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《Trip11ー②》

此度も御読み頂き有り難う御座います。


僅かでも楽しんで頂けたのなら幸いです。






「改めまして、ありがとう御座いました。」


 いや、もぅええって………



 あの後………皆で協力して時間内に仕事を終えると、その事に感謝してくれた雇い主であるエルモントさんが、給金とは別に酒手を全員に弾んでくださり、その上で俺とトマスの為に一席設けてくれはった。

 ほんまはエリクも呼ばれとったんやが、他のモンの様子が気になるとか言うて、この場の参加は辞退しおった。

 ほんま、苦労人やこって。

 堅苦しいんが嫌なだけかも知れんが………………


「いや………皆に酒手を弾んでくれた上に、俺等如きにこないなええ席まで用意してくれて………この上更に何度も礼をされたんやと、こん身の置き所が無いですわ。勘弁してくださいな。」

「いやいや………あのままだと、確実に身代が傾く所でしたので、本当に感謝しているのですよ。」

「それを疑っとりゃしませんが………………そろそろ呑みまへんか?」


 ええ加減このやり取りにも疲れたし、酌をしてくれるお姉さんも手持ち無沙汰になっとる。

 そろそろ呑ましてほしい。




 連れてきてもうたんは、以前に訪れた事もある、姉ちゃんが居って博打も楽しめた、中々に華やかなお店の一角にある、所謂『離れ』と呼ばれる個室やってん。


 聞いた話によると、元々はお貴族様の別宅やったらしゅうて、そこそこの広さがある庭があって、それを囲む様に幾つか離れが建てられとる。

 表の様子とは違うて、こっちは身分の高い人が利用する様な、ある種高級妓楼みたいな落ち着きのある雰囲気になとる。


 行った事ないけど………


 流石に、片手にお姉ちゃんを抱きながら下品に呑める様な所や無いが、綺羅びやかに着飾ったお姉さんが酌してくれて、ちょっとええ酒と料理を楽しめる様になっとる。

 テラスへと続く扉を開け放てば、手入れが行き届いた庭の景色も楽しめるんやろう。


 今は寒いから閉めとるが………



 やっとこさ乾杯が行われ、何処に居っても変わらん俺がエールを一気に呑み干すと、横に座っとったお姉さんが、直様おかわりを取りに席を立ちはる。


 因みに、前に俺の相手をしてくれたお姉さんや。

 そのお姉さんを呼び止めて、そっと布袋を手渡す。


「足らんと思うけど………表の連中の足しにしたって。」


 そう言うて、今日の給金を握らすと、とびっきりの笑顔で頷いてくれた。

 他の連中は店の表の方で、多分やんちゃに呑んどるはずやさかい。


「………………お優しいですな。」


 俺の行為を目撃したエルモントさんが、優しげに微笑み掛けてくるさかい、そうやないんよと説明する。


「今日は俺の我儘で、危ない橋を渡らせかけたさかいね。その詫びの様なもんですわ。」


 何を好き好んでか知らんけど、俺を中心に舎を組んでくれとるけど、本気で組を構えたつもりはあらへん。

 せやから、俺の個人的な事情に巻き込んだんやったら詫びをするんは当然の事やろう。


「せやから、あんまり過度な期待はせんといてくださいね。」


 俺個人に何か頼み事して来るんは………まぁあんまり嬉しないけどええとして、俺の後ろに連中が居ると勘違いして欲しゅうはない。

 俺はあくまでも俺個人やし、一人で生きてくんで精一杯で、他人様の事まで背負ってられん。

 せやから、なんでか舎は出来上がっとるんやが、それを名乗るつもりも利用するつもりもあらへん。

 そやさかい、俺を『組織』として見んといて欲しい。

 そんな事をされたら………………


 『敵』やと思てまう。



「旦那ぁ。そんな顔したら、エルモントさんが驚いてるじゃないか。」

「いやはや………………勿論その様なつもりはございませんので………」


 トマスに諌められて改めて見ると、エルモントさんが結構な汗をかいとった。

 どうやら必要以上に脅しとったみたいやわ。


 悪い子としたなぁたぁ思うが、謝るつもりはあらへん。

 これが俺の本音やし、そんな事にぁならんと思とるさかいな。


 ええ人なんよ、エルモントさんは。

 そりゃ商人の部分はあるやろうが、俺等如きにも普通以上に接してくれるし、金払いもええ。

 こういうちゃんとした商人は生き残って欲しいと思うわ。


 せやさかい、詫び代わりに話を突っ込んだる。


「で?彼奴等何やってん?」


 俺がそう話を振ると、やっぱり行きたかったんやろなと思える勢いで、俺にワインを注ぎながら事の次第を語りだしはった。


「彼奴等もハッキリとは申しませんできたが、グリフィス商会が申し入れてきた商談を断った事が原因かと……………」


 グリフィス商会ってのは、新進気鋭と言うたら聞こえはええが、要は最近できた人足を扱う周旋業者で、ガルストンさん所の商売敵ってな感じらしい。

 やが、エルモントさんの話やとかなり出来が悪いらしく、契約後に追加料金を請求してくる事も珍しくなく、その上人足の上前を跳ねとるらしい。

 更に、証拠は見つかっとらんが荷物が紛失する事もしょっちゅうらしく、そんな輩な所とは付き合とぉないんが本音やけど、そないな事したら嫌がらせがあるんやと。

 今回みたいな………


 そんなん商売やあらへんがな。


 輩紛いの商売が長続きするたぁ思わんが、どっかの貴族が後ろに居るらしゅうて、取り締まりの邪魔をしとるとか何とか………


 そんなんをイケメンマッチョ(フェルナルドはん)がほっとくとも思えんのやが、その辺りも宮仕えの哀しさか………

 荒れとるやろなぁ………

 悪ぶっとるけど、正義感が服着てマッチョになってイケメンしとる様な人やさかい。


『………時折偏見が混じっている様に聞こえるのですが………………』


 ………別に劣等感とか感じてねぇぇし。

 イケメン良いなぁぁとか思ってねぇぇし。


 正直、あないなビジュやと勝ち組やんって思てまうけど、何やかや言うてええ人なんよねぇ。

 せやさかい、あんまり無茶する様な事になって欲しないねんけどね。


『ああゆうタイプの苦労人が好きですね。』


 やかっしゃい。

 俺の好き嫌いを詮索すんなや。


 ………その辺りは置いとくとして、公権力が及ばん所に身を置いとる奴を、並の手法で取り締まれんとなると………どぉーすっかなぁ………

 ほっといても、あのガルストンさん(超怖い人)がどないかするたぁ思えるんやが………

 今度、ゴーランドさん(ギルドの偉いさん)と呑む時にでも聞いてみるかぁ………

 チンコロするみたいでアレやけど。



 それよりも、俺に実害有るんは実行部隊(輩の群れ)の方やんなぁ。

 あの(ボケ)共をどないかせんと、また仕事の邪魔をされかねへん。


「あぁ、あいつらは『赤龍団』って名乗ってる不良集団だよ。」


 なんやねん、その中二病が暴走しまくっとる名前は。


 トマスの説明によりぁ、ガラの悪い地区のチンピラ連中が集まって、大層な悪さに手ぇ出しとるらしい。

 そんなアホな輩共がおんなじ方向向けるんか甚だ疑問なんやが、何でもそれを纏める奴が出てきたらしい。


 ◯ローズかっ!?


 カラスの学校をシメたマルコメや◯栗が旬やあるまいし、そないカリスマが出てくんのかいと思たんやが、聞いたらどこぞのマフィアの頭目の息子らしい。

 で、そのバカ息子がグレとって、他のカスに煽てられて調子に乗って、今やゴミ共の頭に祭り上げられとるってところか。


 ………………しょぉーもな。


 ベタ過ぎて笑えんわ。

 もぉ〜ちと捻りがあってもエエと思うんやが。


 こりゃ裏で絵ぇ描いとる奴がおりそうやなぁ………


 そう思いながら、おそらく高級なんやと思われる酒を呷った。

 避けられへんやろうトラブルを予想しつつ………


 まぁそれもこれも、これ以上こっちに関わってこんかったらの話や。


 火の粉が舞って来たんやったら、きっちり払わなしゃぁない。

 とばっちりは御免被りたいさかいに。

 こっちにも守りたいもんがあるんや。


 ………無論、今の気楽な生活をやが。


 せやさかい………そん時ゃぁ徹底的叩いたろ。

 俺に手ぇ出した事を後悔するぐらいには………






《See you next trip》

如何でしたでしょうか。


今更ながらに言いたくもないのですが………

暑いですねぇ………(-_-;)


本当に外に出たくも無くなるのですが、

独り身でそんな我儘が言えるはずもなく、

仕方なく食料と酒を求めに出るのですが、

冗談でなく干からびそうになります。


なので冷感グッズを買い漁ってるのですが、

イマイチこれと言うものがありません。


やはり最高なのはタクシーですねぇ(笑)。



次作も粉骨砕身務めますれば、

感想等を頂けたら望外の喜びです。 

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