出会いと始まり③
シリアス終了のお知らせ
5分前…。
「主任、そっちはどうですか?」
『順調だわ、感情解放システムは?』
「こっちもいつでもオーケーです」
『分かったわ、百合ちゃんにボブゴブリンと戦ってもらおうと思ってるからそのタイミングでお願いね』
「マジですか主任!?レベル2で勝てる相手じゃないですよ!」
『大丈夫大丈夫♪百合ちゃんなら勝てるわ、システムの起動を段階1からね』
「主任…しつこいですが本当に大丈夫ですか?役所に何て言われるか分かりませんよ?」
『大丈夫って言ってるでしょ?ちゃんと許可は取ってあるわよ』
「じゃあ、いきますよ!」
『ふふ、バグの1つも起こしたらダメよ!』
「グギャア!」
「ぐっ…!」
心の底からナニかが沸いてくる。ナニこれ!?矢の数はかなりあったはず。棍棒を避けつつ矢を撃った。いつの間にか春さんが消えてる。後ろに下がりつつアーツを撃つ。
「《パワーショット》」
「グガ…!?」
棍棒を持っていた右腕に命中し、少し怯んだ。周りが変わって見えてきた。助けて。不思議だし怖いし不気味。まだ収まらない。私は…私は…私は…何がしたいの…?ゴブリンが…危ない!
「がっ…痛い…!」
「グギャギャギャギャ!」
一瞬ゴブリンが笑っているように見えた。少しイラっとした。あれ…イラっとって何だろう。初めての感情。私怒ってるのかな。そして楽しんでるのかな。何だろう。ナニかを掴みそうな気がする。私は足を撃って突進を止めた。
それでもゴブリンは立ち上がってドスンドスンと近づいてくる。もう片方の足を撃った所で偶然足元にあった水溜まりに私の顔が写った。その顔は、
「笑ってる…?」
笑顔だった。自分の笑っている顔を初めて見た。少し怖いけどドキドキするけどコレは…。ゴブリンが棍棒を横に薙ぎ払った。ギリギリの所で避け、パワーショットを撃った。私は考えるのを止めてとにかく撃った。撃ちまくった。そしてしばらくして、
「グ…ガ…!?」
「はぁ…はぁ…はぁ…!」
「百合ちゃんおめでとう♪出来ると思ってたわよ」
「これは何…?」
「ちょっとした最先端技術よ、今の気持ちはどうかしら?」
「楽しい…けど疲れた…って私…」
「興味を持ってもらったかしら?」
「…はい」
楽しいってこういうことなのかな。初めて。今もドキドキしてる。でも疲れた…。眠い。
「すぅ…」
「ふふ、寝ちゃったわね」
「ギャギャ!」
「煩いわ」
「ギャ」
……………………
「ん…ここは…?」
「起きたかしら」
私は春さんに膝枕されていた。
「ふふふふ…可愛いわぁ…♪」
「え…?」ビクッ
私は本能的に怖くなった。さっきの怖さとは違うし…。背筋が凍るような…。逃げようとすると、抱きつかれた。
「逃げちゃダメよ♪よしよし♪」
「恥ずかしいから止めて」
「無理よ、諦めて」
恥ずかしい。逃げたいけど動けない。そのまま頭を撫でられて数分が経過した。
「いつまで撫でるの…?」
「私が満足するまでよ、それとも他に何かして欲しいの?」
「…」
考える前にナイフが手に握られていた。脱出するために春さんの手を刺そうとして、
「危ないでしょ♪手を刺したらだーめ!」
「ひゃっ!?!?」
耳に息を吹かれた。くすぐったいしビックリしてナイフを落とした。
「悪い娘はお仕置きよ♪」
「止め…あっははははは!?」
脇腹に手が近づき動かされた。凄いくすぐったい。止めて!?すると私の願いに応えるように1人男性が来た。
「主任、やりすぎです!」
「良いじゃない、私を刺そうとしたんだし」
「助けっっははははは!?」
「主任…例のファイルを出しますよ?」
「仕方ないわね…」
解放されて急いで男性の後ろに行った。凄く怖い。
「怖がってるじゃないですか!って成功したんですね」
「えぇ、バッチリだわ」
「百合ちゃんこんにちは、僕は…Yさんとでも呼んでください」
「Yさん、は、初めまして!」
「ところで百合ちゃん、もう1度私の膝の上に来ないかしら?」
「嫌です」
私は即答した。
読んで頂きありがとうございます




