077 ひと違いです、他人ですよ~?
「……あら。人違いじゃないでしょうか? 私はあなたを存じ上げませんけど」
「オリビア! あんた、髪色と目の色をどうやって変えたのかわかんないけど顔が全く同じなんだから間違えようは無いんだからね! しかも声もおんなじだし。そんな顔と声をしていて惚けても無駄だよ!
あんたは獄死したことになってるけど脱獄したことは知ってるんだからね!」
チッ。ごまかせなかったか。アリスからは「なんなら人相も変えられるけどどうする? ちなみに僕は今のオリビアの顔は大好きだけど~」って言われたから人相を変えるオプションは放棄したんだ。
どっちにしろ、アリスの奇跡の力を目の当たりにしてるから顔バレしたってなんてことない。平気だって思ったから髪色と目の色だけを変えたんだよ。
「はて、そんなこと言われましても? なんのことやら困ってしまいますー-」
継母は惚ける私を見つめると地面に膝をついて額を地面に擦りつけながら私に訴えてきた!
「オリビア…… 私が悪かった…… ゆるしておくれ。ガーベラは今、王命で王弟殿下と第一王子の治療を強制されていてこのままじゃ命が尽きてしまう! お願いだ、たすけておくれ!」
大通りの中央に停車していた大型箱馬車からはお父様と妹ガーベラも出てきた!
「オリビアお姉さま! 本当にお姉さまなんですのね! ああ、神様ありがとうございます。あの恐ろしい地下牢に入れられてしまった罪人のお姉さまが元気に戻ってきてくれました!」
「オリビア! おまえ、無事だったら、なんで父に報告しないんだ……」
ええー、今更あなた達と再会しても困るんですけど。私を散々に虐めてきて、あの婚約破棄と断罪の時には第一王子の腕にしがみつきながらニヤニヤと私を見下していたでしょうガーベラ!
しかも私のことを大通りのど真ん中で「罪人」って。ナチュラルに私をディスるところは変わっていないんだね……
お父様も私に対する愛情を欠片も感じさせない父娘再会の第一声。さすがです。
私とアリスはお互いに顔を見合わせて。ゆっくりと彼らクロッカス伯爵家の面々から距離を取る。
ひと違いです、他人ですよ~? という体で立ち去ろうとしたけど継母にタックルされて動けなくなってしまった。困った。
♢♢♢♢
私たち二人は伯爵家の3人から宥めすかされながら領都にある大公爵邸に引きずるように連れていかれた。
お父様の仰るには。伯爵家の3人は大公爵の治療のため大公爵邸を訪問する途中の大通りで偶然にオリビアそっくりの私を見つけて継母が私に突撃したということらしい。
……なんて運とタイミングが悪いんだろう。犬の糞を踏んだような気分になってしまった。
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