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26 騒動から一夜明けて

 翌朝早く、ロタはシュレナへ電子メールを送った。


 シュレナのアドレスは、先日もらった名刺に印刷されていた。

 ロタの連絡先はシュレナには教えていなかったので、今までなら、シュレナからロタへの連絡手段はなく、ロタが一方的に縁を切り、逃げることも可能であった。

 だが、こうして今回、つながりが出来てしまったわけである。

 正直、ロタにはそれを危険視する気持ちもあった。

 しかし、もはやそうも言ってはいられまい。

 昨夜の件はそれなりに大ごとであり、大人として知らん顔は許されないだろう。


 メールの文面は、以下の通りである。



   シュレナ様


 おはようございます。御登校前に失礼します。

 メールを差し上げるのは初めてです。

 ロタです。昨日はお疲れさまでした。


 シュレナさんの造られたロボット、素晴らしかったです。

 ゼンマイ仕掛けと人工知能の組み合わせが斬新でしたし、動きも滑らかでした。工業大学の精鋭でも、あれほどの物は造れないのでは(お世辞抜きです)。


 そして、昨日は、私やイリカが原因であのような騒ぎを起こしてしまい、申しわけありませんでした。

 シュレナさんの機転のおかげで、イリカを目立たせずに連れ出すこともでき、大変助かりました。感謝しています。


 あのあと、大丈夫でしたか?

 もし、係員さんや顧問の先生からおしかりを受けたり、詰問され、詳細な説明を求められたりしていたら、どうか一人で抱え込まないでください。

 必要でしたら、私が、市民ギャラリーにもケミホ中学にも出向き、事情を御説明に上がります。いつでも御相談ください。

 イリカのことは、誰かに知られても構わないので、遠慮なくおっしゃってください。


 私にも至らない点はあるでしょうが、大人としての責任は自覚しているつもりですし、自分なりに果たそうと思っております。


     ロタ



 中学生相手にも敬意を払い、丁寧な言葉で書いた。

 無論、シュレナの親御さんなどに読まれる事態を想定してのことでもあったが。


 返信は、その日の夕方に届いた。


(さて、どう出るか)

 緊張しつつスマホを操作するロタ。

 だが、メールの件名を見た瞬間、「ふっ」と安堵の笑みをもらした。

 「心配ないです!」の文字と、横に添えられた笑顔のイラストスタンプ。どうやら、何とかなったようだと分かったからである。

「ふうー」

 ため息とともに、メールを開く。



ロタ様

ご心配なく!

後片付けも無事終わって、オオゴトにもならずにすみましたよ。おこられたりもしませんでした。

ロボットはすぐ持ち帰りました。あと二日、会期、残ってましたけど、調子を見たかったし、お騒がせした責任もあるので。

(私の設計が未熟だった。お二人のせいじゃないです!)

シュレナ



「えっ、途中で切り上げたのかよ」

 ロタはうめいた。

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