NPCへの暴行として通報しますね
「さて、そろそろいいでしょう」
パンパンに銅鉱石の入った麻袋を担いだカティが
終了の合図を出した。
「かなり採れたのは嬉しいけど、
これを持って降りるんだね……」
「あぁ、これはもはや不可能だな。
普通の勇者には無理だ」
「勇者なんだから普通じゃないでしょうが」
「無茶言うなよ、もう足が動かないんだよ」
「……転がしましょうか」
「待ってください。カティさん、許してくださ」
「駄目です」
「あああああああああああ」
足で大地を感じながら降りる予定が
全身で大地を感じる羽目になった。
なんて野郎だ。
「ウチのダメ勇者が迷惑かけてすみませんね?」
「そんな、迷惑なんて!
初めてなら慣れてないのも当然だし」
「そういえば、サラは全く疲れた様子が
ありませんね」
あ、呼び捨て良かったですか?とカティ
ええ、むしろありがとう。とサラ
……ありがとう?と首を傾げるカティ
「お小遣い稼ぎでたまにくるし、
私、基本は魔法が中心だけど
剣術にも適性があるらしいから」
「おぉ!凄いですね!」
この世界には大きくわけて魔法師と剣士の
ふたつの職業に分けられる。
それぞれ求められる能力が異なり、
魔法師は魔術の適性
剣士は剣術の適性が求められる。
まぁ、ゲームのよくあるやつだ。
また、一般的に魔術の適性が高ければ魔力が多く
剣術の適性が高ければ体力が多いと言われている。
大抵の人はどちらかにしか適性がないが
サラはそのどちらにも適性があるので
群を抜いて秀でているのだろう。
つまり、凄い。
「さて、馬車に着きましたね」
カティとサラは慣れた手つきで大量の重く大きな麻袋と岩にぶつかって伸びているタケルをポイッと馬車に
放り投げた。
*
馬車に乗り込み数刻が経った。
「……うぅ、ここは?」
「残念、起きましたか」
「……お前、後で〆る」
「NPCへの暴行として通報しますね」
「度し難い」
二人の会話を聞いて苦笑いにも
似た微笑を浮かべるサラ。
この二人の会話に入るのは、
山で鉄鉱石をとるよりも数倍難しいな……
なんて思うサラであった。




