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ようこそ、ナタ村へ!!

「村の勇者」


このゲームを簡単に説明するならば、


村の中で発生する様々なクエストを勇者であるプレイヤーが制限時間5時間以内に解決し、村を活性化させていく。尚、その時間を過ぎた場合強制的に村へ帰される。

また、制限時間内にクリア出来なければミッションの進捗はリセットされる。


と、まぁこんな感じだ。


まずはソフトをダウンロードし、VR機器を装着。

目を閉じ、少し待てば

授業中の居眠りに感じる一瞬の浮遊感を味わう。


目は閉じているはずなのに、

どこからともなく光が差し込んでくる。


目を閉じながらもつい目を細めてしまう癖は

まだまだ抜けそうにない。







舞台となる村は、

素朴な村である。


春風が吹く。

風に吹かれてゆらゆらと揺れる草花

木を基調とした暖かみのある家

小さな子供たちの笑い声が

チラホラと耳に入る。


そんな中、1人佇むのは、薄い革で作られたベストのような服に、他のゲームでもよく目にする木の棍棒を装備した勇者である、この俺。


「ゴブリンかよ……」


見えなくもない。初期装備なので

こんなものなのかもしれないが、

あまりにも貧相ではないか。


早く装備を変えたい。この一心でまず向かうのは

村のギルド。ここで、このゲームの核となるクエストを受けることが出来るらしい。


これもまた貧相な扉を開けたなら、


「ようこそっ!ギルドへ!待ちわびてましたよぉ!」


元気な声が飛んできた。

若葉色の制服を身にまとい、

頭には羽のついた帽子。

彼女の座る机には、様々な書類が置かれている。


どうやら、彼女が言うところの受付嬢らしかった。


「……どうも」


「はいっ!どうも!」


「……あの、ギルドの登録お願」


「はい!ギルドの登録ですね!」


「……あ、そうで」


「では、こちらの書類に、ユーザ名・性別の記入を

お願いします!」


「……」


この子、全く待ってくれない。言葉の語尾なんて

お構い無しだ。


語尾に「にゃー」とか、「だってばよ」とか付けて、

頑張って個性を演出している人だっているのだから

ちゃんと最後まで聴いてくれよ。


内心はそんなことを思いながらも記入の手は止めない。


「へぇ〜タケルさんですか〜」


「ほぅほぅ、、男ですか!ネカマにはならないんですねぇ」


……。


「棍棒を持っているところを見ると、

見かけによらず近距離攻撃に長けてるんですねぇ

……タケルだけに(ドヤァ)!!!!!!!」


さほど面白くもないよ。ありふれたネタだよ。

あと棍棒持ってるのは不可抗力だよ

デフォルトだよ。


この受付嬢あれか?ボケないと死んでしまう

キャラか?


今も「ツッコミ!ツッコミ!」と言わんばかりに

キラキラさせた蒼い瞳を向けこちらを見ている。

仕方ない。少々恥ずかしさはあるが、一度ツッコんでやるか。


「……棍棒はデフォル」


「あっ!記入完了しましたね! では、改めてようこそナ」


「聞けよぉぉぉぉ!!」


「およっ!?」


ダメだ!この受付嬢めちゃめちゃ疲れる!



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