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歩けば何処かに辿り着く  作者: 河内 胡瓜
新拠点
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01-51.ミイラ取りは

いつもありがとうございます。

「冒険者ギルドはどこにありますか!」


 ドゴーンッ


オレの間抜けな質問に

みんながすっころんだわけじゃない。

腹に響く爆発音。

何かが崩れる音。


オレは立ち上がった。


「無能な働き者ほど、厄介なヤツはいないな。」


と、ジイサンが言ったが、

何のことか分からなかった。


来た道を思い出しながら

いくつかの扉を開け、角を曲がる。

とりあえず馬車まで戻ろうとした。


奇跡的に合っていたんだと思う。

この扉が最後だろうと言うところまできた。

しかし、最後の扉はひしゃげてしまっていて

開きそうもなかった。

鉄でできた扉がだ。


引き返して別の道を探すが、

オレがわかるわけもないので、

周りの流れに付いていく。


階段を登り、一度門の上に出て、

そこから壁の内側にある階段を降りる。

門に向かう。


馬車はなかった。

と言うか、門もなかった。

あったのはガレキの山。


外では、衛兵が別の門の方に回れと

大声で案内しているのが聞こえる。

が、ここからは向こうは見えない。


大変なことになった。

野次馬はたくさんいるが、

誰もガレキを片付けようとはしない。


衛兵達が集まってきて、

オレら野次馬を下がらせる。

オレはそんな野次馬たちに飲まれて、

そこにはもうたどり着けなかった。


考えるのが怖い。


「とりあえず、もう今日は休め。」


肩に手を置かれ気付くと、

さっき取り調べをしていた衛兵だった。

その衛兵にしたって、

野次馬とその奥の門だった場所を

ぼんやり眺めて、オレの方は見もしなかった。


それだけ衝撃的な事件なんだろう。


フラフラと一番近くの宿に入り、

その日は寝た。


────


翌日、冒険者ギルドを探す。

新しい街に来ると、

毎回探している気がする。


胃が重い。

もしかしてオレのせいで

あの馬車は爆発したんじゃないか。

暗殺の一貫で。

なんてことを考えてしまう。


オレのせいで、オレのせいで・・・


人通りが激しい大通りの一角に、

剣と杖と盾。見慣れた看板を見つけた。

どこも同じなのか、

足元と天井付近が空いている

両開きの扉を押して入る。


ギルドホールは、どこも同じ作りなのか、

手前にテーブル、奥にはカウンター。

そしてカウンターにはメガネの受付嬢。

とオッサンギルド員。


深呼吸をする。

そして、メガネの受付嬢に話し掛ける。

少し耳が尖ってるなぁ。


「クエスト終了の報告に来ました。」


「あら。この街のギルドは初めてかな?」


「はい。」


「ではまず、冒険者ギルドカードを見せてね。」


少しくだけた感じで話す彼女は、

近所のお姉さん的なイメージかな?

生前は、そんな人いたことなかったけど。


ギルドカードを渡す。


「初級冒険者アータルくん・・・でいいかな?」


「はい。合ってます。」


ギルドカウンターがこの時間、

空いているってことは、

うーん。何かあった・・・昨日の爆発かな。

胃が少し重くなる。


「終了クエストの方も見せてね。」


オレは、衛兵に完了印をもらったクエストの紙を渡す。


「うん。特に問題ないわね。

 この印も、この街の衛兵のものね。

 少し待っててね。」


そう言ってメガネ受付嬢は、

奥に引っ込むと、

カウンターとホールとの仕切りを越えて

オレの横までやって来る。


そしてオレの手を取って、

奥のカウンターまで案内してくれる。


「この街の冒険者ギルドは、

 大きいので、クエスト受ける窓口と

 報告して報酬を受け取るカウンターが

 違うのよ。」


「へー。」


今までいたところだと、

大物を取ってきた場合を除いては、

全部同じカウンターだった気がするなぁ。


「あ。時間に余裕があるような、

 今の時間は良いのよ。

 ガンガン話し掛けてきて。」


と、笑顔を向けてくる。


「ホレてまうやろー!」


と、大声で叫ぶところだった。

この人に取っては近所の子供を

案内しているくらいの感覚なんだと思うけど、

ドキドキしちゃう!


オレ、ドキドキしちゃう!!

(大事なことなんで、2回言いました。)


「まず、カウンターのここに

 冒険者ギルドカードを置いてね。」


カウンターと言うかなんと言うか、

大きさの違う2つの大きな木の箱が

重なりあっていて、一人分ずつ区切られている。

木でできたATMに見えないこともない。


その下の箱に少し黒ずんだくぼみがあった。

メガネのお姉さんの言う通りにギルドカードを置く。


メガネのお姉さんは、それを確認すると、

そのカウンター?にある穴にクエスト用紙を入れる。


 ガゴンッ


と音がして、クエストの紙が箱の中に取り込まれる。

しばらく待つと


 ガゴンッ


同じようにして箱が出てきて、

中には、フワフワの生地

フェルト生地って言うのかな?

に、銀貨が乗っていた。


銀貨2枚。

かなりの収入だ!


「次からは一人でできるよね?」


「ありがとうございます。」


「いいのいいの。

 これもギルド員の業務の一つだから。」


何か、この世界に来て、

初めて"まとも"な人にあったかも。


何か騙されてるんじゃないか?

と、逆に心配になる。


「どうしたの?」


「お姉さんは、大丈夫なんですか?」


「アタマが?」


「アタマも。」


「とっても丈夫ですよ。釘も打てます。」


あ。ごめんなさい。

大丈夫な人じゃなかったー!


「冗談ですよ。」


「え!?」


スゴい。


オレ、完璧に手玉に取られとる!

お姉さんの手のひらの上でコロンコロン転がされてる!

これはヤバい。逃げないと!


「じゃあ、ありがとうございましたー。」


「アータルくん。また来てね。」


メガネお姉さんの柔らかい笑い声を

背中で聞きながら、逃げ出した!


────


「そ、そう。これは戦略的撤退。」


自分に言い聞かす。

決して自分では勝てないと思ったわけじゃない。

今は撤退して、体勢を立て直すときなんだ!


とりあえず、体勢を立て直そう。

まずは収入、泊るところ、食事だ。


収入を得るには

ギルドでクエスト受けないといけないけど、

今からあそこに戻るのは無理!


収入を得るための準備をしよう。

剣。そうだ、剣を買わないと!


一度死んだ時に剣を盗られて、

それからは、短剣(ナイフ)で過ごしてきた。

白梟(ホワイトオウル)のギンたちのところにいた時は、

槍が多かった。

剣はほとんど振ってない。高いし。


定期的にちょっと重めの木剣とかを借りて、

朝方練習してたけど、

剣は定期的に練習しないと、すぐ下手くそになる。

洞窟とか狭いところは短剣(ナイフ)の方が便利なんだけど、

間合いが狭いからなぁ。


とは言っても、初めて来た街で紹介もなく

良い感じの武器を買うなんて無理なんじゃないかな。


やっぱりさっきのメガネのお姉さんに聞いてみようかなぁ。

でも、何かに負けそう。


────


足の向くままオレが歩くと、どうなるか。



そう。道に迷う。



ここはドコだか全く分からない。

城みたいな建物、反対側には壁

それぞれ遠くに見える。


壁の近くに行って壁をたどれば、

最後には今日泊った宿に泊れるかな?


立ち止まれば良いのに、とりあえず歩いてしまう。

裏路地かなんかなのかな。

そんなに暗くはないし、人もいない。


そのまま進むと、

道の端に、厚めの布地の上に

長剣を一本だけ置いている人がいる。


修行僧か何かなのかな?

それとも大道芸??

でも、周りには全然人がいない。


この路地の先は、大通りなのか、

たくさんの人が行き交っているのが見える。


そこからちょっと離れた位置に座っているので、

物売りの人とは違うんだろう。


剣は鞘から出して置いてある。

長剣と言っても、いくつか種類があるし、

使う人の身長や手の長さによって長さもマチマチだ。

置いてあるのは、その中でも短め。

この人が使うのかな?それにしては短過ぎる気がする。


剣の後ろに座っている人は、

敷いてる布よりは柔らかそうな、

よく言えば枯れ葉みたいな色、

見たままで言うとミイラみたいな色の布を巻いている。


思わず立ち止まってしまった。


ミイラの布の人が顔をあげる。


ちょっと気まずい感じ。

話題を探すオレ。

とりあえず、声を掛けてみる。


「この剣を見せてもらってもいいですか?」

用語説明:

・オレのせいで

アータルは何かと気にするタイプだが、忘れっぽい。


・メガネの受付嬢

アータルの最大の敵になるかも!


・"まとも"

あくまで、アータルの基準。

価値観は人それぞれ。


・戦略的撤退

あらかじめ予想するのが、戦略

とっさに戦略を組み直せるなら、大したものだと思う。


────

作者の都合で、隔日で更新とさせてください。

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