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074 王都ってきれいだな


「で、オリビア、第一王子とか王族、伯爵家の家族に復讐とかしたい? したいなら簡単だよ。彼らを物理的にひねりつぶすのは簡単だけどー-」


「ううん。そんなことはしたくない。そんなことしたって私の居場所ができるわけじゃないから」



 精霊さんはピカピカと優しく光って私の意見に同意してくれたみたい。良かった、精霊さんとは気が合う。



「そうだよね。だったら、外見をちょっと変えてオリビアだと分からなくして平民として暮らすことにする? 生活するだけなら何とでもなると思うんだよね。それともだーれも人の住んでない山奥か森の中で一人暮らしもできると思うよ」


「うーん。あんまり人がいないのも寂しいかも。できれば王都か大きな街の平民として暮らしたいけど、できる? たぶんあと5年位しか生きていけないから少しの間だけでいいのよ……」


「ああ、『治癒』で命を代償にしたんだね。そのことだったら大丈夫、光の精霊である僕の力で何とかなるはず。光の精霊は生命と精神を司るんだ。ちょっと待ってね……」



 あら。そうだったっけ。光の精霊は「癒し」と関係が有るからそうなのかな?



「はい! いまオリビアの生命力を操作して命の欠損、縮まってた寿命を元に戻しました。あと、寿命を対価に治癒を行う欠陥スキルを削除して魔力を対価に治癒を行える本物の『治癒』を加護として与えましょう。はい。できた」



 そんなことできるの! 確認を……私は慎重に「治癒」をごく弱い力で自分自身に掛けてみる。



 ああ、私の命の欠損が無くなってる。それに「治癒」を使っても命が削れた感じがない!



「ありがとう精霊さん……! 私、生まれ変わったみたい。ああ、これで人生をやり直せる!」



 私は光の塊の前に跪いて感謝を捧げた。




 五分くらい感謝を捧げ続けていると精霊さんからお言葉が。



「オリビア、感謝は十分に受け取ったからもう大丈夫。次は君の外見を変えようか。髪色と目の色、何色が好き?」


「精霊さんは何色が好きなの? 精霊さんの好きな色にしてほしい。精霊さんに好かれたいし、大好きだから!」



 私はニッコリと微笑んで問いかける。



「ふふふ! じゃあ、僕の好みで、髪は黒、目はブルーグレー。んで、髪の長さは肩口までのショートにしようか。この世界の常識だと貴族は背中や腰まで伸びる長髪が普通だけど平民は短いから丁度いいよね? ではさっそく。そーれっ!」



 精霊さんは私の目の前に全身姿見を作り出した。どうやって作っているのか見当もつかないけどその鏡は歪みなく汚れなくまるで私がもう一人そこに座っているように見えた。


 髪の毛と目の色が変わって髪の長さが短くなっただけで印象がガラリと変わる。これならぱっと見私だとは分からないんじゃないと思う。


 私の隣には精霊さんが宙に浮きながらピカピカと光っている。



「ねえ、精霊さん。精霊さんってお名前があるの?」


「名前か……僕には名前はないんだ。けど精霊さんって呼ばれるのは周りに人が居たりすると困るかもね。どーしようかな。じゃあ僕のことはアリスって呼んでくれる?」


「アリスね、分かった! アリス、これからどうするの?」


「そうだね。まずは地下牢から出よう。 オリビア、危ないからドアから離れてくれる? そうそう」



 アリスがその輝きを急激に増したかと思うと「ドン!」という低い音とともにドアが消滅した。



「……アリスすごいね。ドアが消えたというか、壁ごと消えてしまったんだけど。これはどんな魔法なの?」


「これはドアや壁をこの世界から消し飛ばしたー-消滅させる、そういう魔法だよ。これを使えばだいたいの敵は消し飛ばせるよ」


「アリスは強いって言ってたけどほんとなんだね」


「ふふ。そうだよ、僕は強いんだ。安心して頼っていいからね」



 私はアリスの後に続いてドアのあった場所を潜り抜けて廊下に出た。廊下には誰も居ないので地上へと続く階段を上っていく。登りきったところにドアがあったけどアリスがさっきの魔法で消滅させた。



 建物の外に出ると、そこは王城の一角。私は来たことないから初めて見るけどお城の北側にある中庭だった。地下牢に連れてこられたときは夜だったし動転してたから良くわかってなかった。

 時刻はよくわからないけど夜であることは間違いない。月明りでそれなりに明るい。脱獄して逃走するには条件は悪いような気がする。



「オリビア、こっから北のほうにあんまり人が入り込まない森があるからほとぼりが冷めるまで潜伏しよう。森までは飛んでいくからあっという間だよ」



アリスがそう言うと私の身体が空中にゆっくりと浮遊して上昇しだした!



「エッ アリス、大丈夫なの?!」


「大丈夫大丈夫、全部僕に任せて楽にしてればいいよ」



 私はぐんぐんと上昇していき王城はあっという間に眼下に小さくなっていく。




 上空から見る王都は月明りに照らされて神秘的な美しさがあった。都市城壁の外は耕作地、ところどころ森林となっている。


 王都は周囲を巨大な外壁で囲まれていて外敵からの侵入、攻撃を防いでいる。この王都は端から端まで歩けば一刻ほどはかかると思う。この外壁の中だけで10万人ほどの人が暮らしている大都市なんだ。




 私がジッと眼下の王都を見続けているとアリスが声をかけてくれた。



「オリビア、どうしたの?」


「うん。王都ってきれいだなって思って見てた」


「そうだね、綺麗だね。この世界は綺麗なものがいっぱいあるから僕も大好きだよ」


「うん。ほんとキレイ。伯爵家の家族や王族はあんなに意地悪で嫌な人たちなのに……」




 私たちはしばらくの間王都を上空から見下ろしてから北の森へと移動を開始した。








読んでいただきありがとうございます。

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