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歩けば何処かに辿り着く  作者: 河内 胡瓜
護衛
118/272

02-A.救いようがない

今回入れるのを迷いましたが、

入れてしまいます。


幕間と思ってお読みください。


アータル以外の視点でお話が進み(?)ます。

会話も少なく、ちょっと短めです。

俺の名前はフー・バー

歴とした貴族の一員だ。

バー男爵家の死んだ最後の当主は、

俺の曾祖父の又従兄弟に当たるらしい。

俺は家系の途切れたバー男爵家を

再興するため、冒険者をやってる。


まったく。貴族なんだから

子孫に金くらい残せよって言いたくなる。

遊んでくらす金も足りねぇから、

冒険者なんてショボい暮らしなんかしてる。


そもそも冒険者ギルドは、

金払いが悪くて行けねぇ。


決闘場で賭ける金も満足に稼げねえ。

受付機だかなんだか知らねーが、

あの箱みたいなカウンターが悪ぃんだ。


俺が誰だか分かってねぇから、

あの程度の金しか出してこねぇ。


仕方ねぇから、

その辺の路地で転がってるガキどもに

現実のキビシさってヤツを教えて、

小銭を稼いでいる。

ホント。しみったれた生活だ。


そんな時だ。

ハインツさんに会ったのは。


────


ハインツさんも貴族だそうだ。

子爵家の四男坊で、

やることがなくて暇だからと

冒険者をやっているそうだ。


シビレルねー。

俺も一辺言ってみたいぜ。

『金もあるし、

 やることなくて暇だから

 冒険者をやってんだ』

ってな。


ハインツさんは、

俺らに割のいい仕事をくれたりした。


ケチな冒険者ギルドが紹介しない

楽で金がたんまりもらえる仕事だ。


汗水たらして働くなんて

まっぴらごめんだ。

そんなの、最下層のヤツらに

やらしておけば良い。

俺は貴族なんだぞ?


商人だって、

いっつもイスにふんぞり返って

何もやってねぇじゃねぇか。


「今度は商隊の護衛だ。

 当然やるだろ?」


「もちろんだ。」


何たって商隊の護衛は

稼げる。

一緒に付いていくだけで、

金がもらえるし、

積み荷を誤魔化して売れば

良い金になる。


最悪、商人をさらって、

金をもらえば良い。


誘ってくれたハインツさんに感謝した。


────


森の中ではゴードンの手下と、

バートの手下が揉めている。

めんどくせー。


「もうこれ以上話し合いなんか無駄だ!

 俺らは俺らで勝手にやるぞ。」


「あぁいいぞ。勝手にしやがれ!

 こっちはこっちで自由にやる。

 アイツらも好きにやってるしな」


ここにいないハインツさんたちは、

街に向かっている。

俺は荷物を奪うためにここに残った。

向こうに行っても、

カルシュワカの連中は偉そうに

命令してくるから、

ぶん殴りたくなるだけだしな。


で、ここに集まってるのは、

俺を除いて、

バートやゴードンに置いていかれた

ヤツらだ。

俺みたいに騎獣も借りることができない、

ホントにクズどもだけだ。


バートやゴードンもなんで

こんなヤツらを手伝わせてるんだか、

意味が分からない。


どーせ数合わせにしかならないヤツら

なんて放っておいて、

さっさと仕事を始めよう。


────


茂みを走って騎獣にまたがる俺。

街でハインツさんにクチを聞いてもらい、

借りたウロコのある犬みたいなヤツだ。


ホントは馬が良かったけど、

ハインツさんに

『お前にはこれが合ってるよ』

って言われてこれにした。

守りも固いし、体力もあるからって

ことらしい。

ま。センスはどーかと思うけど、

やっぱり固くてデカイやつがいいよなー。


あとは、コイツにまたがって

荷馬車に行って、

好きなだけ荷物を運び出せば良い。


簡単に稼げるお仕事ってヤツだ。

騎獣の横っ腹を蹴って

出発しようとした瞬間、

前に割り込んできたのがいた。


────


「おっさんら邪魔だよ。どけ!」


俺と同じような騎獣に乗った

おっさんが2人。

剣盾のヤツと槍のヤツ。


「うっせぇんだよ!ガキが!」


槍を持ったヤツが大声を出す。

何コイツ?

めっちゃ怒ってる(おこな)んだけど。

笑える!


「ダセーし、ウゼーな。

 退けよおっさん。」


俺もイライラしながら言う。

すると、剣盾の方が俺を見て

もう一人のおっさんに言う。


「止めろ。

 コイツ、

 ハインツさんのところの・・・」


「あぁん?

 あ。あんときのヤツか。」


そう言われて良く見ると、

前に届け物した時のヤツだった。


きったねぇ箱を届けるだけで、

金貨1枚とか良い仕事だったな。


「フンッ仕方ねぇ。」


槍のヤツが道を譲る。


「はじめっから

 そうやれば良いんだっよ!っと。」


俺は槍のヤツの騎獣のケツに

剣をぶっ刺す。


 Gyoeeee


騎獣は大声をあげて、

後ろ足で立ち上がり、

口の(わり)ぃおっさんを振り落とす。


俺は笑いながら騎獣を走らせる。


「このガキがーーーーー!!!」


後ろでおっさんが何か言ってて笑える。


俺をバカにしたお前が(わり)ぃんだよ!


────


騎獣を走らせながら、

アイツらのことを思い出した。


何度か会ってる。


最初は箱を届けた時だ。

ハインツさんが言うには

箱の中身は何かスゴいどーぐだとか、

相手は元は貴族の親戚だとか。

俺にはキョーミなかったんで、

ぜんぜん聞いてなかった。


そん次はどこだっけな?


決闘場だ。

思い出した!

アイツら、俺の金貨2枚を

パァにしたヤツだ。


ガキに負けやがって!

固い勝負だったから、

全財産賭けたんだぞ!


くそー!!

ムカついて来た。


一回引き返してケリでも

食らわせてやるか!!


オマエらのせいで、

野宿になったんだぞ!

貴族である俺様が!!


 ポツっ


「冷て!」


上から水が落ちてきた。


んだよ。


そこで、もひとつ思い出す。

ハインツさんが出発前に言ってたこと。


「今回はバート、ゴートンと合同だ。」


ごうどうの意味はわからんけど、

一緒にヤるくらいのことだろ。


「バートやゴードンの仲間とは、

 上手くやってくれ。」


と、黄色い布を渡された。


アイツらもそれだった。

参ったな。

ハインツさんのお願いなら

聞かないわけにゃーいかねぇ。


それよりなんでアイツら、

ゴードンなんかの仲間になったんだよ。

決闘場で負けたからか?

場外での賭け事に手を出したか?


どっちにしろ、ゴードンのヤローに

骨までしゃぶられりゃーいいんだ。


そろそろ森を抜ける。

俺はロングソードを抜いて、

荷馬車に一直線で走らせた


・・・ところで真っ暗になった。

用語説明:

・バー男爵家

今は無き男爵家。

たくさんの子孫を残したので有名で、

子孫だとなのる者が後を絶たない。

ちなみにこの男爵家は名誉職で

一代限りなのを知るものは少ない。


・ハインツ

自称子爵の四男坊。

今回の護衛の冒険者の一人。


・掲示板に貼り出されない依頼(クエスト)

闇営業。

おおぴらにできない仕事。

たいていロクでもない。


・剣盾、槍(口の(わり)ぃヤツ)

アータルにやられたヤツら。


・ウロコのある犬みたいなヤツ

こちらの世界のセンザンコウみたいなヤツ


・きたねぇ箱

アレが入っていたヤツ。


・黄色い布

今回の護衛メンバーの印。

これから荷馬車を襲おうってヤツらは、

みんな既に外している。





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