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ご奉仕ご奉仕



この物語は、フィクションであり、実在する人物・団体とは関係ありません。



----- 6話「ご奉仕ご奉仕」 -----


「前回のアンデッドの大蛇が出た仕事の依頼者に

苦情を伝えたら、報奨金を上乗せしてくれてさー、

教団から報酬として僕達に一日休みをあげるんだって。

どうしようか、ティア?」


「そうですね、一緒に休みをすごしましょうか。

日頃のお世話になっているお礼に一つだけ何でも

ご奉仕させていただきます。私にできる事なら

何でも言って下さい!」


 なんという、突拍子もない嬉しい願いだ。

 

 しかし、これは僕の人間性を試される危険な悪魔の誘惑。

 下手に嫌われる事を言って台無しにしてしまっては、

元も子もない。再度確認をして念押しだ。

 

「本当に何でもいいの?」

 

「はい、何でもいいですよ」

 

 やはり、何でもいいらしい。しかし一つってのは少ない。

 ここは、念のため願い事を増やせるか聞いてみる。

 

「じゃあ、願いを10個にしてくれ!」

 

「はい、いいですよ。10個ですね」

 

 ティアは、なぜかニコニコと嬉しそうだ。

 これなら、100個も頼めるかもしれない。

 

「やっぱり、100個にしてくれ!」

 

「はい、100個ですね。いいですよ」

 

 ティアは、なぜか更に嬉しそうに答えた。

 なぜか、ティアの微笑みに危険を感じたので、

チキンな僕は、すぐに訂正してしまった。


「んー、やっぱり考えるのも大変なので10個でいい」

 

「10個ですか……。いいですよ」

 

 なぜか、ティアは、しょんぼりしている。


 しかし、なんだこれ?

 この状況は、人間性を問われる危険な悪魔の誘惑が

10個に増えてしまっただけなのでは?


 ここは無難に割りとどうでもいい簡単なご奉仕から

お願いしていこう。


「じゃあ、1つ目は、肩もみをお願いしようかな……」


 チラッとティアの様子をうかがう。

 

「はい、肩もみですね。喜んで!」


 ティアは、嬉しそうに僕の後ろにまわると肩もみをしてくる。

 

「あー、いい感じだ。そうそう、肩もみ上手いね」


 ティアは、両手で肩もみを最初は柔らかく、だんだん強く、

肘を当て、回転させたりしてくれた。


「2つ目は、膝枕で、3つ目は、それで耳かきをしてくれ」


「はい、喜んで!」


 ティアは、耳かきをとってくると、長い椅子に座り、ポンポンと

自分の膝上を叩いて呼んでいる。


「どうぞ。こちらに頭を置いてください」


 僕は遠慮がちにすまなそうに横になり、ティアに膝枕をしてもらう。

顔の向きは恥ずかしいので、ティアに向けず外側だ。

 

「あー、結構たまってますねー、たまには耳掃除しないとダメですよ」


 ティアは、そういって耳かきをしてくれる。

 最後の一掃除とばかりに、息を吹きかけてきた。

 

「ふーっ」


 うおおおっ、こそばゆい。

 

「次は反対側ですよ」


 僕はティアに従い反対側の耳を上にする。

 必然的に顔はティアの方を向く。

 こんな近くにティアのお腹がある。

 なんだかいい匂いまでする。


「じーっと見られるとはずかしいです。目を閉じていてください」


 僕は言われるまま目を閉じて、耳かきが終えるのを待つ。

 

 最後の一掃除とばかりに、また、息を吹きかけてきた。

 

「ふーっ」


 うおおおっ、やっぱり、こそばゆい。

 

「4つ目は、髪も伸びてきたし、散髪を頼もうかな」


「上手くできるかわかりませんけど、それでも良いですか?」


「ああいいよ。お願いします」


 ティアは、散髪道具を取ってきて、僕に散髪用の布を体に巻く。

 

「どのような髪型にしますか?」


 ティアは、髪をサワサワと持ち上げて髪質を確かめている。

 こそばゆい。

 

「そうだなあ、全体的に短めに」


「はい、了解しました」


 ティアは、前髪から適当に短くしていく。

 横の方を切る時に首を横に倒して切ってもらう。

 後ろを切るときは、前に倒して切ってもらう。

 頭の上の方を切るときは、密着してきた。

胸が肩や、背中、額に押し当てられる。

 

「はい、終わりました。次は何をしましょう?」


 ティアは、僕に巻いた布を取りながら片付けを始める。

 

「そうだなあ、爪切りをお願いしようかな、それとも休憩にする?」


「いいえ、まだ疲れてませんから、大丈夫です」


 ティアは、爪切りを取ってくる。

 

「5つ目の爪切り、お願いします」


 僕は、ティアに手を広げ差し出し、お願いする。

 

「はい、ちょっと伸びてますね。ちゃんと爪も切りましょうね」


「ふぁああい」


 僕は、返事にならないような変な返事をしてしまう。


 ティアは一本一本の指の爪を丁寧に切っていく。


 僕の手の平は、ティアの手にしっかり掴まれ

綺麗にやすりまでかけてくれた。

 

「ありがとう。6つ目は、マッサージでもしてもらおうかな」

 

「はい、喜んで!」


 僕達は、マットのある部屋まで行き、僕はマットに横になる。

 

「まずは、背中からやりましょうか、上に乗りますよ」


「ああ、お願いします」


 ティアは、僕の背中にまたがると膝をつき背中のツボを押してくる。

 

「そこ、そこ、いいね。ティア上手いね」


 腕と足も軽くツボを押したあと、持ち上げてブルブルと振ってくる。

 

「ああ、いいね。そろそろ疲れただろう。休憩にしようか?」


「そうですね。休憩にしましょう」


 僕の願いのネタがなくなってきた。

何か考えておかないと、どんどんエロイ方へと考えが行ってしまう。


「ちょっと早いけどお昼ご飯にしようか。僕がおごるよ」


「はい、ありがとうございます。ごちそうになります」


 僕達は、教団から少し離れた美味いと評判の食事処に行った。


 店の前には、待ち合わせていたのだろうか、若い男女が

嬉しそうに抱き合って、久しぶりの再会に会話がはずんでいた。


「羨ましい……」


 僕はポツリと独り言のようにつぶやいて店に入る。

 個室部屋に通され、メニューは、日替わりランチしかないのでそれにする。

 

「アビスさん、さっきの抱き合っている男女を見て羨ましいって

言ってましたよね」


「ああ、聞いてたの? はずかしい」


「やりましょうか? 抱擁」


「ええっ、ホウヨウってあの抱き合う抱擁?」


「はいっ」


 ティアは、ちょっと赤くなって照れているようだ。


「ええっ、本当にいいの?」


「はい、ご奉仕にカウントしますから」


「ぜひっ、7つ目の願いは、抱擁、お願いしますっ!」


 善は急げだ。

 僕は、もう何がご奉仕のなのかよくわからず、好機とばかりに

ティアの前へと移動する。


「アビスさん、いいですか?」


 ティアは、両手を広げ抱き合う準備をする。

 

「ティア!」


 僕も、わけもわからず、名前を呼び両手を広げる。

 

 ティアの方から抱きついてきてしっかりと僕の腰に手をまわして

抱きしめる。僕もティアの背中に手をまわしてしっかり抱きしめた。


 若い女性を正面から抱きしめるのは、初めてだ。

 甘い髪の匂いがする。

 ずっと、このまま抱きしめていたいと思い数秒たっただろうか。

 

 店員さんが、注文の日替わりランチをもってきた。

 

 僕達は、あわてて離れて赤面しつつ席についた。

 

「オアツイですねー、料理も熱いですよー、めしあがれ」

 

 僕達はさらに赤面して下を向いてしまう。

 

「さあ、食事にしようか。いただきます」


「ごちそうになります。いただきます」


 僕達は、美味しく食事をすませ、支払いをして店を出る。


 まだ、次の願いを考えていない。どうしよう。

 

 あたりを見回すと怪しい店の看板が出ている。

 『新しい大人の遊び、踏まれて嬉しい、痛いけど気持ちいいSMクラブ』

 絵には男が顔を踏まれて嬉しそうにして、女はムチを持っている。

 

 踏まれて嬉しい?

 痛いけど気持ちいい?

 本当なんだろうか。

 ティアに聞いてみる。

 

「あの店の看板に書かれている事は本当なんだろうか?」


「どうでしょう。怪しいお店ですね」


 僕達は、教団に帰ってきた。

 僕はまだ次の願いを考えていない。

 

「次の願いは決まりましたか?」


 ティアが聞いてくる。

 

「いや、まだ……」

 

「できれば今日中にお願いします」


 ティアの方は、僕に考える時間を与えたくないのか急かしてくる。

 

 もうネタがつきてしまってさっきの変なクラブの事が頭にチラつく。

 

「さっきの変なクラブの看板覚えてる?」


「はい、あの怪しい店の」


「あれに描いてあったように頭を踏んでみてくれ」


「あれは、気持ちいいんでしょうか? 私はかまいませんけど」


「それでは、8つ目の願いは、頭を踏むでお願いします」


 僕達は、またマットのある部屋まで行き、僕はマットに横になる。

 

「アビスさん、それでは踏みますよ。最初は弱くから」


 ティアのガーターベルトで留めた薄い生地のガーターソックスが

僕の頬や耳の上に軽く押し当てられる。


 そんなに悪い気持ちじゃない、むしろ気持ちいいくらいだ。

 

「マッサージみたいで気持ちいい」


「それでは、もっと強く踏みますよ」


 ティアは、体重をかけて踏んでくる。

 

 なんだろう、この感じは悪くない。

 頭にマッサージをされているようだった。

 

「ありがとう。もう、いいよ」


「あっ、はい……」


 ティアは、多少顔を赤らめているような気がする。

 

「次の願い。9つ目はムチで軽く打ってみてくれ」


 ティアは、武器庫からムチを取ってくる。

 

「最初は軽くだからね。軽く!」


「はい、わかりました。軽く打ちます」


 ティアは、軽くムチを打つ。

 僕の腕やお腹に当たる。


「いたっ」


 やっぱりただ痛いだけだ。

 僕は痛くて思わず背を向ける。


 ティアは、また軽くムチを打つ。

 僕の腕や背中に当たる。


「あいたっ」


 やっぱり痛いだけだ。


「ありがとう。もう、いいよ」


 ティアの目にちょっと狂気が宿っている。

 ティアは、僕の制止を聞かず、ムチを打ってくる。

 僕の体にムチが当たる。


「あいたー!! ティアもう止めて」


 僕が大きな声で制止するとようやくムチを打つのを止めてくれた。

 ティアは、顔を赤くして息を荒げている。

 

 僕にはその気はなかったが、

 ティアは、S、サドというのだろうか、その気があるようだった。


 あと1つ願いする事ができるが、なかなか思いつかない。

 あとは、エロイことしか思いつかない。

 

 エロイ事でやれそうな事を考えてみる。


「一緒にお風呂に入って洗ってもらう」


 思わず口に出してしまっていた。

 

「いいですよ。ただし、はずかしいので目隠ししてもらいます」


「えっ、いいの? 本当に?」


「はい、前に一緒に温泉に入った事あるじゃないですか」


「いや、それとこれとは違うような」


「やめますか?」


「いえっ、ぜひ、最後のお願い、お願いします」


 僕は動揺して、何度もお願いしてしまう。

 

 僕達は、教団の個人用の風呂へと移動する。

 

 ティアに僕を目隠ししてもらい、裸になるが、タオルで前だけは隠す。


 ティアも裸になっているようだ。

 

「ティアも裸になるの?」


「一緒にお風呂に入るという願いだったじゃないですか」


「そうだった」


 僕は、ティアに引っ張られ風呂の中へ移動し、風呂用の椅子に座る。


 よく考えると僕だけ見えなくて損な気がする。


「はい、それでは洗いますよー」


 ティアは、石鹸で泡立てたタオルで僕の背中から洗う。

次に腕を洗おうとしている。僕は親切心から洗いやすいように腕を伸ばす。


「ぁん」


 僕の伸ばした腕に何か柔らかいものが当たってティアが色っぽい声を上げる。


「ふふっ、お気になさらず」


 ティアは、もう片方の腕を洗い、両足も洗う。

 僕は、タオルで股間を押さえ前もって洗う事を断る。

 

「ここは自分でやりますから、洗わなくて良いです」


 なごりおしくもあるが、きっぱり前もって断る。

 

「はい、わかりました。頭も洗いましょうか?」


「あ、お願いします」


 ティアは、石鹸を泡立て、僕の頭を洗う。

 頭の後ろに何か柔らかいものが当たっている。

 

「キレイキレイしましょうねー」


 ティアは、子供にやるように僕の頭を鼻歌でも歌うように洗う。

 

「フームフーンフームフーン」


「水を頭にかけますよー、目をつむってください」


「もう目隠ししてるって」


「そうでした。テヘッ」


 ティアは、僕の頭に水をかけ石鹸を落とす。


「はい、終わりました。これで私のご奉仕を終わります」


「ありがとう。ご奉仕嬉しかったよ」


 僕は、そう言って、思わず目隠しを取ってしまう。

 

「まだ、ダメですっ!!」


 ティアは、叫んで僕の目を両手で目隠ししようと僕の頭に抱きつく。

横を向いていた僕の目に、一瞬、薄い桃色の先端が見える。

ティアは腕を回して僕の頭を抱え、胸でギュッっと僕の横を向いた頭を

抱きしめた。


「目を閉じてください。また、目隠ししますから!」


「ああ、ごめん」


 僕は最後にあったハプニングに満足し、素直に従う。


 ティアは、僕に目隠しをした後、先に着替えてから

僕の目隠しをはずし、先にお風呂を出る。


「お先に出ています」


「ああ、お疲れ様。ありがとう。もう今日は帰って休んでいいよ」


「はい、お疲れ様です」


「お疲れ様!」


 僕の長いご奉仕された一日を無事終える事ができた。


 お願いを100個にしていたら、どうなっていたんだろう。


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