#4 討伐と魔法
俺はこの世界の通貨を持っていない。
通過の単位はピアとシグラで、1ピア=約10円程度のようで1ピア硬貨、2ピア硬貨、10ピア硬貨、30ピア硬貨、100ピア硬貨、500ピア硬貨、1000ピア金貨とあり、1000ピアが1シグラなのだが、シグラ紙幣は商人どうしの取引のような大きな所でしか使われないそうだ。
これでは宿はもちろん、食事さえできないので、ギルドで依頼を受けようと思うのだが、今日登録したばかりなので当然のことながらランクは最低、このランクで受けられる依頼は街の付近に自生している薬草の採集や弱い獣の討伐しかない。とりあえずガルムと2人で街の城壁付近に出現する大型昆虫の討伐依頼を受けたのだが、ここで魔物と獣の違いについて簡単に説明しておこう。
獣は人を襲う動物で、魔物は獣が魔力により突然変異したものや、その子孫を言うのだが、獣といえば哺乳類のことをいうことが多いと思うのだが、この世界では人を襲う全ての生物が獣扱いされるのだ。
ちなみに俺にはキャラクターメイキング以前の「記憶」はないが、前世の地球の「知識」はあるのだ。なかなか奇妙なのだが、なにかに役立つだろう。
依頼へは1度ガルムと別れ、二時間後にまたギルドの前で集合してから行くことにする。まだ1度もスキルや魔法を使っていないので討伐に向かう前に自分の体を把握しておきたいし、少しお腹も空いたので出かける前に腹ごしらえもしておきたいというのもある。ロムカの街...というか、この街があるヴェルザード王国では魚介類がよく食べられているらしく、立ち並ぶ屋台の半数が海鮮もので、イカ焼き(のようなもの)やホタテのような二枚貝を網で焼いている店もある。
ガルムに貸してもらった1000ピアで串焼きの魚や壷焼きを食べた後、1度街を出る。街の中に戦闘練習用の広場はあるのだが、魔法は禁止されているので外で練習するしかないのだ。
まず依頼とは無関係に近くにいた大きな蜂のような獣に向かって短剣を構えつつ突進、相手がこちらに気がついたところで前に大きく跳躍し、相手の後ろに回る。相手がこちらに振り向く前に殻に覆われていない羽の付け根を切り落とし、機動力を失った獣の首?の関節部分に短剣を差し込む。
ぶっちゃけ俺の身体能力なら殻も破れる気がするのだが、今短剣が折れたり刃こぼれしては困るので安全策をとったのだが、この短剣、よく手に馴染むし、とても強度がありそうだ。
ちなみに獣や魔物を倒したあとは血の匂いで他の獣や魔物が寄ってくるのですぐに焼くというのがエチケットなのだが、魔法を使えない戦士などは専用の高火力火打石を持ち運ばねばならない。しかし俺は火の魔法が使えるのでその心配はないのだ。火の魔法はガルムに「魔法の適正はあるのだが、発動方法が分からない、」と言うと初歩的な魔法ならギルドに置いている魔導書で学べると教えてくれたのでここに来る前に目を通してきた。
魔力は大量にあるので、火魔法と水魔法は中級までは全て使えるようになったが、上級からは本職の魔法使いにお金を出して学ぶらしい。指南を仕事としている魔法使いもいるようなのでその仕事を奪うようなことはしないようにしているそうだ。
「(炎弾)」
心の中でそう言うと目の前の大型の蜂の獣は瞬時に炎に包まれ、2分ほどすると灰になっていた。
魔法の発動には呪文の詠唱が必要なのだが、ガルム曰く魔法使いを極めたものは詠唱をせずとも魔法を放つことが出来るらしく、何かのスキルなのか、と聞いたのだがそうではないらしく、少し考えた結果、呪文の詠唱は魔法を使う際に使用する魔法をイメージして使うが、そのイメージをより強く固めるために詠唱や魔法名を宣言するのではないか、という考察に至ったので今は頭の中で火が出現する映像を思い浮かべて手の先に魔力を込めてみたのだが、無事成功、手の先から赤い弾が飛び出し、着弾の瞬間にボッと大きな火がついたのだ。やはり「魔法はイメージ」らしい。
俺は水魔法でまだ少し燃えている周囲の草を消し、街に戻ることにした。そろそろガルムもギルドに戻っているだろう。
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名前:シルバ
種族:獣人(銀狼)
年齢:17
レベル:8
HP:480/480
MP720/790
装備:レザーアーマー
:レザーレギンス
:皮の靴
:疾風のブレスレット
:黒曜鉄のダガー
スキル
・魔力増強 Lv.1
・火魔法(初級) Lv.1
・火魔法(中級) Lv.1
・水魔法(初級) Lv.1
・水魔法(中級) Lv.1
・光魔法(初級) Lv.1
・索敵 Lv.2
・異空間収納 Lv.3
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ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます
今回は一文を長くすることを心がけて執筆しましたが、いかがでしょうか?感想、ご意見お待ちしております
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