#2 目覚め、そして街へと
目が覚める。
体を起こすと目に入ったものは青い空に青々と茂る木々、遠くに霞んで見える城壁に囲まれた街。
とりあえず新しい体のチェックをしよう。
ちょうど湖が丘の下にあるので街の方向を確認しつつ駆け下りて...
は、速い!自分でも少し怖いくらいに走るのが速いのだ。
当然坂を駆け下りているのだから速いのは当然なのだが、それにしても異常なほど速い。
なるほど、これが狼の獣人の体なのか。そんなことを考えつつ湖まで駆け下り、水に反射する自分の姿を確認する。
顔はいわゆる強面を緩くした感じで、頭には狼の耳、髪は銀色だ。
身長は185cmくらいだろうか、なかなかに高い。
体格はどちらかといえば筋肉質だが、マッチョなわけではなく、程よい肉付きだ。
服装は綿のようなシャツに皮の軽鎧、いわゆるレザーアーマーの一式をつけており 、腰にはそれなりに切れ味の高そうな短剣がぶらさがっている。
頭の中で、身体能力はどの程度なのだろうか、と考えると、視界に薄い青色のウィンドウ?が出てきて各種ステータスが見られるようだ。
名前の欄が「 」となっているので、あれ?と思い自分の名前を思い出そうとする。
しかし一向に思い出せない。それどころか、キャラクターメイキングをした部屋で目覚める以前の記憶が全くないのだ。
少しの間悩んだが、一向に何かを思い出す気配はないのでとりあえず自分の名前を考えることにした。
うーむ、どうするか。これからここで暮らしていくことになるのだから、変な名前にはしたくない。うーん、とりあえず髪の色に合わせて「シルバ」と名乗ろう。
するとステータスウィンドウの名前の欄が「シルバ」となった。
さて、まずはさっき見えた街に向かおう。もたもたして日が暮れても困る。
さっき確認した街の方向に走る。森を突っ切ることになるな、と思ったのだが、少し目をそらすと街道のようなものがある。丘から見た時、街はなかなかの大きさに見えたので、周辺の道はそれなりに整えられているのだろう、と思い、石畳の街道に合流し、街の方向へ向かう。
街道にはたまにすれ違う程度の人(人間が多い。たまに獣人もいるようだ)がいて、馬車も時折見かける。
周囲を観察しながら歩くこと約2時間、街を取り囲む城壁までやってきた。
街道はそのまま門に向かっており、そこで兵士(金属鎧に剣を携えたいかにもな兵士)が馬車の積荷や入ろうとしている人の身分証らしきものを確認している。
当然俺は身分証なんて持っていないのでどうしようか、と悩んでいる間に俺の番が来た。
「身分証を提示してくれ」
と兵士Aが言うので
「身分証になるようなものは持っていないのだがどうすればいい?」
と聞くと
「お前さんはどこかの田舎から出てきたのか?」
と言われたので、とりあえず
「まぁ、そんなもんだ」
と答えておく。
すると
「なら手を出してくれるか、仮入場の印をつける」
言われた通りに手を出し、印を手の甲につけてもらう
「中に入ったらギルドに行ってギルドカードを作ってもらえ」
「そのギルドはどこにあるんだ?」
「街に入ったら大通りをまっすぐ行けば大きな建物が右手にある。それがギルドだ」
と教えてくれた。
「ありがとう、じゃあ行ってくる」
門番の兵士Aに礼を告げ、中に入る。
中に入ると幅20mくらいのなかなかに広い道がまっすぐある。道の左右は飲食店や宿屋、防具や武器を販売している店があり、街ゆく人の笑い声や話し声、客引きのおっさんの声もする。それなりの数の獣人もいるようだ。
ここでは右側通行らしく、ギルドに向かうべくまっすぐ歩いていると、3分ほどで大きな建物が見えてきた。あれがギルドだろう。
大きな扉を開け、俺は中に踏み込んだ。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ぎこちない文章で読みづらいかと思いますが、暖かい目で見てやってください。