外伝「前日譚」
この物語は、フィクションであり、実在する人物・団体とは関係ありません。
----- 外伝「前日譚」 -----
僕が、まだなれない神官の仕事を終えて、
教団の外庭に通りかかると、人影が見えた。
人影が気になって近づいてみると、
聖女見習いの女の子が木のそばに立っている。
長い黒髪で鋭い目つきをしているが、結構可愛い。
木の上の方を見て、心配そうな顔をしている。
視線の先には、木に登った子猫がいた。
僕は、ピンときた。
降りれなくなった子猫を心配して見ているのだろう。
僕は、木に近づくと持っていた改造忍者刀を木にそえて
足場にして子猫をそっと手に持って降りる。
子猫を聖女見習いの女の子に渡した。
「はい、助けたかったんだろ」
「え、あ、はい」
僕は子猫の頭をなでながら言う。
「もう、降りれないところまで登るんじゃないぞ、ははっ」
最後は照れて笑いが出る。
女の子も喜んでくれたようだ。
鋭かった目が笑顔になっている。
いい事をした後は気持ちがいい。
照れもあって、僕は足早にその場を離れた。
「あっ、お礼……。ありがとにゃん」
女の子は、そう言って、僕に子猫の手を軽く振ってみせた。
僕は、その姿を遠目に笑みを浮かべて立ち去った。
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