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ロード  作者: 田名部博士
16/22

睡眠欲

レストランの敵を倒したあとすぐに、農場エリアを出て、高層ビルの建ち並ぶ、ビジネスエリアに到着した。

あたりは今より4時間ほど前に暗くなり、既に夕食も済ませた。


「敵はもう来ないんじゃあねぇかなぁ〜?もうこんな時間、みんな仕事が終わってこの辺りは人っ子一人いないぜ?」


畑は高速道路を走行しながらずっと話している。

きっと眠気を覚まそうとしているんだろう。


疲れているから八代は十分ではなかった睡眠を取り、かく言う俺も眠たくなり始めた。

高速道路から見る景色はあたり一帯ビルでどこも変わらない。

気を紛らわすためにも話をするしかない。


「それを待っているかもしれない。八代が眠ってしまった今、彼女を守るのは俺たちの役目だ」


俺は助手席から後ろでこちらを睨みつける少女を見た。

金髪の髪をツインテールにしている。

なかなかに優れた容姿をしているのではないのだろうか。


ただ、そんなことで奪い屋が動いているとは考えづらい。

何か重要な情報でも知っているのかもしれない。


口が堅そうな性格をしてると思うが。


「何よ?こっち見て。あなたたちは物のご機嫌取りをするのね」


上手に人に皮肉を言うんだな。

ここまで気が強いと感心までしてしまう。


「今はそっとしておけよ。きっと反抗期なんだぜ」

「いや、そうじゃあないだろうけど」


お風呂には入れないのだろうか。

女性なら気にしているのではないか。


「一度あの部屋に戻らないか?お風呂に入りたいだろうし」

「俺もそうは思うけどなぁ〜。任務中はアジトに帰るのはタブーなんだぜ。一応、隠れ家だからよ」


依頼物に場所を知られたくないのか。

運び屋というのはどうも冷たい仕事らしい。

やはり違法職なだけはある。


「なら、1人でも大丈夫だから銭湯に連れて行ってくれないかしら?流石にシャワーだけでも浴びたいのだけれど」

「いやいや、1人じゃあ危ないぜ。いつ狙われてるかわからねぇからな」

「でもここには男しかいないじゃあない」


これに関しては仕方ないんじゃあないか?

違法の仕事に女なんてそうそういないだろうし。


…なんだろう。瞼が物凄く重い。

かなり疲れているようで眠気が酷い。


「…あれ?おいおい寝るなよ照人。俺も眠たいのによ」

「なら私がお風呂に入っている間に寝ればいいじゃあない。1人で大丈夫だって言ってるでしょう?」

「それは流石になぁ…」


なんだか話が遠のいてきた。

ちょっとだけ、浅い眠りならいいだろう…。


日笠は目を瞑り、眠気に体を任せた。

それを確認した男が1人、彼らのすぐそばにいる。

誰も彼には気づかない。


「あっ!とうとうぐっすり眠りやがったぜこいつ。…お前は寝ないのか?魔術戦に巻き込まれて疲れてるだろ?」

「お風呂に入るまでは寝れないわよ。私は一応、綺麗好きなのだから」


確かに小綺麗な服を着ている。


依頼物の女は口を手で隠しながら大きく欠伸をした。

車の中にいる人間は既にほとんどの人間が睡眠欲に襲われていた。

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