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ロード  作者: 田名部博士
3/22

初任務

「僕は池住富弥(イケスミトミヤ)。よろしくお願いしますね」

「この俺は畑陽弘(ハタケアキヒロ)だぜ。よろしくなー」

「俺は八代紡(ヤシロツムグ)だ。お前も名乗れ」


白いポロシャツ、黒いパーカー、ハットにコートの男が順番に名乗り、俺にも自己紹介を強要する。

名前が分かっても俺をここに連れてきた理由がわからない。


「どうして俺が名乗らなくちゃいけないんだ?そもそも俺はどうしてここにいるか分かっていないんだ。勿論、食事をくれたことは感謝しているし、何より嬉しい。だけど、信用は出来ない」


その言葉を聞いて畑はため息をつき、蒼樹は差し伸ばしていた手を下ろした。


「こいつ状況がイマイチ掴めてねーみたいだぜ。説明してやれよトミヤぁ」

「僕の方が年上なんですよ。『さん』くらいつけましょうよ」

「さんトミヤぁ」

「三ノ宮みたいに呼ばないでください。まあ、説明はしますけど」


畑に頼まれて、池住は立ち上がり、こっちを向く。


「簡単なことなんですけどね。この運び屋チームに入るか、今ここで死ぬかの選択を迫られてるんですよ。で、生憎ですが時間はないんですよ。今すぐに決めてくださいね」


池住は愛ポケットから何かを取り出した。

彼の握り拳に収まる何かを。


「でないと、僕は指を滑らしてしまいそうです」


握り拳を開くと彼の手には魔銃があり、人差し指は既に、トリガーに引っ掛けられていた。

発射された弾は彼の足元に凹みを作っている。


本物の銃、本物の弾、俺のことを殺す気か。


「どうしますか。名無しの迷い他人さん」


名を名乗らなかったのは間違いだったのか?

だが俺の情報を探られるのは不愉快だ。


ここで俺が争ったところで逃げ切れるだろうか。

1人が魔銃を持っているとなればきっとみんな持っているんだろう。

無理だ。運び屋チームとやらに入るしかないのか。


…否だ。俺には1つだけとっておきがある。

観察するんだ。必ずチャンスが来るはずだ。

こいつらを殺し、逃げることのできるチャンスが!


「選択肢はもう一つある。俺のことを忘れてここで見逃すっていう選択肢が!」


俺は左手に念を込め、能力を発動させる。


「時間は必要ねーみたいだな!撃っちまえトミヤ!」

「さんを付けろって言ってるでしょうが!」


畑が楽しそうに俺を指差すと、同時に池住はトリガーに再び力を込める。

しかし、銃弾は出てきはしなかった。

俺の能力も発動されない。


「そこまでだ2人とも。嫌なら良いんだからね。だけど事故に巻き込まれそうだった君を助けた恩は必ず…なんだったけ?」


この男が何かしたのか?…だとしたら今は従うべきだ。

仲間になっておいて後から逃げれば良い。


「…返す、と言おうとしたんだ」

「なら、一度だけでいいから任務の手助けをして欲しい。その間の衣食は保障するし、報酬も払う」


悪くはないと思う。恩を返さずに逃げるっていうのも癪だったんだ。


「分かった。それならこちらから頼む」

「そうと決まったなら早く次の任務を教えてくれ。移動中にでも俺は寝たいんだ」


朝帰りだと言っていた八代は不機嫌そうに言った。


「次の任務の報酬は500万だ。1人のお嬢さんを守るだけでね。場所は教会ポアービア、時間は今日の10時だ」

「あと30分しかないじゃねぇかッ!もっと早く言えッ!」

「そんなことよりもよー!500万だって⁉︎どこのお姫様だそいつ!」


500万もあればもう食に困ることはない。

これは良い仕事に巻き込まれたんじゃないか?

もしかして今、凄くついてるんじゃないか?


「もう1つあるんだがそっちは50万の仕事なんだ。分担して片付ける」


すると全員が手を前に出し、握り拳を作る。

俺はこの遊びを知っている。


「じゃんけんぽん!」


結果は池住と蒼樹が安い仕事で他が高い仕事だ。

俺も高い方に駆り出される。


「報酬は等分ですからね。ネコババしないで下さいよ」

「しねーよ。でもうっかり落としてきちまうかもなー」


等分なら安い仕事の方が良かったんじゃないか?

助っ人なら楽な方で働かせてほしい。


「お前、車は運転できるのか?」

「いえ、俺は未成年ですので」

「なら俺は寝れねぇじゃあねェーか!」


畑に導かれて俺は車庫に入った。


「早く車に乗れッ。あと30分もない。飛ばすぞッ!」


こうして俺は畑と一緒に八代の運転する車に乗り込む。


「先に言っとくけどよー。俺はお前のこと、信用してねーからな」


殺されないようにしないといけないな。

これで報酬さえ入れば俺はそれで良い。


もしかしたら奴らに接触できるかもしれないな。

さっき、奥の手を見せずにすんで良かった。

次回から魔術での戦闘に突入させる予定です。

今までの話はキャラ紹介と設定だと思って頂ければと思います。

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