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歩けば何処かに辿り着く  作者: 河内 胡瓜
新拠点
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01-69.ウソつき

気付いたらこんな時間でした。

ごめんなさい。


楽しめるモノが書けるように頑張って行きます・・・。

 ガランガランッ


イオアンが手放した槍が床の上で

鐘の鳴るような音を出し、

空気に溶けるように土になっていった。


ギルドホールの冒険者たちは、

そんな3人を遠巻きに見て、

ヒソヒソ短い会話をしている。


 パンッ!パンッ!パンッ!


突然拍手が聞こえる。


「はいはい。みんなどーしたの?

 仕事に戻ってー。」


ダンディーなオッサン出てきた。

長身で服もビシッとしており、

白い手袋、そして腰には、

長剣にしては短い剣を提げている。


そして、軽々とカウンターを越えて、

グンナーたちの前まで来ると、

しゃがんで床に散らばった土を手で触り、

確認する。


そんな不用意に触って良いのかな?


「うん。ただの土。

 じゃ、お三人さん、

 キレイに片付けてね。

 ツバキ!ホウキとチリトリー!」


「は、はーい。ただいまー。」


ギルド職員が一人奥にかけていく。


「よし。解決。

 はーい。みなさん。

 ボーッと見てるだけじゃ

 日が暮れますよー。

 仕事に戻った戻った!」


そう言って、また手を叩く。


三人は、先ほどの女性職員から

ホウキを受け取り、土を片付け始めた。


あっという間に解決した騒動を、

オレはボンヤリした目で見ていた。


結構眠くなってる。

思えば、身体を酷使したなぁ。


ストレッチでもしてみようか。

首を回したり、肩を回したり。

足も座っていてもできる程度で

伸ばしていく。


身体中痛い。

目に見える傷やケガは、

回復薬(ポーション)をぶっかけて治している。

飲んで治すこともできるが、

効果が出るのに時間が掛かるんだ。


────


「アータルお待たせ~!」


ヴィーナがウキウキとした足取りで

戻ってくる。


「何か良いことあったの?」


「あったあった!

 報酬上乗せだってー。」


「マジでー!?」


「貧乏なアータルには、

 ビックリな金額だよ!」


「そんなに?!」


「うん。バッチリ!期待しといて!

 ・・・それより、あの三人は何してるの?」


オレはさっきの顛末を話した。


「自業自得ってとこだね。」


オレが言うと、


「酷く呪われてたんだね・・・。」


と、一瞬ヴィーナは顔を曇らせるが、


「そんなことより始めましょ!」


「へ?」


「打ち上げよ!!」


────


「「カンパーイ!」」


 ゴキュゴキュ

 プハーッ


年頃の娘さんが腰に手を当て、

ジョッキを飲み干してる。

もちろんオレはそんなことできません。


「いやー。色々あったけど、

 終わった終わった。

 仕事のあとのこの一杯!

 たまらんねー。」


オッサンと化したヴィーナが、

ハイペースで飲んでいる。


あれ?デジャヴかな?


ヴィーナは、真っ赤な顔で

グビグビッとジョッキをあおる。


「飲みすぎだよ。」


「なんだとー。

 金が入ったんだー。

 飲まずにいられるかーい!」


このあとの流れは何となく

予想がつく。


「おらーアータル聞いてっかー?

 オネーサンの酒が

 飲めねぇって言うのかー?」


「はい。アータルです。

 飲めないです。」


「なんだとぅー。」


「そんなこと言っても

 飲めないものは飲めないです。」


「あらあら。

 私も混ぜてもらっても良いかしら?」


「ヘルミオネさん!」


ピンチの時のヘルミオネさん。

女神に見える。


「また飲みすぎなの?

 ヴィーナ?」


「ミオネー。そんなことないよー。

 グルグル世界は回ってるけどー。」


「またアータルくんに

 おウチまで送ってもらうつもり?」


「そうだぞー。いいだろー。」


と言って、机に突っ伏すヴィーナ。


 くかーっ。


タメ息をつくヘルミオネさん。


「ごめんね。アータルくん。

 一緒に送ってくれる?」


あれれ・・・?

ヘルミオネさん、何か前回と印象が違う。


じっとヘルミオネさんを見ていると、

ちょっと気まずそうに・・・


「あ。この前はごめんね。

 私もちょっっと酔ってたの。」


"ちょっっと"のところを

指で輪っかを作って強調してる。


「仕事モードだから

 メガネ掛けているんですか?」


「うふふ。そうね。」


笑顔が弾ける。

でも、すぐに真剣な顔になって、


「今日のヴィーナは、

 何て言うのかなー

 こんな風になっちゃうんじゃないかなー

 って気がしてたの。」


「これもギルド職員の業務の一貫ですか?」


「んー?意地悪な聞き方ね。アータルくん。」


ちょっとヘルミオネさん、笑顔が怖いです。


「今日のはヴィーナの友達としてよ。

 さ。行きましょ。アータルくん。」


テキパキと手際よく、

ヴィーナをオレの背中に乗せてくる。


「支払いは済ましておいたから。」


「え。お金は?」


「あとでいいよ。

 まだこの街にいるでしょ?」


「分かりました。明日払いに来ますね。」


「ざんねーん。明日は非番でしたー。」


「じゃあ明後日でも・・・。」


「そうね。でもまずは身体で払ってね。」


と、オレの胸を手をグーにして軽く叩く。

背中に乗せたヴィーナは熱く、

ヘルミオネさんのノックは胸に響いた。


────


「お久しぶりです。」


宿屋の体格の良いオネエサンと

対峙している。


「ここは男子禁制だよ。

 ヴィーナを置いたら、

 とっととお帰り。」


「はい。そーしますー。」


慣れたもんで、そそくさと出る。


「ヘルミオネさんも送りますよ。」


「ありがとう。

 じゃあ、お願いしちゃおうかなー。」


ヘルミオネさんと連れ立って歩く。

何て声掛けたら良いだろう。


「アータルくんは・・・」


と、ヘルミオネさんが話し出そうとして、

うつむいてしまう。


変だな。いつものヘルミオネさんとは違う。

いつもはもっと全力でオトコゴコロを

もてあそんでくる感じなんだけど・・・。


と、ヘルミオネさんを見ると、

モジモジしている。


「あ。着いちゃった。」


ヴィーナの宿屋から

そんなに離れていなかった。


「ありがとね。アータルくん。」


ちっちゃくバイバイして、

建物に入っていく。

冒険者ギルドの職員寮だそうだ。


オレは大きく息を吐く。

色々緊張したな・・・。


一番緊張したのは、

オレ帰れるかな?

ってところだったけど。


オレは無事にいつもの宿に戻って

ベッドに入って目を閉じた

・・・ところで大事なことを思い出した。


"イイコトさせてあげる(はーと)"


忘れてたー!!!!!


────


翌日、ギルドにお金をもらいにいく。

昨日の時点でもらいそこねてた。


今日はヘルミオネさんは居ないけど、

誰かに聞こう。


冒険者ギルドに行ったら、ヴィーナがいた。


「あ。アータル。」


「ヴィーナ!」


ヴィーナはオレの顔を見ると、

目を伏せてちょっと耳が赤い。


「大丈夫だった?」


他にどう聞けばいいか分からなかったので、

無難な感じで。


ヴィーナは、


「昨日はごめんなさい。

 それでね・・・」


何だろう。

ヴィーナらしからぬ歯切れの悪さ。

そして・・・


「・・・イイコト・・・しよ。」


オレの耳元で小さな声でささやいた。


────


オレはヴィーナの後ろをついていく。

冒険者ギルドを出て、ヴィーナは

足早にズンズン行ってしまう。


ヴィーナの背中は明確に

関係の無い人にはついてきて欲しくない

ってオーラをまとっている。


オーラなんて見えないから、

オレのイメージだけど。


心臓の音が大きく聞こえる。

それは早足でヴィーナのあとを

ついて行っているからが理由ではない。


イイコトって何だろう。

やっぱり、アレかな?


と期待が心臓を早くしている。


だいぶ、街の中心部から離れた場所。

ヴィーナの足は止まらない。


「ヴィーナ!」


「もうちょっとで目的地だから」


ヴィーナの顔が少し赤くなっている気がする。

早足のせい・・・?


今度は公園のような

木が一杯生えている場所を抜ける。


外、外なんだろうか・・・?


ドキドキが止まらない。


ギンに歓楽街に連れていかれたのを思い出す。

(結局、光の矢を教わっただけだったけど。)


ヴィーナが足を止めて振り返る。


「じゃ、良いことしましょう。」


そう言って、ヴィーナは急に

オレの前にひざまづく。


そして・・・


「アータル、何してるの?

 アータルも祈って。

 迷いの森で彷徨う霊たちが

 救われますようにって。」


「ヴィーナの言う"イイコト"って・・・」


「そう。聖域でのお祈り!」


「ですよねー。」


用語説明:

・ダンディーな男

ギルド職員なのか何なのか。

カウンターの奥に居たのでたぶん、

ギルド職員なんだろう(アータル談)


・ツバキ

この辺りでは珍しい、黒髪パッツンの女の子

ギルド職員。


・ホウキとチリトリ

ホウキはトイブルームってヤツ

チリトリはダストパンではなく、日本のチリトリみたいなヤツ


・イイコト

解釈は人による。


・聖地

特定の人々にとって特別な場所

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