01-58.クマ狩り
いつもありがとうございます!!
表現的にちょっと苦手な方がいらっしゃるかもしれません。
ヒューッヒューッ
呼吸が苦しい。
グリズリーもオレも肩で息をしている。
さすがにオレも無傷とは行かず、
足や腕から血が流れ出てる。
身体が重い。
グリズリーの方は、灰色だった毛皮も
赤黒く染まっていて、
もう後ろ足で立ち上がろうとしない。
光の矢は、撃てるだけ撃った。
暴れ回るので、的が絞れなくて
大したダメージを与えられてないと思う。
今はもう、左手をオデコにかざすのも億劫だ。
痛さとダルさで集中なんてできない。
気付くと、
あっという間に距離を詰められてて、
無茶苦茶に振り回される腕に
ぶっ飛ばされては起き上がり、
引っ掛かれ、はね飛ばされる。
それでも辛うじて立てる。
オレ、クマに襲われても生きてるぜ!
って笑いが込み上げてくる。
元の世界ならニュースになってるつーの!
ファンタジーなら、
こんな混戦になる前に
誰か助けに来てくれるだろ!
でも、ここは現実。
誰も助けに来ないし、
クマに襲われればケガをする。
オレは血をボタボタ流しながら、
長剣を構える。
グリズリーも口から舌を出し、
赤いあぶくを吐きながら、
後ろ向きに後退り、
同じところをグルグル回っている。
草の上に赤い円ができてる。
オレが近付くと、耳がこっちを向く。
そして立ち上がった!
ヒューッヒュッ
一息で今度はこっちから間合いを詰め、
しゃがむ。
ヒューッ
グリズリーが息を吐いたタイミングで
ありったけの力を込めて、
剣を下から上に突き上げる!
前傾姿勢のグリズリー。
そのノドに剣が吸い込まれる。
フーッ
オレも息を吐き切る。
そして、新鮮な空気を吸おうとして、
グリズリーの腕に振り払われる。
地面を転がる。
あちこち痛いが、立ち上がる。
生きてはいる。
グリズリーを見ると、
荒い呼吸をしている・・・
ズズンッ
前のめりに倒れる。
と、ノドに刺さった剣が、反対側に貫通した。
オレはその剣に向かって走り、
足裏で刃を押す!
鮮血が飛ぶが、構わず踏み込む。
グリズリーは手を振り回してもがく。
オレはひたすら足に力を込める。
いつしかグリズリーは動かなくなった。
「ウッシャー!!ッンナロー!!!」
良くわからない雄叫びを上げる。
やっと倒した!
倒したよな?
薬師のオッサンを探す。
遠くの方で死んだふりをしていた。
「オッサン終わったぞ!」
と、オッサンに声を掛けると、
「うぉ?!ボウズか?」
と、派手に驚く。
そりゃ、"オッサン終わったぞ"なんて、
グリズリーは話し掛けてこないから、
オレしかいないだろ。
なんて思ったが、疲れて言葉が出てこない。
「傷に効く薬が、あるなら、
売ってくれ。」
「ぼ、ボウズ大丈夫か?
なんか、蛮族みたいだぞ?」
蛮族ってどんなイメージなんだ。
薬を受け取ろうとする。
金は・・・どこにあったっけ?
「金なんていらん。
お前がいなかったら、
また"死んだふり"で傷が増えてた。
自由に使ってくれ。」
と、包帯とか取り出す。
このまま巻いても、
きっとすぐにダメになる。
「街に帰ってからで。」
グリズリーは・・・仕方ない諦めよう。
無理だ。運べないし、番もできる気がしない。
「とりあえず、街に帰ろう。」
オレは、傷んだ身体で
グリズリーから長剣を抜き取り、
手拭いで血を拭う。
あー。剣、ダメになっちゃうかなー。
そして薬草のクエストもそこそこ街に戻った。
────
麻の袋はオッサンが持っていて、無事だった。
そして、門にある冒険者ギルドの出張所で
納品する。
で、ついでにグリズリーの回収を頼んでみた。
もうなくなってた場合も
手数料だけは取られるらしい。
が、きっとあるだろうと楽観的に考える。
とりあえず銭湯行きたい。
入れるのかな?こんなんで。
出張所の横に井戸があるので使わせてもらう。
結構血まみれなので、誰かに代わりに
水を汲んでもらおうかと思ったら、
オッサンがタライに水を汲んでくれた。
「オッサンありがとな。」
「いいってことよ。」
血は歩いている間に乾いてしまっていて
中々落ちない。
とりあえず手だけでもキレイにする。
骨は折れてないみたい。
スゴいな。 オレ、超人じゃないか!
オッサンに薬と包帯をもらう。
お金払おうとしたら、
「いいってことよ。」
と、また言われた。
流行りのフレーズなんだろうか。
「オッサン、銭湯の場所知ってる?」
「銭湯か?
どこだっけなぁ?」
オッサンは覚えてなさそうだったので、
ギルドの人に聞く。
ギルドカード提示で割り引き利くってよ!
早速向かう。
念入りに道も聞いたし大丈夫。
麻袋に薬品やら薬を入れて出発!
────
ホントに銭湯だった。
番台って言うの?入り口にあった。
残念ながら、男湯と女湯は分厚い壁で隔てられていた。
サッパリ洗い流したオレは、
グキグキ、ガクガクする身体を引きずって、
武器屋に向かう。
手入れと修理をお願いするためだ。
カランカランッ
ドアベルが鳴る。
武器屋には、今日も人が居ない。
カウンターにジイサンが座ってるだけだ。
「手入れと修理をお願いしたいんだけど。」
「おや。この前の。
ウチの武器が気に入らなかったかい?」
「いやいや。コイツに助けられました。
ちょっと無茶な使い方だったので、
念のため見てもらおうかと。」
「ま。良いだろう。どれ・・・」
ジイサンは、オレの顔や身体を見て、
何か察したようだ。
眼鏡を取り出して掛ける。
剣を鞘から抜こうとすると、
パリパリ音がする。
「拭ききれてなかったみたい。」
ジイサンが眼鏡を下げて、オレを見る。
「ま。そのなりだ。
おおかた、魔物に殺され掛けたんだろう。
だが、もう少し丁寧に後始末すれば、
それだけ剣の寿命も延びる。
その分キミを助けてやれる。
大事にしてくれ。」
そう言って剣を見てくれる。
「打ち直しなんかは必要ないな。
バランスも大丈夫だ。
これは刃の付いた鈍器だ。
ちっとやそっとじゃ破壊されない。
まだ、働ける。」
と、種類の違う布で何度か擦る。
鞘の方は、巻いてあった帯を解いて、
パカッと開き、中を同じように拭く。
たったそれだけなのに、
スゴく手際が良いから、
見入ってしまう
あっという間に補修が済んでしまった。
「いくらですか?」
「こんなんで、金なんか取れるかい。
次来る時は金貨を抱えて来い!
ちゃんとした武器を見繕ってやるから。」
「わかった!ありがとう!」
身体がバキバキ言うけど、剣を抱えて帰った。
公認武器屋やるな。
次の武器も絶対あそこで買うぞ。
────
宿に戻って、盾を壊したことを思い出した。
明日、冒険者ギルドでグリズリーの回収が
上手くいったかを聞いてから、考えよう。
金貨は抱えて行くのは無理でも、
正しい値段で買いたい。
ベッドに寝っ転がる。
いつものように
カードをオデコに当てて・・・
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名前:アータル
職業:素人★
所属:無所属
別名:"腰ミノ"
スタイル:近接、物理
許容量:30
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ユニークスキル:"蛮族の好奇心"(★22)
スキル:
・剣術の心得:C+(★2)
・鑑定:C-(★5)
・劣化光魔法の初歩:C(★1)
・巨乳ハンター:C+(★6)
・騎士の誓約:B(☆8)
・狂信者の祝福:C-(★2)
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剣術の心得がC+
劣化光魔法の初歩がC
になってる!!
この二日でこの成果!!
スゴい!スゴ過ぎるぞオレ!!
グリズリーにも勝ったし!!
自分を褒めてあげたい。
ん?でも、どうなんだろう?
確かにギルドカード上のスキルのランクは
上がっているけど、
昨日より今日の方が苦労をした。
もちろん、今日は前衛がいなかったからもあるけど・・・。
能力あっても、無双できないってこと?!
用語説明:
・銭湯
お金を払ってお風呂を借りるスタイル。
大きな湯船がありそうだが、本文中では触れられてない。




