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《Prologue One》

 くそ素人の拙い文章の羅列です。

 何分、初めての挑戦なもので、御目汚しではありますが、御読みいただけたら幸いです。



 気がついたら、真っ白い世界やった。


 どこや?ここ………… 


 上も下も、目に見える全てが真っ白や。

 ついさっきまで、大阪の繁華街に居たはずやのに。

 行き交う車と人波に揉まれ、騒音と高層ビル群に包まれとったはずやのに、今は地面と空との境目すら解らんぐらい、ただただ真っ白な世界や。


 いや、地面はあるんか?

 立っている感覚はあるが、影一つ見当たらへん。

 視覚に頼ると、自分が空に浮いとる様に思えてまう。

 なんやら感覚が狂うてしまいそうや。

 一瞬雲の中かと思ったけれど、意外と光が通らんちゅう話やから、思てたより暗いやろうからちゃうよな。

 それに、俺生身やし。

 そもそもここが空の上なら、周りに俺しか居らんし、このままやったら死亡確定やけど、落下しとる感覚はあらへん。

 それに、俺は変に落ち着いとる。

 本能的に悟る危機感を感じとらんと、地に足付けて安定しとるみたいや。

 ちゅうこって、ここは雲の中やあらへんし、絶賛落下中でもないちゅうこっちゃ。

 ほんま、ここはあまりにも澱みがなく、眩しいほど明るく真っ白や。


 気が狂いそうになるほどに…………


「……地獄か?」

「いや、第一声がそれってどうなのでしょう?」


 思わず漏れ出た俺の呟きに、横手から誰かが声を描けてくる。

 その声につられて振り向くと、そこにいつの間にか男が佇んどった。

 身長は、俺とどっこいって感じ。

 少し外国人っぽく鼻が高くて彫りが深い。

 少しチャラそうな笑みを貼り付けながら、その蒼い瞳でこちらを観察する様に見てくる。

 やたら無駄に布地の多い服は、ベタ過ぎる神様の様だ。


「ハロウィンは終わったと思とったが?」

「貴方のイメージに合わせたのに、なぜそういう認識に?」


 そう言いながら、男はこちらに近づいてくる。

 いかにも心外だと言わんばかりに、手のひらを上に向けて肩を竦める。

 リアルにこんなポーズとる奴、初めて見たわ。


「想定以上に冷静ですね。それに……地獄ですか。どうしてそう思ったのでしょう?こんなにも光溢れる世界なのに。」


 男にそう言われて、あらためて周囲を見回して見る。

 なるほど、もしここが天国やと言われれば、あまりにも無味無臭で味気無さすぎやけど、これが死後の世界と言われれば、まぁこんな感じなんかも知れん。


「天国に行けると思とるほど、自惚れとらん。」

「アハッ。なるほどねぇ……」


 男は、思わずといった雰囲気で笑い出した。

 ちょっとイラッとしたが、そうも言うてられんやろうから我慢する。

 おそらく今は現状把握をした方がええやろう。

 あらためて味気もクソもない、ただただ真っ白いだけの世界を眺め、その後自分の手のひらを見つめた。


「そうか……俺は死んだんか……」

「ええ、間違いなく。突っ込んできた車にひかれてね。」


 確信と諦めの混じった呟きに、男は気軽に声を返してきやがった。

 少しは気ぃ使えやとは思うが、たぶんコイツに何言うても無駄やろう。

 諦念に至る心境で、話の続きを促す。


「外国製の大きな高級車でしたからね。ほぼ即死でした。不幸中の幸いは、遺体はそれほど損壊していなかった事と、他に死亡者が出なかった事です。まぁ怪我人は数人出ましたけどね。運転していたのは73歳になるご老人で、運転ミスが重なった結果ですが、逮捕はされましたが、勾留されていません。何故ですかね?」

「知らんがな。割りかしよう有る話や。」

「社会問題にもなっているようですが、ほとんど進展がありませんねぇ。」

「政治握っとる老害連中が、自分等に都合の悪い法改正したないねんやろ。」

「フフッ。辛辣ですね。」

「死んどる身やがな。好きに言わせてくれ。」


 ぺらぺらと喋る男から視線を外し、ただ真っ白い世界を眺めながら、男との無駄話を思い返し、必要だった情報を聞けて、胸の内で安堵する。


「ええ、女の子は無事ですよ。」


 こっちが意識を外してた所に、男の言葉がスルッと忍び込んできて、思わず男の瞳を見返した。

 コイツ、心を読んどるんか。ほんまもんの神様みたいやな。


「まぁ、その様な認識で間違いありませんよ。貴方が身を呈して庇ったおかげで、軽い怪我ですんでいます。しかし、貴方が死んでしまっているんで、少しはトラウマを抱えてしまうかも知れませんが……」

「生きてるだけで、儲けもんやがな。」


 そう言い返すと、俺は男に背を向けた。

 どうせ心は読まれてまうやろうが、今は表情を見られとうない。

 ゆっくりと、静かに肺に溜まっていた空気を吐き出した。


「…………そうかぁ…………」

「…………感傷に浸っている所申し訳ありませんが、これからの貴方の事についてお話しがあるのですが……」


 …………本気で空気読まんやっちゃなぁ。

 会社で部下に嫌われてるのに気づいてない、禿げた上司のオッサンの様やな。


「ひどい言い様ですね。こちらが心を読んでいるのを理解した上で、絶対わざと考えているでしょう。こちらを神に類するものだと認識しているのに、ずいぶんな態度だと思うのですが。」


 知らんし。

 こちとら神社仏閣にはきっちり御詣りするけども、怪しい宗教団体に毒される位なら、無心論者で徹す方がよっぽどましやと思とるくちや。

 ましてや、人の心に土足で踏み込んでくるような奴を、神さんやと認める気はさらっさらない。

 どっちか言うたら悪魔の所業やな。


「…………参りました。此方の非礼をお詫びいたします。話が進まないんで、勘弁してください。」


 …………まぁええやろ。

 こちとらくたばっとる身の上で、今こうして喋っとるってことは、これからの身の振り方を話すって事やろ。

 やけど、ほんまの事言うたら、できたら可愛いお嬢さんが良かってんけど。

 スタイルも良ければ言う事無しや。

 美醜をとやかく差別する気はあらへんが、折角やったら良い方がええやろ。

 枯れちゃぁいるが、これでも一応男やし。


 乳も尻も脚も大好きです!


 せやから、こんなむさい兄ちゃんは御免被りたいわ。

 まぁそれでも、これから世話になるんやろうから、少しは敬ってもええやろう。

 たとえ鬼畜で、厚顔無恥で、無礼極まりなく、外道の極みやったとしても。

 我慢して、めっちゃ我慢しよう。


「だから、本当に許してください。っていうか、いい加減声に出してもらえませんかね。」

「……なんや、意外とメンタル弱いな。」

「こう見えて精神体ですからね。」


 男が心底疲れたようにため息をついているのを横目に見て、少しは溜飲を下げていると、気を取り直したのか真面目な顔で語りかけてくる。


「貴方には別の世界に行ってもらいます。」

「……異世界転生とか、転移ってやつか。」

「よくご存知ですね。」

「よくスマホで小説読んでたからな。わりとありふれたストーリーやで。」

「……嘆かわしい事ですね。ただ貴方の場合は、少し問題がありまして。」

「なんや。蜘蛛とかスライムになるんか?」

「いえ、普通の人間ですが。何ですかそれ。」

「気にせんといて。」


 思わず溢れでたヲタ知識に、口の端に苦笑いを浮かべながら、話の先を促す。


「で、なんやねん。」

「問題というか、確認事項なんですが……」


 男が初めて視線を外し、少し間を取ってから問いかけてくる。


「あの時、貴方は死のうとしていましたね?」



《See you next trip》

 いかがでしたでしょうか?

 楽しんで頂けたのなら幸いです。

 感想等頂戴できますれば望外の喜びですが、当方ガラスのメンタルのため、御手柔らかにお願い申し上げます。

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