01-83.摸倣
せ、セーフ?
アウトです。ごめんなさい。
「残りは・・・」
そう言って、オレのギルドカードを
見直すヌアクじいさん。
・・・・・・
ユニークスキル:
スキル:
・剣術の心得:★2
・鑑定:★5
・劣化光魔法の初歩:★1
・巨乳ハンター:★6
・騎士の誓約:☆8
・狂信者の祝福:★2
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「"騎士の誓約"は、レア度8!!
素晴らしいな!!
コレも聞いたことないスキルだ!」
「そう・・・でしょうね。」
「それで、どんな効果なんだ?
騎士の誓いと言ったら、
決して破られない契約
みたいなもんだからな。」
「な、なるほどー。
決して破られないですかー。」
「ん?良く見たら、★の色が違うな。
☆になってる。
レア度8からは色が変わるのか?」
なるほど。
そう言う風にも考えられるのか!
でも実際は、
スキルを獲た経緯を知れば・・・。
オレは、ヌアクさんに詳しく説明する。
オレへの殺害依頼の手紙が、
運悪く忠義の厚いゾンビ騎士へ届けられ、
アンデッドに好かれる体質に
なってしまったことを。
「それは、うらやま・・・
気の毒だな。
まったく気の毒だ。」
ヌアクさんは、
全然気の毒そうじゃない。
逆に嬉しそう!
この人にとっては本当に
効果の良い悪いに関わらず
レアスキルを見れたことの方が
重要なんだろうな。やっぱり。
「経緯から考えると、
アータルの言う通り、
と言うか、
その僧侶が言う通り、
アンデッドが寄ってくるスキル
・・・と言うより
呪いの類いなんだろうな。」
「そうだと思います。」
「でもまぁ。いや。なんだ。
死んでも約束を守るたぁ、
大した誠実さじゃねぇか。」
「え。それ、アドバイス?
オレに対するアドバイスのつもり?」
「いやいや。アータルには、
もっと必要なアドバイスがあるぞ。」
「そう!そう言うの待ってた!」
「スキルに良いも悪いもない。
そのスキルをどう使って生きるか、
それが人生で一番面白い。」
「ロマンは伝わった。
だが、それは断じて
オレの心に響くような
良いアドバイスではない!」
「ま。人それぞれだ。
では最後だな。」
ジイサンはさっさと進めてしまう。
「"狂信者の祝福"か。
名前は禍々しいが、
コイツは呪いの類いじゃ
ないんだな。
★2だし。」
「そうですね。
一応コレのお陰で、
街の外の普通の道では、
アンデッドに襲われなくなりました。」
「それにしては、
ランクが足りないな。」
「その僧侶さん、
あんまりそう言うの、
得意そうには見えなかったし。」
そうしてアルマイタを思い出す。
教典を鈍器と言い切る潔さ、
そしてあの・・・
「まぁ。これである程度は
相殺できているのは確からしい。」
ですってよ!
アルマイタさん!
アナタの祝福、効いてるってよ!
「それにしてもアータルは、
スキルが散らかってるなぁ。おい。」
「散らかってる言うな。
好きでそうなったワケじゃない!」
「"蛮族の好奇心"のせいか。
実に面白いじゃねぇか。」
「面白い!?
他人事だと思って!」
「あぁ。面白いぜ。
カードゲームで言ったら、
役無しブタだが、
そうは行かないのが、
人生の面白さよ。」
「カードゲームなら、
手札の交換とかできるけど、
スキルは捨てたりできないでしょ?」
「だから面白いんじゃないか!
使えないって思われてたスキルが
意外なところで役に立つ。
ロマンだろ?」
「ロマンじゃメシを食えない。」
「アータル、お前・・・
変なところオッサンだな。
夢を諦めたオッサン。」
「目の前の現実をちゃんと見てる
って言ってよ。」
「まぁ、アータルの人生観は
どーでも良いが、
本題に入ろうぜ。
"蛮族の好奇心"だ。」
ヌアクじいさんに、
オレの人生観を脇によけられた。
ホントこの人、
子供みたいだな。
自分の興味あるところだけで
生きていると言うか
ちょっとうらやましいかも。
周りを気にしないで、
自分の好きなことだけを
貫き通せる姿が。
「ちょっと長い話になるがいいか?」
「意味のある話なら。」
「意味はアータル、お前で汲み取れ。
俺は知っている話と
今までの経験から話す。」
「まぁ。聞いてみるか。」
"まぁ。"が伝染っちまった。
「コピースキル、クローンスキルと
"蛮族の好奇心"の違いについてだ。」
「"蛮族の好奇心"も
コピースキルなんだろ?」
「まぁ。落ち着け。アータル。
この世には他人のスキルをコピーする、
コピースキル
流派によってはクローンスキルって
呼ばれるスキルの他に、
他人のスキルを奪う、
ロブスキルってのもある。」
「スキルを奪うってスゴいな。」
「そうだな、戦闘中に相手のスキルを
奪うことができたなら、
相手を無力化できるからな。
残念ながら"蛮族の好奇心"は、
コピースキルらしい。
が、ガッカリすることはない。
逆にスゴいスキルだ。」
「と言うと?」
「例えば、とても威力の高い
攻撃魔法のスキルを盗ろうとしよう。」
「フムフム。
ロマンがあるな!」
「クローンスキルやロブスキルなら
オリジナルと遜色ないものを
得ることが出来るだろう。」
「スゲー!!
超強い人からスキルをコピーさせて
もらったら、無双できそう!」
オレがそう言うと、
ヌアクじいさんはニヤッと笑って言う。
「だが、もしアータル、
お前みたいな半端な冒険者が
その盗ったスキルを使ったら、
使った瞬間に身体が爆散する。
魔力の制御に失敗してな。」
「えー!!!」
「もしくは運良く、
魔力が足りずに魔法は発動しないで、
身体中のエネルギーを消費して
お前だけが消滅するか。」
「怖!なにそれ。怖!!」
「まぁ、もちろん高位の略奪系スキルなら、
その辺も上手くやってくれるヤツも
あるだろうがな。
俺は、爆散したヤツしかしらん。」
「爆散したヤツは知ってるんだ。」
「あぁ。最高のスキルを手に入れた!
と調子に乗って、そのザマだ。
欠片すら見つからなかった。」
それって、
ヌアクさんの知り合いなのかな。
込み入ったことになりそうだから
聞けないけど。
「本来、人のスキルに
手を出すようなスキルは
リスクが高いだろうな。
滅多にお目に掛からない。
まぁ。隠したがるだろうしな。」
「誰も、自分が苦労したスキルを
簡単に取られたり、コピーされたら、
そりゃ腹が立つよなー。」
「だが、お前さんのスキルは違う。
自分の思い通りにスキルが得られない。」
「確かにそうだ。」
「しかも実際にスキルの効果を見ないと、
コピーできない。
今までの話の中で、
"鑑定"と"巨乳ハンター"だけが
"蛮族の好奇心"がコピーした
スキルだと考えられる。
何か共通点は無いか?」
「うーん。何だろう。
何となくそんな感じかーって
納得したところ?」
「それだ!
俺が思うに、スキルを
視て覚えてるんだ。
自分の理解できる範囲で。
オリジナルよりは劣化するだろうが、
今のアータルの能力の中で、
最大限の再現をする。」
「それってコピーじゃなくて、
物真似なんじゃないの?」
「何言ってるんだ。
全ては模倣から始まるだぞ。」
「モホー?」
「真似ってことだ。
さっきも言ったように、
単純に他人のスキルをコピーすると、
使いこなせないどころか、死ぬ。」
オレは、うんうんと首を縦に振る。
「だが、蛮族の好奇心は違う。
自分の中で最適な形で
再現しようとするだけ。
限界を超えて死ぬことはない。
まぁ。死ぬほどの苦痛を伴うことも、
あるかもしれんがな。」
「オレは新しいスキルに出会うと、
無意識に肉体や精神の限界に
挑戦してるってこと?」
「いやいや。さっきも確認したが、
何でもスキルをコピーするワケじゃない。
気になったスキルだけ、
コピーしてるんだと思う。
その中で再現できるものがスキルとして
ギルドカードで見えるようになるんだろう。
まぁ。推測の域を出ないが。」
「推測かよ!」
用語説明:
・アルマイタ
撲殺僧侶
・それだ!
事実と、意見や希望がごっちゃになってる。
世の中そんなに甘くない
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次回は週末を予定しています。




