番外編 奪い屋チーム
「おい忍。今回の依頼はどうなってる?」
「簡単な仕事だ。人を一人、奴らの本拠地に連れて行くだけでいい」
「報酬は?低そうじゃあねぇか?」
「300万だ。なかなかいい仕事だろう」
男三人で赤い車に乗って移動しながら話をしていた。
彼らは奪い屋チームの一チームだ。
「護衛はついているのか。依頼人は?そこの確認が重要だ」
「ついていないと聞いている。ただ、年老いたお爺さんとお婆さんが一緒にいるらしい。依頼人は運び屋だ」
「ならその二人を始末すればいいんだな。楽な仕事じゃあねぇか」
「警戒は怠るなよ。俺たちはプロなんだ。油断して失敗する様な真似は許されない」
十字の首飾りをした男は薄ら笑いを浮かべた。
「この私は慎重な男だ。魔術も今回の仕事に向いている。私が出向こう。断じて失敗はしない」
「テメェの魔術は気味がワリーんだよな」
「人の死に尊さはあろうとも、死者に尊厳などない。ならば使わねば無駄になるだろう。…ところでお前、また太ったのか。姿勢も猫背が直っていないではないか」
首飾りの男は太った男の腹と背中をつつく。
赤いジャンパーの男は二人をバックミラーを通して見ると、クスリと笑った。
「何笑ってんだリーダー。まさかリーダーまで俺が太ったなんて言うんじゃあ!」
「確かにお前は太ったな。痩せるべきだ」
「嘘だ!」「嘘じゃあない」「嘘だ!」「嘘じゃあない」
太った男と首飾りの男は太った、太っていないで言い合っているようだ。
「さっき言った通り、この仕事は下沢、お前に向いている。お前が老夫婦を殺した後、周りの墓の死体を操ってもしもに備えるんだ。終わり次第電話をしろ」
「もしも、が起こるとは思えないがね」
「今回の依頼の報酬は破格だ。何かあると考えて損はない。その間北見は最も教会から近いレストラン中で罠を張る。だから下沢には教会に来た奴の車を確実に破壊してほしい。車を盗みに来た奴が確実に敵だと分かるからな」
首飾りの男は首を傾げた。
「確かに私の魔術は一対多数に向いてもいる。ただ、そこまで用心する必要があるだろうか?」
「俺の読みで標的は運び屋チームのボスの何かだ。他のギャングが来てもおかしくはない。俺はレストランの外で待機しているから二人とも電話をかけたら必ず出られるようにしておくんだ」
赤いジャンパーの男の読みは概ね正しい。
だが後にこの依頼を受けたことを後悔することになる。
「二人の魔術はチーム戦には向いていないからな。何事もなければそれでいいが」
「まあ、何かあっても私の魔術に打ち勝つ者がいるとは思えないが」
「俺も完璧な条件が整いさえすれば負けない自信がある!」
(何か臭うぞ。三つの勢力が崩れるような何かが起こる。その様な何かだ)
車はレストランで静かに止まった。
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下沢 忍
魔術<正しい死生>
死体を蘇らせ、簡単な操作ができる。
死体は意思はなく、個性もない操り人形である。
時間予約使ってみたんだけどちゃんとできてますか?
GW寝てて書きだめ出来てないです。
ちょっと今から頑張ります(手遅れ感)