないか?」

「申し訳ありません。他のメンバーは参加しないと思います。皆、大金より安全を取るキャリアになりました」


 ベテラン揃いだからな……

 清水なんかは結婚しているし、無理か……

 仕方がないな。


「わかった。その3名に指名依頼を出す」

「承知しました。それとなんですが、向こうから要望があります」


 要望?


「なんだ?」

「これはエレノアからではなく、池袋支部の支部長からですが、同行する自衛隊員を選んでほしいそうです」


 はい?


「どういうことだ? 意味がわからんのだが……」

「本部長もご存じの通り、エレノアは大人しい人間ではありません。自衛隊員とぶつかる可能性があります」


 うーん、ありえる。

 自衛隊もあの魔女を探ろうとするはずだし、魔女がそれに怒ることも考えられる。


「なるほど。要望してみるか」

「出来たら若い女性を入れてください。エレノアも若い女性なら考慮するでしょうし、横川は女子高出身であまり男性を得意としていません」


 うーん、まあ、3人共、女性だし、そこを配慮してもらうか。

 薄暗いであろう地下遺跡だし。


「わかった。自衛隊はそういうことに配慮してくれるだろうから伝えてみる」

「おねがいします」

「ちなみにだが、お前の取り分はどうなったんだ?」

「それはいいじゃないですか…………」


 こんなに時間がかかったのはあの女狐との交渉が長引いたからだな。

 ホント、守銭奴なところはそっくりだわ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

週末のんびり異世界冒険譚 1 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

~漫画~
廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 1 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【販売中】
~漫画~
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(1)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(2)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(3)

~書籍~
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(1)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(2)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(3)
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~(4)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
26歳以下の女性自衛隊なら普通に居ると思うが? 確か男女ともに18歳以上なら試験受けて合格すれば入隊出来るはずだよ? 仮に入隊後の本採用前の訓練期間が2、3年あっても十分26歳以下だし┐(´(エ)`)…
この条件だと完全にレズ扱いされそう
[良い点] 本部長もちゃんと切れ者っぱい 金さえ渡しておけばよきにはからえ出来る便利屋として旨いこと使ってそう せしめてやったってところと 問題解決出来たし儲けに一枚噛めた ってなるからWin-W…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ