01-36.試行1
ご覧いただきありがとうございます。
しばらく胸クソ回が続きます。
ダンジョンの入り口は、
テント村から少し進んだところにあった。
「ちっこいの、行け!
何かあればすぐにオレに言え!」
サラは舌打ちしながら中に入っていく。
オレも続いた。
崖に洞穴が空いている。
入り口は、廃鉱ほどは整備されてない。
だが、内部に入ると、
道の左右に定期的に、
光る石杭が埋まっている。
"草狩り場"同様、
整備されたダンジョンってことだ。
こう言うところは、
珍しいアイテムなんて出ることは
少ないんじゃないかな。
ある程度管理されてるわけだし。
"何か価値あるもの"ってなんだろうな。
目に見えない、
"パーティーの結束力"とかだったら
どうしよう。
このパーティーの結束力は
アイツのせいでマイナスだぞ。
あ。少なくとも、オレとサラは、
アイツをぶん殴りたいって思っているので、
そこは結束してるかな。
冒険者になれば、
身分の差なんてカンケーないとか
言うけど、絶対ウソだ。
少なくともこの街じゃ間違いだ。
デカいチームの後ろには、
貴族の影どころか
ガッツリ本人の姿が見えるし、
冒険者ギルドの仕事も、
商人ギルドの豪商に
持っていかれることもある。
まあ。
どこも同じだよな。
元いた世界も理不尽な格差があった。
アイツは仕事ができないのに、
妙に出世するとか、
見えない格差もあったけど、
それを気にしちゃ先に進めない。
・・・そうなのか?
気にしないってことは、
考えないってことだ。
合ってるのか。それって。
・・・まぁ。今は良いか。
とりあえず、
早く"何か価値のあるもの"を見つけて、
このパーティーとオサラバしよう。
────
ダンジョンの中をゆっくりと進む。
どんな罠があるかわからない。
サラは優秀な斥候だ。
待ち伏せてる魔物を見付けたり、
簡単な罠は解除してしまう。
しかし、どんな優秀な斥候役がいても、
全ての罠を発見できる訳ではない。
だから、後続のオレらは、
なるべく斥候役が踏んだところを
踏むようにしている。
いくら人の手が入っているダンジョンで、
優秀な斥候役がいても、
油断していると、罠に掛かることがある。
通った人が多いフロアに残っているのは、
あからさまに怪しい罠か、
致死率の高い罠、
あとはなんてことのない威力だが、
精神的なダメージを与える罠だ。
そんな罠に
今まさにハマっているヤツがいる。
「なんでそんなチャチな罠に掛かるんだよ。
見えるだろうが。」
オレだ。
オレの足は、
周りと色が違う床を踏み抜いている。
「黒髪ー!
見りゃ分かるだろうがよー。
なんでそんな簡単なこともできねーの?
罠があることくらい、想定できるだろ?
なんでそんなことも考えてないんだよ?
3ヶ月いたチームは、そんなことも
お前に教えなかったのか?」
ひたすらロットンから罵声を浴びる。
「はぁー。
ホント、何してくれてるわけ?
これでオレが
初心者試験合格できなかったら、
お前のせいだからな。」
お前が話し掛けて来たうえ、
呼び止めたんだんだろうが。
だが、分かってる。
この世界に来る前からそうだ。
ここで言い合いをしても先に進めない。
コイツに何を話しても、
オレの足は、罠の上なのは変わらないし、
コイツの性格が急に変わることもない。
つまり無駄だ。
ただ、サラやガインには悪いことしたな。
ロットンは放っておいて
これからどうするか考えよう。
とりあえず二人には
離れてもらうようにするか・・・。
踏んですぐに何か起こらない罠は、
オレの知る限り、
有名なところでは
■アラーム
敵に存在を知られる。敵を誘き寄せる
■地雷
足を離すとスイッチが入って爆発する。
■スイッチ
ダンジョンのカラクリに繋がっていて
地形などが変化する
■精神的な罠
・靴がくっついて取れなくなる。
・足跡が残るようになり、追跡されやすくなる。
・何もなし
などが考えられる。
ハッキリ言って、踏んだ感触じゃ分からない。
こんな時は、奥の手"鑑定"だ!!
──────────
初歩的な罠
踏んだらダメな罠
踏まれている
──────────
あー。そうだった。
オレの"鑑定"さんは、
期待以下の活躍しかしてくれないんだった。
さて、どうするか・・・。
と、サラが岩を両手で抱えて持ってきた。
「離れろ。」
ガインとロットンに言う。
そして岩をゴトゴト積みはじめる。
折り重なってる下の方の石に
ロープを結び、ロープの端を持って離れる。
そして、今来た道の角に隠れる。
「アータル、
石を崩さずにゆっくり足を外せ。」
オレは言われた通りに
おっかなびっくり、足を外す。
床は凹んだままだ。
「アータル、
そのままゆっくりこっちに来い。」
オレが角を曲がると、
サラはロープを思いっきり引っ張った。
石が崩れる。
ドガーンッ
爆発する。
洞窟が揺れて、砂みたいのが降ってくる。
危なかった。
「ふぅー。
んじゃ行くぞ。
ちっこいの先に行け。
黒髪ー
二度と同じ間違いをおかすなよ。」
「・・・。」
オレは何も答えなかった。
────
「ま。気にするな。」
休憩時に軽く声を掛けてきたのは
サラだ。
ガインは見張り中。
「あまり思い詰めても、
過去は変わらない。
次に行かせ。」
「あぁ。」
どっかで聞いた言葉だが、
オレにはそんな返事しかできない。
自分の中では結構ショックだ。
でも、同じ失敗はしたくない。
「おい。
お前らは指示しないとやらねーの?」
ロットンがまた何かを言い始めた。
「今は休憩中だ。」
サラが答える。
「はぁ?
そんなことよりも、地図をおこせよ。
どこまで来たか分からねぇだろうが。」
「こんな場所で書ける訳ねーだろ。
道なら印をつけてきただろうが。」
「あのさー。
オレが分からねーって
言ってるの。
地図にするくらい簡単だろ?」
また始まった。
いちいち誰かに突っかからないと、
しゃべれないのか?コイツは。
「地図なら、オレの頭に入ってるよ。
ロットン坊っちゃん。」
サラも負けじと言い返す。
オレは何だかもう面倒臭くなってきた。
「地図を書いても、
広げたまま歩けないだろ?」
言ってしまった。
「はん。
今さっき罠に引っ掛かったヤツに
言われたくないな。」
ガインが何事かとヒョコッと顔を出してくる。
今いるのは、行き止まりの通路だ。
左右、後ろと壁に囲まれているので、
不意討ちなどを防ぎやすい。
「あんまり大きな声をあげると、
誰か来ると思うよ。」
ガインはそう言うと、見張りに戻る。
今は交代で見張りに付いてる。
もちろん、ロットン坊っちゃん以外だ。
「リーダーが見張りについて、
誰が指示を出すんだ?」
とのこと。
ガインは肩をすくめて、
サラは舌打ちをし、
オレは罠を踏んだ。
まだ、きっと一日も経ってないが、
パーティーとしては最悪だ。
それでも探索を続けているのは、
初心者試験に受かりたいからだ。
下手なことをすると、
白梟に損をさせるどころか、
迷惑まで掛けてしまう。
ダンジョンで、
誰かの指示で一致団結して動かないと、
早々に退場だ。
あの時意見して、
リーダーを代わっていれば・・・
もしくはサラやガインに任せておけば・・・
でもきっと、コイツは従わなかっただろう。
勝手に行動して、ひどい目に遭うのが
目に見えてる。
一度受け入れたんだから、
受け入れた責任がある?
手痛い失敗をして改心してくれるのを願う?
何か余計なことを抱えることになった気がする。
「ホントお前らは、
仕事できねぇなぁ。
こんな簡単なこともできねぇのか。
ホント。はずれメンバーに
当たっちまったぜ。」
いちいち飛んで来る言葉が、
ホントにカチンと来る。
用語説明:
・石杭
石でできた直方体の杭。
先端から淡い光が出ている。
間接照明みたいで、とてもオシャレ。
・草狩り場
アータルと白梟七番組のメンバー(ギン、バル、ソム、バギ)と良く行ったダンジョン。
自然たっぷりで開放的な気分になれる。
・生前もそうだった
アータルは、この世界に転生する以前の世界で、
過労死のようなもので死んだらしい。
・罠
ダンジョンに仕掛けられてる罠
致死性のもの、非致死性のもの、
ダンジョンと連動しているもの、してないもの、
誰得なもの、オレ得なものがある。
・岩
ダンジョンの中にも、罠の一部だったり、ただのガレキだったりで落ちてる。
────
ギリギリで、内容が整ってません(^_^;)
あとで細かいところを変えるかも。
明日、明後日は更新お休み致します。
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