表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/86

70 三(四)者会談

 負傷したシュレナを、ワゴン車「イリカ号」でロタが送り届けた一件から、約四週間後。


 場所は、ロタの家。

 ロタ、イリカ、ハヤミ、リモリの四人。

 向き合って座り、既に三時間ほど会話を交わしていた。


 主な語り手はロタである。

 話の内容は、シュレナとのいきさつ。リモリは、途中まで二度聞くこととなるが。

 話は、シュレナとロタたちとの出会いから始まって、展示会、夏祭り、電話でのけんかまでを順番にたどり、今まさに、シュレナをイリカがおんぶした場面にまで来た。


「……というわけで、シュレナさんをイリカ号の後部座席に乗せて、俺は、シュレナさんの自宅近所まで送った」

「シュレナちゃんの自転車も、入ったんだ?」

 説明するロタへ、質問が挟まる。発言者はリモリである。

「ああ。何とか」

「後ろのドアが閉まるギリギリだったけどね」

 と、ロタに付け足したのはイリカだ。


 イリカは、充電の機能付きの専用イスに座っている。紺色の長そでセーラー服姿。下はミニスカートで、人工皮膚で覆われた太い脚、膝は金属製の銀色の関節がむき出しだ。

 しかし、今ここに、その外見を怖がる者はいない。皆が古い仲間だからである。


 ロタは説明を続け、

「帰りの車内で、文化祭の一部始終も聞かせてもらった。散々な結果だったらしい。急ぎで準備した部品だけの展示は、地味過ぎて、むしろクラスメイトの方が、かえって気を遣ってお世辞で褒めてくれたとかで」


「うわー。そりゃつらいわ」

「本人も、周囲もね」

 リモリのコメントに、ハヤミも反応する。


 二人は、ソファーの両端に腰かけている。

 リモリは、妊娠七か月。おなかは相当大きい。ゆったりした青いズボン姿。肩ひも付き。サロペットという服だ。上は薄黄色のシャツ。袖はひじまで。

 茶髪のショートカット。


 ハヤミは、浅く前スリットの入った、ベージュのタイトスカート。膝丈。上は、カーキ色の長袖ブラウス。

 黒髪を後ろで結んでいる。丸眼鏡。


 両者とも美人であり、もし初対面であればロタもドギマギしたことだろうが、イリカ製作を通じて、既に十年ほどの交流になる。距離感としては、もはや同志だ。


 部屋は広く、サーバーなど大がかりな設備も。イリカ用の機械ルームである。

 ロタは、イリカのそばに一人掛けの椅子を置き、身を乗り出す姿勢で座っていた。ネクタイなしのスーツ風。普段着よりは正装に近い。


 そのあとも、シュレナから聞かされた範囲で、ロタは文化祭の模様を語った。

 こうして、ロタの話は一旦終わる。


「そういうことだったのですね。あの時、イリカちゃんが逆探知した位置情報は、自転車で転んだシュレナさんが送ったメール」

 ハヤミがほほえむ。四週間前の、あの緊急電話のことを言っているのだ。

 今日は、ロタが改めてそれを説明するため、皆で集まったわけである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ