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歩けば何処かに辿り着く  作者: 河内 胡瓜
整理
28/274

01-24.インターバル

ご覧いただきありがとうございます!

「行ってきまーす。」


日帰りクエストで小銭を稼いだあと、

オレはいつものように出掛ける。


「アンタ最近良く出掛けるけど、

 どこに行ってるの?」


出掛けにバギが聞いてくる。

常緑亭にいるときは、

いつものフードを被っていない。


「歓楽街だ!」


食堂でメシを食おうとしていたギンが、

いい笑顔でサムズアップして言う。 


「ちょっと!言い方!」


確かに行くのは"歓楽街"の中にある、

魔法使いのバアサンの家に行くんだが。


バギのオレを見る目が、少し冷たくなる。


「なじみの年上のオンナに

 会いに行くんだよな?」


サラダをパクつきながら、ギンが追い討ちをかける。


バギは後ずさりする。

そりゃ今のオレからしたら、大体の人は年上だ。

でも年上過ぎるだろ。


「ほらほら、アータル早く行け。

 相手を待たせるなよ。」


確かにあんまり時間はない。


「ば、バギ!

 きっと誤解していると思う!

 戻ったらしっかり説明するから。」

 

金髪エセ無口魔法使いは、

ボクシングのクロスアームブロックみたいに

腕を胸の前で組み、身を守っている。


「け、結構よ!

 アンタが、稼いだ金をどう使おうが、

 アタシにはカンケーない!」


手を大きく胸の前で振って拒否してくる。

 

「いやいやいや。

 絶対、誤解してるでしょ?

 あとで、戻ってきたらちゃんと説明するから!」


「ホラホラ、早く行け。

 本当に遅れるぞ。」


ギンが手をヒラヒラさせながら、

早く行け早く行けと追い立てる。


絶対面白がってる。

ギンにはあとでキっツい仕返しを考えておこう。


─────


「遅いよ。」


「ちょっとゴタゴタしてまして。

 ごめんなさい。さぁ。始めましょう。」

 

「んじゃ、魔力を溜めるところから

 始めようかね。」


ここに通い始めてもう何日も経つが、成果が出ない!


今は魔法の基礎を身に付ける時間と自分自身を励ます。

魔法の素養、適性みたいなものはあるみたいだが、

魔法を実際発動しようとしても、ウンともスンともいわない。


何のきっかけで、できるのかがまったくわからない。

基本の部分は教えてもらっているはずだが、

その通りにやってるつもりでも、全然発動しない。


若干バアサンも苛立っているかもしれない。


バアサンは、理論派の人なんだと思う。

気づいたところを色々指摘してくれる。

オレは指摘されたところを気をつけて再挑戦するが、

これがなかなか直らないので、

バアサンはイライラしているようだ。


「ほら!集中を崩すな!」


きっとできるものにとっては

呼吸するぐらいに簡単なことで、

何でそんな事もできないんだと、

イライラしてるのだろう。


だが俺の手足や魔力?は、全然思い通りにならない。

自分では操ってるつもりなんだけどな。


「左手に込めてる魔力の集束が甘い!

 全身に満遍なく、偏りがないように

 厚い魔力の層を張り巡らせろ。」

 

バアサンの指示に従って魔力?みたいなものを身体に通していく。血液みたいなイメージ。

でも自分の体の全体に血が巡っているなんて感じられる人

そうはいないだろう。


「右脇腹っ!」


なかなか合格点がもらえない。

他の魔法使いもこんな教え方なんだろうか。

難しい。

 

「アンタは言っても駄目だね。

 一つ注意すると、

 すぐ他のところが(おろそ)かになる。」

 

心がすさむ。

ムキモジャとの修行(?)と違って、

何とかなるという手応えが全くない。

いくらやっても引っ掛かりもなく、

先に進めてない感覚。


自分なりに工夫する。

こう↑かな?

それとも、こう↓かな?


おかしい。こんなはずじゃない。

全然、魔力はオレの思うように動いてくれない。

力が上手く入らない。

部屋がやけに大きく感じる。


素養があるって言うんだったら、なんとかなるはずだ。

自分がどの程度なのか それが分からないからか。


そう考えると、テストって重要だったな。

もう遅いけど。

ちゃんと見直せば、その時の自分に足りないところが分かったんだろうな。きっと。

点数が良かったー、悪かったーとしか考えなかった。

もっとちゃんと向き合えっていれば違ったのかも。

勿体ないことをしてたかもなぁ・・・。


今は、どうしたらいいんだろうな。

オレが魔法が使えるかどうかは バアサンしか分からない。

他の人に見てもらうと違うのかな?


そうすると ソムやバギになるけど

ソムは、いつも忙しそうで 気軽には頼めない。

バギは、そういう細かいのわかるのかな?

 

「ほら、魔力に集中っ!」


怒られてばかりだ。

うーん。。。


――――


常緑亭に戻ると、夕食(どき)で人がごった返していた。

入り口をくぐると声が掛かる。


「おー!アータルー

 何だぁ?

 歓楽街帰りだって言うのに

 浮かない顔だなぁー?」


鉄壁姐さんバルが話し掛けて来た。

珍しい。いつもは我関せずって感じなのに。

あ。酔ってる。珍しい。


「アータル、座れっ!飲むぞー!」


ちょっと筋肉質のノースリーブの腕で

オレの肩を抱えてくる。

あの、ちょっ、ちょっと当たってるんデスガ。


「なんだぁー?

 アタシの酒が飲めねぇって言うのかー?」


周りを見渡すと、みんなヤレヤレって感じの

生暖かい視線を感じる。

これはアレか?イケニエか?


「ほらっ!座れー!

 おいっ!そこの!えーとっお前!オマエだ!

 エール持ってこい!

 2つ!いや、4つだ!」


指をさされた厳つい男・・・

ロゥがヤレヤレと手を上げて席を立つ。

ヲイヲイ。こりゃ相当酔ってるな。


「先ずは食え!アタシのオゴリだ。

 たらふく食えー!」


オレは目の前の肉料理に手を伸ばす。

唐揚げみたいの、めちゃくちゃうまい。

外はカリカリで、噛むとジュワッと肉汁が溢れてきて。

柔らかく香ばしい匂い。ああ。お米が食べたい。

代わりにパンに手をのばす。

程よい堅さ。歯で食い千切る。

ニンニクなのか少しの辛みとバターの良い香り。

肉に良く合う。


あまりにバクバク食い過ぎたせいか、

口を開けたバルがこっちをじっと見ている。


オレは小さな肉の欠片をフォークに刺して、

バルの口の中に放り込む。


ビックリしたみたいだが、肉なのに気付いてモグモグする。


「こっちをじっと見てたから

 お腹空いてるのかと思って・・・。」


 ドンッ!


「はいよ!」


ロゥではなく、忙しいはずのヒルダさんが来て、

バルとオレの前に陶器の、背の高いコップを置く。


「バル、これでも飲んで頭を冷やしな。

 アータルも安心して飲めるヤツだ。

 アータルもこんな飲み方に付き合う必要はないよ。」


そう言うとヒルダさんは戻っていった。

オレは陶器のコップを掴む。

冷たっ。

飲むと、シュワシュワと爽やかな酸味。

これはジンジャーエールだ!あるんだなー。


 タンッ


バルはジンジャーエールを一気飲みすると、


「今日は寝る。」


と、階段を上っていった。

何だか大変だなぁ。


――――


翌日、何故かギンに謝られた。


「いや。

 開いてたバルの口に、

 肉を突っ込んだだけだから。」


っと、魔法の発動について考えていたので、

回答がテキトーになってしまった。


そんなことより、魔法だ。

なんで発動しないんだろう。

条件は揃ってるはず。

魔力を感じることはできるし、

ムラがあるが身体に張り巡らせることもできてる。

何が足りてないんだろう?


ヒントが欲しい。

と、言うことでバギに話をしに行く。


 コンコンッ


常緑亭の2階から繋がる居住棟に来ている。


「んー?うるさいなー。なにー?」


 ギー、バタンッ!!!


扉が開き、急に閉められる。

一瞬だけ白い服をはだけさせたバギが見えた気がする。


 ギー


そしてまた扉が開いて、


 ポカリッ


っと、杖で殴られ、ドアが閉まる。


「おーい!バギー!」コンコンッ!


宿舎なので大きな声を出すのを遠慮してたんだが、

余りにも反応がないので声をかけた。


が、反応なし。


仕方ない。今日は諦めるか。。。

冒険者ギルドで話を聞いてみよう。

流石に相談にはのってくれるよな?

用語説明:

・クロスアームブロック

ボクシングの防御技術の一つ。実際には腕を交差しない型もある。内臓や頭、オトメゴゴロを敵から守る。


・ジンジャーエール

ショウガの入った炭酸飲料。

この世界の名前は分からないが、ここはジンジャーエールで良いだろう。


・ロゥ

白梟(ホワイトオウル)の渉外担当。

厳つい男。堅気には見えない。渉外担当にも見えない。


─────

早くも自転車操業がキツくなってきました。

更新間隔が空くかもしれません。


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