59 文化祭、理学研究部発表
視聴覚準備室。
手前の生徒会展示を楽しんだケミホ中学の生徒や、外部の客は、ふと、部屋の奥にも別の展示があることに気付く。
だが、ほとんどがちらりと見るだけで、近寄らぬ。
何やら怪しげで、陰気臭いからであろう。
壁際に、長机が二つ、横に並べられている。
壁には、大きな紙が貼られ、マジックペンで図面や年表、解説などが書かれている。
机の上には、小さな部品が幾つか。
シュレナによる、理学研究部の展示であった。
テーマは、「ロボットが出来るまで」。
学生など初心者が小さなロボットを作る場合、その手順を、製作キットの歴史も交えて紹介するというもの。
ロボット本体の出品は認められなかったため、細かな部品のみを数点、壁の解説の補足として用意している。
机越しに、シュレナが一人、椅子に座って受付をしている。
午前中は、時々立ち上がって呼び込みもしていたが、昼下がりの今は、その気力もすっかり失せた。
人が来ないから、だけではない。
たまに、友人やクラスメイトが見に来てくれるのだが、
「うん、な、なかなかいいよ。分かりやすくて……」
「さすがだね。べっ、勉強になったよー」
皆、一様に、苦笑交じりに気を遣ったコメントをしてくるのだ。
(いっそのこと、ネタにして笑い飛ばしてくれた方が気は楽なのにな)
シュレナ自身、この展示が相当に「しょぼい」ことは分かっているのだ。
元々の準備期間不足に加え、大きな紙に説明をまとめる不慣れな作業。
シュレナは、プログラムを書いたり機械を組み立てたりはお手の物だが、こういった文書やデザイン系には強くない。
何度か作り直したものの、思い通りには仕上がらないまま、当日を迎えてしまった。
シュレナの事情を、なまじ、周囲が知っていたことも、状況を複雑にしていた。
すなわち、シュレナのロボット展示が突然不許可になった件である。
シュレナ本人の話も、別ルートのうわさもあり、かなり知れ渡っていたのだ。よって、はれ物に触るような態度の者が多いのだった。
(みんな、出来れば敬遠したい、でも行かないのも悪い、白々しくお世辞ばかりも言えないし、って感じなんだろうなー)
クラスメイトたちの心境が想像できるだけに、なおさらいたたまれない。
とどめは、同じ「マイナー展示仲間」だと思っていた同室の生徒会執行部が、意外な活況を呈していること。
それを目の前で見せつけられては、たまらない。
(予定通りにロボットを出せてたなら、私だって、あれぐらいは人が集まったはずなのに!)
ほおづえをつき、生徒会の盛り上がりをぼんやりとにらみながら、
(あの着ぐるみだって、端っこはとがってるし、十分、危ないじゃねえか。なんで、あれがよくて、私のロボットが駄目なんだよ。おかしいだろ!)
シュレナの心は、どんどんささくれてゆく。




