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白き月蝕のヴェンデッタ  作者: 烏月ハネ
金色の魔犬のエミリオ
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金色の魔犬のエミリオ5

死神の口づけ、及びベルベット・バルデスについて。

死神の口づけは、かつて連合傘下協力企業で経営破綻した警備会社を母体とする傭兵群である。ベルベット・バルデスはかつての社長であり、現在の群のリーダーを担う。その実態は傭兵ではあるが、極めて素行不良であり、命令違反も多いが、荒事には容赦も躊躇もなく挑んでいくため、一部の組織からは鉄砲玉として使われている、いわゆるゴロツキに近い。

「んだよ、やっぱ小物じゃねぇかよ」

「マスターの想像通りでしたね」

「どうせ反望月グループか私に恨みがあるか、そういう奴の嫌がらせ依頼だろ、これ」

「でしょうね。お姉さまのハッキングでも依頼主までは特定できませんでしたから、それなりのバックがいるのでしょう」

「まァ、そうでなきゃ、ナンバーズを相手どるなんてアホな真似しねぇわな」

「そもそも、マスターに勝てる見込みがありませんよ、彼等程度では」

「違ぇねぇ。さっさと片付けるとするかね」

ドロシーのメール内容を改めて確認しおえて、目的地座標まで、アリスはブースターを吹かせる。



「ハッハー!こっちから来てやったぜ!」

オープンチャンネルで来訪を告げつつ、バスターレーザーライフルをぶっ放す。

基地格納庫の分厚い金属扉を飴細工にしたら、巻き込んだ機体を蹴り飛ばしつつ中へ。

事前情報によれば、ここは元・警備会社の地下シェルターを利用した施設で、地下に闘技場があるらしい。背後にビーコンを巻きつつ下へ下へ。

道中何機かの奇襲を軽く退け、挨拶がてら機体を壊して進む。

「やっぱ弱っちいわ」

難なく闘技場にたどり着く頃には、想定の半分を倒している。

闘技場にはその残り。

一番奥にベルベット・バルデスは陣取っていた。

「ようこそ、ナンバーズのエース。よくぞここまでたどり着いた、と褒めてやりたいところだ」

名前の通りベルベットカラーの陸戦アルトが身体を軋ませて嘲う。

特殊そうなバックパックは背負ってるが、全く威圧を感じない。

「御託はいらん。さっさと始めようぜ」

全く燃える要素のない戦いなど、アリスには退屈な作業でしかない。むしろ、戦いにすらならなそうだ。

そんなことを考えていると、ベルベットは言う。

「まぁそう急くな。とっておきの秘策を用意してあるのだ」

ゴゥン。

何かの起動音がしたと思いきや、身体が一気に重たくなる。

機体操作も鈍くなり、セレネがアラートを表示した。

これは。

「ははぁ、これは局所重力場発生装置か?なかなか金のかかるものを。アンタ金欠で会社潰れたんじゃなかったっけか?」

機体が重たくなるため、丁度いいハンデになるか?

まだ相手の威圧感は足りないので、挑発してみる。

それは想像以上にベルベットに刺さったらしい。

「黙れ!会社が潰れたのは、連合の阿呆どものせいだ!私の戦力を無碍にした挙げ句、やすやすと切り捨てた罪は、必ず償わせてやる!」

こいつ、無能なのに自覚なく、世界が自分中心じゃなきゃ済まないタイプだな?

「それを私に言うなよな。関係ないだろうが」

いい感じにキレたのが、タイミングだった。

「貴様らは目障りなんだよ!お前たち、やれ!」

総勢10機。

アルトとラビオット、それぞれそれなりにカスタムした機体。

「ハァー、生温いにも程があんぜ」

だが、全く持って不足。

これじゃ欲求不満確定だな。

「なっ?!」

煉獄月蝕石(ムーンクォーツ・ヘル)が、連接剣を真一文字に振り抜く。

重力場にも負けない速さと鋭さは、闘技場となっていたために横一列でアリスを囲んでいた機体全てを一刀両断した。

「この程度で、私とこの死神が止まるとでも思ったか?」

力量も機体性能も全く足りん。

出直してこい。

まァ、出直す機会なんざ、もう無いけどな。

「テメェ、誰の差し金だ?死にたくなけりゃ、さっさと金の出処吐けよ」

後退るベルベットを追い詰める。

マウントからアサルトライフルに持ち替え、一歩進むごとに腕を、脚を撃ち抜いていく。

「ひ、ヒィ、馬鹿な、馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な!この私が、死ぬ?死ぬ、のか?」

あー、こいつダメだな。

この状況でこうなるか。

ま、後でドロシーに電子データ漁らせればいいか。

ズドン、。

小悪党どもを、感慨もなく始末する。

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