《Trip1ー②》
前話が短くて、
味気なかった様な気が致しますので、
連続の投稿です。
こうして、ストックが無くなって行くんでしょうね。
(-_-;)
拙い文章ですが、御読みいただけたら幸いです。
ーー《sideーB》ーーーーーーーーーー
「どうゆうつもりだっ!!」
男の声、豪奢な馬車の窓から、私の雇い主でもある、宝石商のゴーランドが怒号をあげた。
一介の商人とはいえ、大商会の会頭ともなれば、その声にも迫力がある。
傍目には、馬車の中から怒鳴り散らしているような、一見迫力に欠けるようにも見えるが、戦闘技術を持たない一商人が、襲われてる最中に飛び出してきても、殺してくださいと言っているようなもの。
連れている部下と共に、大人しく馬車に籠っているのが、正しい選択といえる。
私としても、引き籠っていてくれた方が仕事がしやすい。
「どうゆうつもりと言われてもなぁ……」
ゴーランドの怒声を浴びても、小バカにしたように薄ら笑いを浮かべた男、ガイが手にした剣を肩に担ぐようにしながら、気安く答える。
その剣には、先程切りつけた御者の血が付着している。
「まぁ、悪いがあんたには死んでもらうつもりだがな。なぁ?」
嘲りを含んだ言葉は、最後に別の槍を持った男、護衛仲間であるオルディに同意を求めた。
同じ護衛仲間とはいえ、ガイより完全に格下であるオルディは、下卑た笑い声で答えている。
この場を仕切っているのはガイなので、会話に参加する気が無いのだろう。
……単に、気の効いたことを話せないだけの様な気もするけど。
他にも二人の男が同じ様に笑っている。
私に剣を向けているのがドムズで、少し離れた場所で弓矢を構えている男がマークだったと思う。
いずれも今回の仕事で知り合ったばかりなので、詳しい事は解らないが、ガイの一派(手下?)なのだろう。
まぁ、詳しいことを知る時間が、私に残されているか疑問だが。
知りたいとも思わないし。
「何故だっ!!貴様達には、十分な給金を払っていただろうがっ!!」
口髭を蓄えたゴーランドの怒声が、夜の森に虚しく響く。
そんな事に恩義を感じている様な奴等ならば、こんな所で襲ってはこないだろうに。
「あー、勘違いしないでもらいたい。俺たちはあんたに恨みもなければ恩義も感じていない。すべては商売だ。だから、殊更あんたをどうこうしようとは思ってなかったんだが、俺たちにも少々事情があってな。そろそろこの街から逃げなければならない。だから、纏まった金が必要になってしまってね。」
「それならば、私が餞別金を用意しようではないかっ!」
希望を見出だしたゴーランドが、金で己の命を買おうとする。
だが、恐らく無駄だろう。
「端金を貰ってもどうにもならんしね。それに、あんたも大商会の会頭ならわかるだろ?これは商売だ。もうすでに引き返せない所まで来ているんだよ。」
「そんな……」
「それに、あんたも何か不安を感じていたんだろ?だから、あんなメス猫を雇い入れたんだ。」
ガイの蔑むような視線が、私に向けられる。
凄く不快。
こんなチンピラ擬きに馬鹿にされる覚えは無いが、言い返すのも面倒なので、取り合えず殺意を込めて睨んでおく。
「けっ!可愛げのねぇ。まぁ良い。如何に『夜叉猫』とはいえ、この人数差はどうしようもあるまい。全員纏めて骸になってもらおう。」
唾を吐いたガイの指示で、包囲が縮まっていく。
どうやら先に私を始末してから、馬車を襲うつもりなのだろう。
この場の対抗戦力は私だけなのだから、正しい戦術と言える。
まぁこの程度の連中で、私をどうこう出来ると思っているのなら、お笑い草なのだけど。
さて、どう対処しようかと考えていると、ふとある事に気付いたので、もう少しだけ様子をみる事に決めた。
「えぇっと……えくすきゅーずみー?」
しばらくすると、オルディの後ろの木々の陰から、別の男が現れるのが解ったから。
ーー《sideーA》ーーーーーーーーーー
ええっと、この後なんて言おう?
なんか、あからさまに揉めとる雰囲気やったけど、この先誰かに遭遇でけるか解らんし、しゃーなしに声をかけたけど、今は激しく後悔しとる。
この重たすぎる空気は、気弱でシャイな俺には荷が重た過ぎるわ。
……なんか和らげる事をやるべきか?
なんか知らんけど、変な所で大阪人の血が騒ぎだした。
「ええっと……あいはぶあぺん。」
……余計に重たくなった気がするっ!
やっぱりこのネタは、俺らの年代にしか通用せんか?
てか、そもそもここは異世界やし、通じる訳ないやんっ!
という事は、この後の起死回生のリンゴやパイナップルを刺すネタとか、『お呼びでない?』と植○等先生のネタで立ち去る事も出来んちゅうこっちゃ。
……詰んだ(涙)。
「あぁっ!?なんだてめぇ?」
槍を手にしたガラの悪そうな男が、顎をしゃくり上げる様にして、俺に問い掛けてくる。
元の世界じゃ、完全に警察案件やな。
けして好意的では無い視線を受けて、どう対応しようか考える。
『この男の戦闘レベルは10です。』
問い掛けもしとらんのに、『知識』が情報を教えてくれる。
レベル差がどんなもんか解らんが、ほぼ俺と変わらんと思といてええのやろう。
さて、どうしたもんか?
「あの……少しお尋ねしたいのですが?」
「あぁ!」
理性の働く限り、ひたすら超丁寧に尋ねてみたが、帰ってきたのはミナミの裏路地に巣くっている、時代遅れの反社の様な返答だった。
これで解った事が二つ。
先ずは、言語が通じる様になっている事と、こいつ等は話の通じんろくでなしってっ事やな。
「一体全体、どうゆう状況でっか?」
「逃げなさい。」
俺の問いかけに応じたのは、目の前の糞チンピラもどきではなく、離れた所でコイツ等に剣を向けて構えている、銀髪の少女の声だった。
「話しても無駄。だから逃げなさい。」
少しぶっきらぼうやが、その言葉だけで少女の誠実さが解る。
「まぁ、そういう訳にはいかんのだがな。」
少し離れた所にいる剣を持った男が、こちらを一瞥して吐き捨てるように言うと、その言葉に反応するように、目の前の男が近づいてくる。
「おっさん、何か用かっ!」
糞チンピラが、威嚇する様に大声で吠えてくるが、力関係で言えば、向こうの剣持ちの男の方が上手なのやろう。
『向こうの男の戦闘レベルは12です。』
また《知識》が勝手に反応する。
てか、今度は名前まで教えてくれた。
この能力は、どこまで有能なのやろう。
「今まさに強盗の真っ最中って事でっか?」
「あぁっ!見たら解るだろうがっ!」
おう、やっぱりね。
うん、解っとったよ。
………………。
やっぱり、そのパターンかぁっ!
そのパターンのエンカウントやねんなっ!
解っとったよ。
解ったけどさぁっ!
一番めんどくさいパターンやんっ!
思わず崩れ落ちる(orz)俺に対し、チンピラもどきが戸惑いながら後退る。
ひたすらめんどくさいが、ここを乗り越えんと生き残れんっちゅうやつやろ。
「おい、わかってるな?」
ガイっていう男が、目の前の男に指示を出し、俺を殺せと急かしとる。
やからと言うて、簡単に殺される筋合いは今の所ない。
俺は大きく深く溜め息をつきながら、姿勢を正して腰の後ろに差していた、60cm程の木の棒を右手で引き抜いた。
「っ!!ぎゃははははっ!そんな棒切れでどうする気だよ。おっさん、よく生きてこれたなぁ。」
さっき死んで、さっき生き返ったんやよっ!
俺よりだいぶ下やと思われる、輩の糞若造の嘲りに、心の中で冷静にツッコミを入れる。
そんな事は解りきっている身としては、リアルに『ぎゃはは』笑いをする、所謂『ヒャッハァ』な世紀末系の輩が居る事にツッコミを入れたい。
あの男は『悪趣味』と否定しとったが、やっぱり『そっち系』の世界かと身構えてまう。
けど、彼処の少女はまともそうやから、単に目の前の男達だけが、壊滅的に知能指数が残念なだけなんやろう。
そう理解すると、少しだけ安心したが、状況は改善されとらんし、絶望に向かっとる。
再び深く、深く溜め息をつきながら、俺は男との最後の対話に挑戦する。
できることなら、こんな知性の崩壊している残念輩とは、話す事などしたぁはないが。
「最初に言うとくけど…………すまんな。」
「なんだ、おっさん。命乞いなら無駄だぞ?」
「いや、そうやなしに……」
そんな事は解っとる。
『ヒャッハァ系』やないにしても、この世界じゃ命の重さもそれなりなんやろう。
そやさかい、ここで何言うたかて、コイツ等は殺しに掛かってきおるんやろう。
そやけど、大人しく殺されたる筋合いはない。
なんかの縁あって、あの男に生き返えさせられた身としては、まだこの世界で数時間しかたっとらんのに、簡単に諦めてええ命やないやろう。
もう少しこの世界も見てみたいって欲も出てきたし、昔から往生際が悪いて評判やねん。
昔の平家の武将みたいに、俺が見なあかんモンを見届けるまで生きてみよう。
まだこの世界には、絶望しとらんのやから。
せやから…………
「すまんな…………痛いで。」
《See you next trip》
いかがでしたでしょうか?
根本的におっさんは強くないです。
それでも、やらなあかん時は踏ん張るんが大人やと、
黒猫は考えてます。
楽しんで頂けたのなら幸いです。
感想等を頂けたら望外の喜びですが、
当方、とうふのメンタルですので、
御手柔らかにお願い申し上げます。




