表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/86

27 ワンピースとズボン、役割分担

「これ書いたの、まずかったかなー。いや、でも隠すのも何か変だし」


 たった今、ロタに返信したメールを、読み返しながらシュレナはつぶやく。

 まだ展示の会期中であるのに、予定を繰り上げてロボットを自主回収した件である。


 今日と明日は金曜、土曜で、最後の二日間。客の増加も見込まれ、正直、悔やまれた。

 しかし、昨夜のあの誤作動がまた起きても困る。

 それに、親類や先生、友人と、事前に期待していた人たちは既に、ほぼ来てくれていたのだ。ダメージは小さい。


(けどなー、気を遣われたら嫌だなあ。ロタさん、俺のせいだ、って思うかなあ)

 シュレナは、スマホを持たぬ方の手で、頭をバリバリとかいた。

 ロタの、人がよさげな笑顔を思い出しながら。


 市民ギャラリーでの文化展示会を、ロタとイリカが見に来てくれた日の、翌日である。

 夕方。場所はケミホ中学校。

 校舎から独立したプレハブ。放課後。

 理学研究部の部室だ。


 制服姿で椅子に座ったシュレナが、机とのすき間に挟むようにして、両膝を立てていた。手にはスマホ。


 行儀のいい座り方とは言えぬが、下は長いズボンである。

 仮にスカートだったとしても、その場合には必ずハーフパンツを中に履くし、そもそも部室にはシュレナ一人。

 気にしなくてよいのだが、スカートだと、すそが垂れてきたり挟まったりで、煩わしいのだ。


 そんなシュレナも、昨夜は久しぶりにスカートを着た。私服の赤いワンピース。

 実は、これにはシュレナなりの思惑があった。

 ロタを「おびき寄せる」ためであった。


 シュレナは、ロタとイリカのことを、未来からのタイムトラベラーだと思っている。

 何らかの方法で、シュレナのいる「現在」を、のぞき見しているのではないかと考えたのだ。

 元々、ロタは逃げ腰で、展示会には来る気がなさそうに思えた。

 実際、日曜から水曜には来なかった。

 そこで、一計を案じて、ワンピースを着てみたわけである。

 未来からそれを見たロタが、来場するかもしれないと読んだのだ。


 水曜の朝、教室で、クラスメイトのガイチに「ズボンは色気がない」とからかわれたことも、この作戦を後押しした。

 あのセクハラ発言には腹が立ったものの、「男って、やっぱりそうなのか」と参考にはなった。

 そういえば、先週土曜の準備でロタとバッタリ会った時にも、ロタはシュレナのズボン姿を、どこか物足りなさそうに眺めていた気がした。

 これらを総合し、ワンピースをタンスの奥から出したわけだった。


(けど、その割には、ロタさんは最初、私だと気付いてなかったけど。あれは演技?)

 と、引っ掛かる点もあるが、

(結果オーライだよね。めくれ上がっちゃったのは計算外だったけど。まあ体操服着てたし……あんま見えてなかったよね)


 その時、メールの返信がロタから届いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ