表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/64

《Trip7ー②》

あいも変わらず下手過ぎて、

素人丸出しの投稿で申し訳ありませんが、

今時点での精一杯をお届けしたいと思います。


お読み頂けたら………

そして楽しんで頂けたのなら幸いです。






ーーー《sideーB》ーーーーーーーーーー




「ほなまた。」

「ええ。詳しい事が決まりましたら、また御連絡を差し上げますので。」


 旦那の退室する挨拶が聞こえ、扉が閉まる音を確認してから、様子を伺いながら応接室に入って行った。

 中では、この館の主であるガルストンが、旦那の出ていった扉を見つめて溜息をついている。


「しっかし………厄介事の匂いしかしない依頼だな。」

「ええ………あの御仁は、そういう運命にあるのでないかと、少々本気で思えてしまいますね。」


 そう本気とも冗談とも聞き取れる事を言いながら、ガルストンは御茶の準備をし始める。

 盛大に溜息を付きながら………

 それを目端に留め、俺はクッションの効いたソファーに身を沈めた。

 口から溢れ出る言葉は、殆ど怨み節に近い。


「どうにか断る方法は無かったのかい?」

「できるものなら喜んで断っているのですがね………ゴーランド殿経由でフェルメンス神父の指名依頼となれば、私如きにどうこうできる範疇を超えてます。」


 そう言いながら置かれた茶器がかちりと音を立てる。

 高価な茶器と、礼儀を何よりも重んじるガルストンにしては珍しい。

 やはり思う所が有って、少々苛ついてるのかも知れないな。

 それを理解したからと言って、納得できる話でも無いのだが。


「ったく。あの年寄共………何を企んでいるのだか………案内役なんて、旦那に無理なのは解っているだろうに。」

「そこが私にも解せない所なのですが………ゴーランド殿はともかくとして、フェルメンス神父が、かの御仁に指名依頼をする意味が理解しかねるのです。」


 心を落ちつかせようとする様に、一口御茶を口に含んだガルストンだったが、置かれた茶器がまたかちりと音を立てる。


 ………………………………。

 あの『氷血』がねぇ………


「って事は、やっぱり『正教会』がらみって事か。」


 『ヴァティカヌス正教』。

 この世界に君臨する最大勢力の宗教団体だ。

 この国だけに留まらず、周辺諸国にも深く浸透しており、多くの王家等も信徒となっていて、ほぼ全国で国教となっている。

 それだけに権力も絶大であり、政治までも左右する事も可能だ。


 そんな面倒臭い所に、旦那は目を付けられたって事になる。


 ………何仕出かしたんだ、あの人は………


「おそらく、そう見て間違いが無いでしょうな。違う事を願うのですがね。」


 ならばやっぱり………


「気づかれたと考えた方が宜しいのかと。かの御仁の特異性に………」


 はぁぁぁ………………


 確かに誤魔化しきれるとは考えていなかったが、こんなに早く注視されるとはねぇ。

 それでも誤魔化しきらなければならない。

 今はまだ、おそらくその時では無いだろうから………


「しかし………よりにもよって『白薔薇』とはなぁ………」


 正式な名称は『神心白薔薇聖騎士団』。

 教団が抱える騎士団の一つであり、今回の依頼の根幹となっている。

 武力もさることながら、その多くが貴族出身の者で占めており、その権威威光を笠に来て、特権階級意識や選民思想に傾倒している者が多く、信者との間にもトラブルが絶え間ない。


 そんな至極厄介な連中が、あの旦那に目を付けた可能性があるという事だ。

 本当に厄介なことだが………


「………本当に厄介なのは、『白薔薇』な事では無いのです。」


 ガルストンの呟きに騒然とする。

 これ以上、何が有るというのか。

 聞きたくはないが、確認しておかねばならない。


「まだ公にしてはいけない話なのですが、来られるのはラングリドという名の枢機卿なのです。」


 ………勘弁してくれ。


 枢機卿といえば、教皇を除けば教団のトップに君臨する者達ではないか。

 なぜそんな絶対的権力者が、この地方に来られるのかが理解できない。


「さらに厄介な事に、枢機卿には異端審問の権限が与えられている可能性が高いと聞き及んでおります。」


 ………最悪ではないか。


 旦那の突飛すぎる行動を、猊下が不快に感じるような事があるならば、異端認定されかねないと言う事か。

 そうなれば社会的に抹殺されてしまう。


 いや、それだけに収まらない。

 旦那を受け入れた人々、この街全てが異端と判断されかねないと言う事なのだ。

 それはこの街が事実上滅び、全ての住人の生が否定され、歴史上からも抹殺されてしまうと言う事なのだ。

 その連座がどこまで広がるか解らない以上、警戒し続けるしかないのだ。

 消えない恐怖を抱きながら………


 背中の冷たい汗を感じながら、この依頼の間ぐらい、ぜひとも旦那には自重してもらわねば………と考えてから、それは絶対に無理だなと考え直す。

 そんな小器用な真似が出来る人なら、最初から大人しくしているだろう。


 ………そんな旦那なんて、旦那らしくなくて気持ち悪いが………


 そんな考えが頭を過ぎり、笑いそうに成るのを噛み殺す。

 お陰で少し心に余裕が生まれたが、この危機を乗り越えれるまでは笑顔は我慢だ。


「これはこの街にとっても、そしてこの国にとっても存亡の危機と考えます。なので『銀鼠』にも最大限の協力を要請したいと考えています。」

「当然でしょう。我々としても協力を惜しむつもりはありません。急ぎラングリド枢機卿の情報を集めましょう。」

「ありがとうございます。あと、この依頼の同行者として………」

「解ってます。俺が旦那に同行しますよ。戦力的には『夜叉猫』が居れば何とかなるでしょうし。」


 今回の依頼を如何に卒なく無難にこなすか………

 頭を最大回転させ、作戦を立案しながら同行者を選択していたのだが、思っていた反応が返ってこない。

 不思議に思い、視線を上げて正面に向けると、ガルストンが何とも言えない、微妙な顔をしている。


「………まさか、他にも何かあるのですか?」

「いえ、そういう訳では無いのですが………」


 なおもガルストンが言い淀む。

 しかし、僅かに口角が上がった様にも見えたが………


「他にも一名程、使える手練れを用意いたしましょう。」

「………それは『夜叉猫』だけでは不安だと言うことでしょうか?」

「いえいえ、そういう話ではなく………」


 そう答える口元は、明らかに笑っている。


「今後の事も考えて、もう一人ぐらい顔繋ぎしておくという意味も有るのですが………逆に『夜叉猫』が不安なのですよ。」


 ………………は?




ーーー《sideーA》ーーーーーーーーーー




「よ。」


 後ろから可愛らしい声が掛かったんで振り返ると、銀髪の少女が無表情に右手を軽く上げている。


「よ。」


 その挨拶に、俺も同じ様にメルリヤに答える。


 昔からの挨拶の癖みたいなもんなんやが、俺がやっとるのを見て、面白がって使って来やがる。

 なんがおもろいんかは知らんけど。

 若い娘の考える事ぁ、よー解らん。


「こんな早い時間から何しとんねん?暇なんか?」

「おじさんより忙しい。」


 絶対にそーは見えんのやが。


「せや。ある意味丁度良かった。」

「何?」

「まだちょっと先の話やねんけどな、新しい依頼が有ってんけど、俺一人やとどないも出来んさかい、また手伝うて貰うことになると思うわ。」


 さっきガルストンさんの所に呼ばれたんやけど、なんや俺を指名した依頼があったらしい。

 なんでも、教団の騎士さん等を案内する仕事やねんけど、個人的に言うたら宗教にゃあんま関わりとぅないさかい、出来ることなら断りたかってんけどね。

 やが、依頼人がフェルメンス神父さんで、口添えがゴーランドさんやからねぇ。

 かなり世話になっとるさかい、ちょっと断られへんなぁ………


「わかった………けど、どんな依頼?」


 二つ返事で引き受けてくれるんは有り難い。


「そうかぁ。すまんなぁ。なんでも、『リムウス丘陵』って所に案内したって欲しいらしいわ。」


 そもそも、俺に案内役任せるって、かなり無理が有ると思うんやが………


 この世界に来てざっくり半年程経ったんやが、それなりに慣れたとは言うても、まだまだ知らんこと多すぎる。

 そんな俺が案内やなんて………


 まぁほんまの事言うたら、俺には裏技的な『知識』はんがついとるさかい、やってやれん事は無いんやろが………


『今からナビゲーションを開始しますか?』


 気ぃ早いって。


「『リムウス丘陵』………ここから3日ぐらい………」

「へぇ、そない離れとん。」


『『リムウス丘陵』。現在地点から馬車等を用いて、およそ3日程の距離にある丘陵。その風光明媚な環境から、以前は保養地として人気があったが、現在は訪れる者もほぼ居ません。遺跡も幾つか存在するが、歴史的価値を見出されて居りません。』


 ………どないしてん?

 急に説明始めるさかい、びっくりしたがな。


 ………まさかたぁ思うけど、メルリヤに対抗した?


『そんな事はありません。』


 ………………まぁええわ。


「けど、なぜそんな依頼が?」

「俺もそない思うんやけどな。そやけど指名依頼やさかい、しゃーないやん。」

「指名依頼?」

「せやねん。フェルメンス神父さんがね。ゴーランドさんが口添えやし。」

「………………指名?」


 眉根を寄せて尋ねられても、俺に解る訳無いやん。

 フェルメンス神父さんて、かき氷騒動からの面識で、そっからも2回位しか会うた事ないし。


 ちらちら聞こえてくる噂にゃ、今はこの街の神父さんに収まって、あんまし資金繰りも良うなさそうな孤児院まで頑張ってはるけど、実は教団内やと昔は結構な偉いさんやったらしい。

 ほんまかどうかは知らんけど。


「………………罠?」

「いや、流石にそれは無いやろ。」


 右手の拳を口元に当て、まじ顔で呟いたメルリヤに、反射的に突っ込んだ。


 なんで、そないな話になんねん。

 こんな根無し草のおっさんを罠にはめて、なんか得が有るたぁ思われへんし。

 せいぜい特許料(正式名称は知らんけど。)を孤児院に入る様にしたさかい、その御礼に小銭稼げる様に気ぃ使こてくれたんやと思うで。


 そんな考えを伝えたんやけど、メルリヤに盛大に溜息をつかれた。


 解せぬ………………




ーーー《sideーB》ーーーーーーーーーー




「これで良かったのですかな………」


 静寂が支配する空間。

 質素ながらも荘厳さを演出する灯りが差し込む礼拝堂は、声を立てる事すら憚れる。

 静かな重圧に押し潰される錯覚を覚えながらも、心に引っ掛かる疑問が零れ出る。

 とても小さな声で………


 ………まるで、懺悔をしている様だな。


 己の今の状況を振り返り、詰まらない感想が頭を擡げる。


「頼まれた通りにガルストン商会に依頼を出しては来ましたが、あの御仁に今回の依頼は不向きなのでは?」


 時間は昼を大きく過ぎた頃。

 折しも礼拝の時間だったらしく、私もベンチに腰掛けながら、平素熱心ではないが祈りを捧げつつ、終わりを待っていたのである。


 静かに礼拝の片付けをしている、十年来の旧知であるフェルメンス神父に報告に来たのだが、礼拝でも拭えなかった疑問を投げ掛けたのだ。


 そう。

 かの御仁には不向きなのだ。

 かの御仁は、記憶を失って彷徨っていたというのに。

 その様な者に案内を依頼するなど………


 本当は記憶を失っていないのかも知れない。

 そう思った事も一度や二度ではない。

 しかし、あの御仁が言いたくないのであれば、その秘密を暴く必要も無かろうと思う。

 無論、この街に害成すつもりがなければだが………


 神父に限って無いとは思うが、恩人でも有るあの御仁に不利益が有っては家名に傷が付く。


 ………いや。


 確かに御先祖様にも申し訳が無いが、それ以上にあの御仁に申し訳無い。


 ………良い御仁なのだ。

 本人は否定されるだろうが………


 我が生命を救ってくださった時も、多くの見返りを求めるでもなく、此方が負い目に感じない程度の報酬しか受け取らない。

 ならばと酒席に招いてみても、おそらく年長だとは思われるが、けっして横柄にするでもなく、とは言え卑屈にもなるでもなく、まるで対等の立場の様に明るく酒坏を交わしてくださる。


 狐狸妖怪の類が如きの者共を、相手にせざるを得ない私としては、今では得難き友だとも思えている。


 その様な御仁が、悪意の奔流に飲み込まれるのを見過ごす事は、私には出来はしない。

 

「答えてはくれぬのか?その真意を………」


 故に問い掛けずにはいられない。


 その様な平素を忘れた醜態を晒す私に、フェルメンス神父は微笑みを答えとして返してきた。

 慈愛溢れる微笑みを………


「すべては御心のままに………………」






《See you next trip》

如何でしたでしょうか?


凡人なりに考え抜いて、

お届けしたつもりです。

しかしまぁ………

考えている時点で駄目なんでしょうけど。


それでも努力してまいりますので、

これからも読んで頂けたら望外の喜びです。


さて………

そろそろグウタラなおっさんにも、

本格的に活躍してもらいましょうかね………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ