金色の魔犬のエミリオ10 エピローグ
明くる日。
イマジナリ・ロストに戦艦がやってきた。
望月重工製のフリゲート艦。
積載可能機体数、30程度の小型艦。
これはNo.77である僕が手土産として持ち込んだ戦力だ。
ナンバーズにジャンク屋グリムシェイドが名目上貸与したものであり、そこには魔犬部隊が含まれる。
あの決闘のあと、僕は父の支持の通りに戦艦と魔犬部隊を引き連れる事を承諾し、その代わりとしてナンバーズと望月重工の不可侵を申し出た。
当然に却下されるものと考えてはいたが、なんと一部が認められた。
ナンバーズを望月重工の戦力に引き込む交渉と引き換えに、交渉中である限りは不可侵であると約束を取り付けたのだ。
もっともそれが本当に効力をもつなどと、さすがの僕も考えていない。
重要なのは、僕が父からあの透明な眼差しを受けず、形上でも譲歩を引き出したという点。
今までから比べれば、大きな進歩だった。少しは認めてくれた、などと自惚れないようにしなければ。
ベースにはいつも誰かがいる。
僕はとりとめもなく考える。
この騒がしくも心地よい居場所を、どうか壊させないで下さい。
僕がこれ以上、運なしだと思わなくていいように努力しますから。
もしも神様なんてものがいるのなら、どうか僕にも僅かでいい、心休まる居場所を。
そのためになら、僕は。
僕は、どんなことだって。