01-56.現状確認
いつもありがとうございます!
宿屋の受付の人は、この宿の女将だった。
あのコは大丈夫だから、早く家に帰りなさい。
と、あの大声で言われて、仕方なく帰る。
メガネのおねーさん、
ホントに大丈夫なのかな?
この街の初日から泊まっている
宿屋に帰ってくる。
いつものように手拭いで身体を拭く。
少し、ヴィーナの匂いがする・・・気がする。
意外と柔らかかったな。
それに良い匂いがした。
フルフルッ
頭を振って気を取り直す。
ヴィーナに聞いた話だと、この街には
銭湯みたいなところがあるみたいなんで、
今度行ってみよう。
いつものように、
オデコにギルドカードをくっつけて、
スキルの確認だ。
たぶん、オレ以外、
毎日こんな儀式をしている人いないな。
スキル、そんなに簡単に上がったり、
手に入ったりしないみたいだもん。
------
名前:アータル
職業:素人★
所属:無所属
別名:"腰ミノ"
スタイル:近接、物理
許容量:26
・・・・・・
ユニークスキル:"蛮族の好奇心"(★18)
スキル:
・剣術の心得:C(★2)
・鑑定:C-(★5)
・劣化光魔法の初歩:C-(★1)
・巨乳ハンター:C+(★6)
・騎士の誓約:B(☆8)
・狂信者の祝福:C-(★2)
----
おー!剣術の心得がCになっとる!!
嬉しい!
ギルドカードのこの機能知ってから
今までの中で一番嬉しいかも!
必殺技とかできるようになっちゃうかも!
もう出るかな?出ちゃうのかな??
”剣術の心得”は、一番の初歩のヤツね。
そう言えば、前に鑑定士さんにそんなことを
言われたのを思い出した。
剣の道は厳しいなぁ。
でも、剣の達人になろうってワケじゃない。
クエストで敵を倒すなら、剣じゃなくても
槍でも丸太でも、本でも良いわけだ。
使えるものは何でも使っていくスタイルで!
オレはこの街に流れ着いたって感じだけど、
これからどうしようかなぁ。
今回のヴィーナが紹介してくれたような、
美味しいクエストなんて
ナカナカ見つからなそうだよな。
一人用のクエストは、
軽作業みたいのばっかりだったし。
ギルドとしても、
クエストを確実に達成してもらうためにも
パーティー用のクエストの方が安心だよね。
この街の一人用のクエストだと、
とてもじゃないけど、暮らしていけそうにもない。
かといって他の街を目指そうにもお金が足りない。
詰んだのかな?
それとも、もう詰んでたのかな?
このまま宿屋で泊まり続けても、
すぐにお金が尽きてしまうのは目に見えてる。
馬小屋かー。
泊まれるかなー。
元居た街は訪れる人も少なかったから、
馬小屋空いてたけど、ここは無理そうだな。
どこもいっぱいそうだ。
できれば安く済ませたいけど、
都会では厳しそうだなぁ。
もちろん下を見ればいくらでもあるが、
そこまで堕ちて戻ってこれる気がしない。
そのまま、これで良いかなぁ。って
思ってしまいそう。
危ない気がする。
明日からは上の難易度をこなしていって、
この街のギルドに信用してもらおう。
そのうち、大きな仕事も
入って来るんじゃないかな?
楽観的かぁ。
────
翌朝、10日分の宿代を先払い。
しばらくここで頑張るぞと気合いを入れる。
朝ご飯も食べたし、朝稽古もしたし。
さて気合いを入れてクエストに取りかかろう!
────
冒険者ギルドのホールにはもうすでに
たくさんの冒険者がいた。
パーティー用のクエストが貼ってある掲示板は
人がスゴい。
その代わり、個人用の掲示板には、
人がいなかった。
貼ってあるのは、昨日と変わらず、軽作業系だ。
うーん。割に合わないなぁ。
パーティー用の掲示板に潜り込んで見る。
"必須人数5人以上"
"中級冒険者4人以上必須"
なんてのが多い。
昨日ヴィーナに教えてもらったが、
この街の近くには2つのダンジョンがある。
一つは、"迷いの森"
植物系の魔物が多く存在していて、
最深部には、だいろくげんそ?だいごじったい?
の材料となる何かがあると言われているらしい。
もう一つは、"英雄の塔"
塔って言っても、地下に広がっているそうだ。
かつての英雄が、その莫大な富、名声、武器など
あらゆるものを納めたとされる塔。
なぜ地下に広がってるかは
"考えたことなかった"
ってヴィーナは言ってた。
どっちも、一人で行けなくはないらしいけど、
毎月、何人かが問題を起こしているので、
ギルドは一人で行くのを推奨していないとのこと。
選択肢は、臨時パーティーしかなくなってしまうよなぁ。
「魔法使い募集してるよー。」
「回復役おらんかねー?」
「中後衛いないかー?」
だいたい、中後衛、魔法使いか回復役だな。
募集してるのは。
オレは・・・何だろう?
どっちかって言うと前衛かな。
魔法使えるけど、止めをさせるほど強力じゃないし。
この街の冒険者を見ると、前衛ばっかりだ。
それも筋肉ゴリゴリのマッチョの壁役か、
獣人系の斥候か。
ヴィーナのような人族の斥候は
珍しいのかもしれない。
そう言っているうちに、臨時パーティーが
いくつも組まれて、出発していく。
取り残されたー!
────
カウンターにメガネのおねーさんを見つける。
ちゃんと帰れたんだ。
一応お礼を言っておこう。
「こんにちは。」
「あら。アータルくん。こんにちは。」
「昨日はありがとうございました。
無事に帰れたようで良かったです。」
ギルドホールは、先ほどの熱気も和らいで、
ずいぶん静かな感じだ。
「心配してくれてありがと。
無事に家には帰れたよ。
あれもギルド員の業務の一つだから、
気にしなくて大丈夫よ。」
昨日の雰囲気とは違って、
何か落ち着いてるなぁ。
昨日はちょっと、いぢめっこって言うか・・・。
そんな雰囲気だったのに。
もしかして酔っていたのかなぁ?
「そう言えば、アータルくんには
自己紹介がまだだったね。
私はヘルミオネ。
アータルくんは、特別に
"ミオネお姉ちゃん"って
呼んでくれてもいいよ。」
とびきりの笑顔で言われる。
負けないぞぅ。
「では、ヘルミオネさん
初級者向けのクエストを
教えて頂けませんか?」
昨日、ヴィーナには色々聞いたんだけど、
途中からロレツが回らなくなって、
何言ってるか分からなかったんだよね。
ヘルミオネさんに協力してもらわなきゃ
すぐに干上がってしまう。
控え目に言ってもヘルミオネさんは、
キレイ系で、仕事できる系に見える。
1人用の掲示板を見て、あっという間に
3つのクエストを探して持って来てくれた。
どれも薬草採取のクエストだが、
この手のクエストは同時に受けることできるし、
他の軽作業に比べ、割りが良い。
早速受けることにする。
もちろん、サンプルの薬草を見せてもらい、
注意点も忘れずに聞く。
油断大敵。もう死ぬのはごめんだ。
「色々ありがとうございます。
これなら一人でもこなせそうです。」
と、言うと、
「これからも何かあったら
"ミオネお姉ちゃん"に任せてね。」
と、笑顔で返してくる。
「あ、ありがとうございます。
ヘルミオネさん。」
「もう。」
ヘルミオネさんは、
"ミオネお姉ちゃん"と呼ばれなかったことに
ちょっとスネた顔をして見せた。
けど、すぐ真剣な顔になって、
「気を付けなね。
どんなクエストでも、命を落とすような
危険があるんだからね。」
と忠告をくれた。
いい人だなぁ。
「元気に帰ってこないと、
お姉ちゃん悲しいゾ。
気を付けて。麻袋忘れないでね」
ありがとうと言って、冒険者ギルドを出る。
まずは麻袋手に入れないと。
用語説明:
・臨時パーティー
クエスト達成のため、一時的に組むパーティー
・麻袋
薬草を入れる袋。
自分で用意する。
────
感想、評価、ブックマークありがとうございます!
励みになります!




