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歩けば何処かに辿り着く  作者: 河内 胡瓜
転機
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01-33.立つ鳥

いつもご覧くださりありがとうございます!!

馬小屋を出る。

ここには戻ってこれないかもしれないと、

最初の頃は思っていたけど。

もっと最初の頃は、ここに泊まるのか!

うそだろ!?って思ってたけど。


結局、何度も戻ってきて、

しっくり自分の家のように馴染んでいる。


3ヶ月の間、たまに馬が居たことがあったが、

中央の馬房はオレ専用になっていた。


壁も定期的に掃除するため、

だいぶキレイになった。


調子にのって、他の馬房も掃除してしまっていた。

筋トレとか自分に言い訳して。

何となくキレイにしたかったんだ。


ヒルダさんにお礼を言いに行く。


「美味い料理が食べたくなったら、

 常緑亭においで。」


とだけヒルダさんは言って、

厨房に戻ってしまった。


ヒルダさんらしくて、

さっぱりしていて気持ち良かった。

後ろ姿に思わず、頭を下げる。


ホスとロゥは居なかった。

お礼の手紙をホスの定位置においておく。

ギンたちには昨日の内に別れは済ましたので、

問題はない。


ギンは、


「何処かで会ったらヨロシクな」


と言う、アッサリしたものだった。

話したのはギンだけだ。


他のみんなに何か言いたかったけど、

何を言えば分からなかったので、

止めておいた。

大泣きしたらカッコ悪い。


冒険者は死に易い。

気軽にまた会おうとは言わないものなんだな。


マニや眼鏡受付嬢、元気娘さんにも

それぞれお別れは伝えている。


マニは


「おーおー。行ってこい行ってこい。」


って感じだった。


ムキモジャは居なかったな。

覚悟は決まった。

今日は、初心者最終試験だ。


────


最終試験は、冒険者ギルドが選んだ

ダンジョンで行われる。

内容は毎回違うらしい。

ただ毎回同じなのは、()()()()()()()だ。


冒険は死と隣り合わせとは言っても、

ここまで揺るがない現実を突きつけられると、

そう言う儀式なんじゃないかとも思える。


"素晴らしい冒険者を召喚するために、

 生け贄を捧げるのだ!"的なヤツね。


もちろん、自分が生け贄になるのはごめんだ。

次は地獄だし。


冒険者ギルドではなく西門の外に

初心者冒険者たちは集められる。


これから馬車に乗せられて運ばれるみたいだ。

話したことはないが、ギルドホールとかで

見知った顔もいる。

数は・・・20人くらい・・・?


お。フードのちっこいヤツがいた。

筆記試験を受けた時にいたヤツだ。


商人風のオッサンと貴公子はいなかった。

3人とも、ギルドホールでは

見たことなかったんだよな。


説明会に集まった全員の顔なんて覚えていないが、

あのときより人数は少ない感じだ。


────


適当に馬車に乗せられていく。

きっとドナドナと売られて行くんだ。

賭け主(悪魔)に。

あ。もうすでにオークションで売られていた!


馬車はゴトゴトと音を立てて進んでく。


昼飯くらいは携帯食で何とかなるが、

このままどこまで連れていかれるんだろう。


だいたい一週間くらいの装備と言われたけど、

食料には限界がある。

この世界では、だいたいのところに

食べられる動植物や魔物がいるので、

現地調達が可能だ。

まぁ。オレが知らないってこともある。


ムキモジャやギンたち、カスバートたちに、

ある程度鍛えられたし、

サバイバルできるはずだ。

・・・できるよね?

生物がいないところに放り込まれたりしないよね?


オレと同じ馬車に乗ってるのは、4人。

いずれも今のオレより年上の男だ。


皆、前衛職らしく、剣に中型の盾だ。

盾の形はそれぞれだが、

皆左手側に付けている。


互いに話し掛けようとせず、

チラチラを周りを見ては

すぐに下を向いているので、

ドナドナ感が増してる。


何か陰気だなー。

ハンフリーの演技も似たような

感じだったからな。

臨時パーティーを組むのは

普通こんな感じなのかも。


外はこんなに天気が良いのにな。

幌馬車の外を見ると、入道雲が見える。


良い天気。

風が気持ちいい。


田舎から出てきた時同じだ。

目に見えて追い立てられてた親や兄弟から

自由になった感じがしたけど、

結局はお金に追い立てられる日々だな。


今まで思えば色々あったなぁ。

で、一番思い浮かぶのが、

ヒゲモジャのヒゲモサモサ(罰ゲーム)なのが、

オレ、人生を汚染(よご)されたな。


危ない!他のヤツらと同じで

暗くなるところだった!!

オレの楽しい冒険はここからだぜ!


────


馬車が止まった。

休憩のようだ。


ずいぶん遠くまで行くんだな。

オレにはもう、今の場所は分からないけど。


馬車馬も、馬車から離されて休ませてる。

オレらも降ろされ、休憩時間となる。


ゾロゾロ降りてくる初心者冒険者たち。


近くに川があり、飲み水として使えるようだ。

オレも念のため、予備の水を捨て、

川の水を入れ直す。


みんな浮かない顔だなー。


川縁に座ってボーッとしているヤツもいる。

緊張感がないのかなーって思ったが、

急に頭を抱えたりとか、不安定だ。

大丈夫なんだろうか。

そんなに初心者試験がイヤなんだろうか。


生前テストって確かにイヤだと思ってたけど、

自分を知るきっかけになると考えたら、

それほどイヤじゃなくなった。


こっちはオレの命掛かってるしね。

なんだってするさ。

用意も覚悟もね!

ようは気の持ちようだって今は思う。


あ。そうか。

気の持ちようか。

この世界ではまずやってみる。

が、基本だったから忘れてた。


失敗しても、自分さえ何とかなれば

何度も挑戦できる。

腹を括れた。


よし、もう一度自分の目標考え直そう。

ボッチで誰とも話せないからじゃないからな!

ちょうど良い機会だからだ!


何やりたかったんだっけ?

一攫千金当てて、楽して暮らしたい!

毎日ゴロゴロしながら・・・

今考えると、ゴロゴロして何して暮らすんだろう。

この世界にはネットもビデオゲームもない。

辺境の実家に居た時は、

毎日の修行みたいのを()()()()()いて、

それに反抗したかったのかもしれない。


やっぱり、やらされるのって言うのは

オレには合わないな。


自由でありたい。

自分で興味があること、

楽しいと思ったことをやっていきたい。

自分が正しいって思ったことをやりたい。


そう言う意味では冒険者サイコー。

食うために仕方なくやっている人も

もちろんいるし、

オレも知らない内に背負った

借金のせいでやるしかないけど。


選択の自由がある。

うまく行かなくたって、

命があればやり直せる。


だが、命の危険はすぐ近くにある。

最初のクエストで死んだし。

ちょっとした油断が死を招く。


そしてこの世界に生きている人は

みんな必死だからか、容赦がない。

人の良さそうなオバチャンでも

平気で子供からむしり取るし、

門番だって弱そうなヤツから

金を巻き上げるし。


ある程度強くなんなきゃ

この世界ではやっていけない。


で、強くなる手っ取り早い方法がスキルだよな。

前にスキルを鑑定してくれた

かなり変わった鑑定士が言うには、

特定のクラスについて

しかるべき経験を積むと得られる

"努力の結晶"ってことだった。


オレの持っているユニークスキル、

"蛮族の好奇心"は、

その努力をブーストしてくれる・・・

はずなんだけど、あんまり恩恵を受けていない。


"劣化光魔法"がギルドカードに表れてから、

新しいスキルは得られていないし、

元々あった"剣術の心得"も上がっていない。


他は何だろうな。

妙にオッサンに縁があって怖い。

若い女性と言うと、受付嬢トリオ、バル?

バギ・・・は、幼すぎるな。


居ない。

キャッキャウフフな関係なんてない。

どうした!

世界の半分は女性でできてるんじゃないのか!

なぜ!なぜこんなに(えん)が片寄ってる!!

やっぱり蛮族の呪いのせいか?!


いつの間にか、立ち上がってしまったらしく、

周りの注目を集めてしまった。

しかも目を向けると、そらされる。


うーん。やりにくい。


用語説明:

・蛮族の好奇心

オッサンに強い縁ができるユニークスキルの可能性(アータル談)



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