HOT MORE①
北見はもともと臆病な男だった。
過去に動きが遅く、太い体型だった為に呼ばれたあだ名は豚亀。
いじめを受け、耐え切れずに主犯格の同級生を鋏で何度も刺し、殺害する。
パニックになってやってしまったと本人は後悔し、自殺を図った。
そんな時に会ったのが下沢という男であった。
慎重で冷静な男として尊敬していた下沢が死んだと聞かされた時、北見の中で何かが目を覚ます。
そして、これが北見にとっての初めての単独行動だった。
だが、初めての魔術戦だというのに北見は、勝利だけを見つめていた。
―『今開ける……ぞ!扉から離れろ!』
畑が思い切り開けた扉はあっさりと開いた。
直ぐに八代は依頼物を連れ、外に出ようとした。
しかし何か、見えない壁によって弾かれる。
「どうなっているんだ!分からない、能力が読めないぞ!なぜこここから出られないんだッ!」
「ちょっと!大丈夫なんでしょうね⁉︎」
「さっきからうるさいぞ!何もできない癖して喚くんじゃあない!」
とうとう八代は依頼物に憤り、叫んだ。
依頼物はショックを受けたのか、男を睨みつけ、距離を取る。
「もしもし!もう一度、もう一度扉を開けろ!」
『え?……あぁ、……わかっ……たぜ…!』
熱のせいで携帯電話のスピーカーやマイクが壊れ始めた。
もう殆ど機能していないようだ。
もう一度扉は開いたが、やはり外に出ようとすると何かに妨害される。
「中には入るなよ!出られなくなる!」
『………』
とうとう携帯電話は通話中のまま動かなくなる。
八代は最後の言葉が届いたことを祈り、携帯電話を投げた。
そのあとすぐ、さっきとは似ても似つかない老婆が八代にしがみつき、助けを求める。
「さっきからあなた、何か知っているんですよねぇ?…助けて、下さい。私、おかしいんです。助けて」
このままでは依頼物も八代も熱中症で倒れてしまう。
八代は覚悟を決め老婆の手を掴んだ。
「相手が見つからないっていうなら、俺は見つかるまでとことんやるぞ。覚悟は決めたッ!まずは一番怪しいお前からだッ!」
老婆がたちまち糸となり、天井から床、壁にピンッと張り巡らされた。
恐らく触れれば手が切れるだろう。
これでも北見は動じない。
触れさえしなければいいんだ、と。
「な、何してるんですか!一体あなたは何をしたんだ!」
先の青年は八代を指差し、弾糾する。
「人殺しだッ!取り押さえろ!」
青年が叫ぶとホールにいた6人の老若男女は八代を取り押さえた。
しかし、八代はたちまち取り押さえていた人たちを糸に変えていく。
「うわぁぁあ!殺さないでくれぇ!」
「何も殺したわけじゃあないんだ。意識はなくなるが死にはしない。邪魔にならないように糸になってもらうだけなんだ」
八代は唯一残った青年に言い、あることに気づいた。
思えば、今までどうして気づかなかったんだろうか。
「…お前は太った男を見なかったか?確かにいたはずなんだ。目立っていたから見失う筈がないんだ!あいつが魔術士の可能性が高い!」
「み、見てない!確かにホールにはいた!いたけどどこに行ったのかは知らないんだよ!」
「そうだ。確かにいた。そいつが座っていた席をお前が見てこい。太っているから暑さで早々に倒れたのかもしれないからな」
八代はそれだけいうと魔銃を胸ポケットから取り出し、青年に向けた。
「わ、わかった!わかったから撃たないでくれ!」
青年は素早く、北見が座っていた席を確認する。
だがそこには誰もいなかった。
「い、いない!誰もいない!」
「なら、どこに行ったんだ?あの男は…ッ!」
その時、誰かが八代の服の裾を突いた。
依頼物である女だ。だが様子がおかしい。
「な、なんだとォォォーー‼︎」
「老けている…私の体が徐々に老けていく!」
wifiの調子がおかしい。スマブラできないの辛いです




