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リズムゲームプラスパルクール  作者: 桜崎あかり
エピソード9『交差する日常と非日常』
89/137

エピソード9-3

2017年2月1日付:加筆調整

 午後1時、一連のまとめサイトにあった事例が事実だと言う事がユーザーからの投稿写真で判明する。

それは超有名アイドルファンが物量戦でパワードミュージックのランキングを独占しようと言う事だった。

この流れは数週間前ほどから兆しがあったのだが、それを見破れた人物はいなかったらしい。

1人のプレイヤーが複数のアカウントを持つ行為、チートプレイヤーに対する部分は対策済の一方で、組織ぐるみのランキング工作には脆弱性があったという事のようだ。

ここまで調べ上げて超有名アイドルによるコンテンツ独占を考えていたとは――。

改めて、その無限とも言える資金力が脅威と認識される事となった。このままでは超有名アイドルに独占される――と思われたが、その流れはわずか10分弱で覆された。

「資金力と言うチートを使う芸能事務所――やはり、歴史は繰り返されるのか」

 違法ガジェットを使っていないが、組織ぐるみでランキング工作を行っていたARゲーマーをARアクションゲームで倒したのは――飛龍丸ひりゅうまるだった。

その一方で、飛龍丸とは別のデザインを持ったARプレイヤーも彼女と手を組んで、100人以上と言われる組織のゲーマーをあっという間に撃破する。

その武装――ギャラリーは『道路からのビーム射撃』だと言う。相手ゲーマーも射撃ポイントに気付かぬまま、撃破されていた事に由来するが――。

固定砲台が道路から出現し、それが迎撃したとも言える状況にも見えるかもしれない――ARゲームで施設に干渉する機種があっただろうか?

あるいは別のアトラクションで使用するつもりだった物をARゲームに転用したのか? 謎は多く残る。

「お前は無口か。しかし、礼だけは言っても罰は当たらんと思うが」

 飛龍丸は別の場所へ向かおうと考えているプレイヤーの方を向くのだが、何も語る事無く姿を消した。

しかも、ステルス迷彩等ではなく――瞬間移動と同じような演出である。ARゲームの演出とはいえ、瞬間移動はあり得ない。

「瞬間移動――?」

 飛龍丸は目の前の人物が文字通り消えた事に驚く。その演出は瞬間移動と言う様なエフェクトではなく、アバター消滅にも思えるのだが――?

その一方で、ARガジェットの試作型であれば瞬間移動もテストされている可能性も考えた。

「向こうは向こうで動いている以上は、詮索不要と言う事か」

 おそらく、あちらは別の任務で動いている可能性もあるだろう。

それを踏まえると――こちらが下手に介入するのは、芸能事務所側に炎上のネタを提供するような気配がして、かえってマイナスであると考えた。




 午後1時5分、コンビにより少し遠めのアンテナショップ、そのフードコートで休憩をしていたのは島風朱音しまかぜ・あかねだった。

彼女が口にしているのは、先ほどコンビニで購入したサンドイッチである。先日も買ったばかりだが、気にいっているのだろうか?

「ここで待っているばかりじゃ、情報は来ないのかな」

 パンに挟まっている物は、春雨、チャーシュー、きゅうりと人参のスライス、レタスである。

それに中華風味のドレッシングで味付けをしたのが――彼女の食べていた春雨サンドだった。

味の方は――普通に春雨サラダを食べたほうが早いのかもしれないが、くせになるような味に仕上がっている。



 午後1時15分、ローマは草加駅よりは松原団地駅に近い道路にあるアンテナショップまで来ていた。

場所的に混雑していないような場所を狙っていたのだが、観光客の姿が若干目立つだろうか?

「ARメットとVRゴーグル――どちらを使っても問題はなさそうに見えるが、何か違いがあるのか?」

 ローマはアンテナショップで展示されていたVRゴーグルの新型を手に取っていた。

デザインはARメットよりもかっこいい印象を抱くのだが、安全性と言う部分ではARメットの方が上だろう。

ARゲームが実際の市街地等をフィールドにしている事に対し、VRゲームは動作こそは必要だが――必要最低限のスペースがあればプレイに問題がない。

VRでは12歳未満がプレイすると斜視になるとも言われているが、ARゲームでは安全性等を考慮し、17歳未満のプレイその物を禁止している。

17歳未満でプレイ可能な作品は、あるとしてもどちらにも属さないようなハーフARゲームと言うカテゴリーの作品だろうか。

「ARゲームの危険性や課題を踏まえ、再設計したのがARゲームと言う話もある。しかし、本当にARゲームは安全なゲームなのか――」

 ローマは改めてARゲームが本当に安全なのか――考える部分があった。

それならば、あまり派手な動作のないVRゲームの方が安全ではないか、と。それでも人々がARゲームに熱狂するのは何故なのか?

しかし、ローマはARゲームの全ジャンルを把握している訳ではない。

他のジャンルでは安全なゲームがある可能性もあり、特定ジャンルだけを指して危険だと言うのは――ネット炎上を面白半分で起こす連中と変わらないだろう。

だとすれば、自分が選ぶべき行動は何なのか? 全ジャンルを無理も承知で制覇するべきなのか、それとも別ジャンルを敢えてスルーして現在プレイ中の作品を極めるべきか?



 同刻、飛龍丸が遭遇したARアーマーを谷塚駅で目撃したというネット情報を頼りに、アイオワが目撃エリアへと急ぐ。

使用しているのはホバーガジェット――ARレースゲームで使用するようなゴーカート等ではなく、ホバーボードとも言うべき形状をしている。

スノーモービルのような形状ではなく、SFアニメに出てきそうなデザインなのだが――それに突っ込むギャラリーもいない。

一部のホバーガジェットはARアーマーと合体し、更なるパワーを発揮できると言う。

ただし、その機能もチート疑惑があって使用不能となっていた。別のARゲームでは使用可能なのだが――。

公式チートと言う単語もあるのかもしれないが、下手をすればどちらも同じチートとしてひと括りにされる危険性があった。

そうした影響もあり、やろうと思えば合体時のパワーを使用すれば、すぐにでも目標地点へたどり着けるのだが――こうした事情で時間がかかっていると言える。

「あれが、ARアーマー? まるで、あのデザインは――」

 アイオワが何とか目的地にたどり着く。その場所は足立区と草加市の境目にあるアンテナショップで、どちらかと言うと毛長川辺りにある。

そして、アイオワの目の前にいたのはARアーマーと言うよりは――どちらかと言うと現実に開発されていそうなミリタリー系のパワードスーツにも見えた。

そのデザインは中世とか西洋という部類ではなく、現代ミリタリーに近いのだが、これと似たような部類のソーシャルゲームをアイオワは見た事がある。

アカシックレコードにも類似ゲームは複数あり、そのデザインを流用した疑惑も浮上しそうだが――第4の壁のデザイナーがこの世界に干渉できるのか疑問が――。

「ウォースパイト……まさか?」

 アイオワは、あるワードをつぶやいた。そのアーマーデザインはアカシックレコードにあったウォースパイトと類似していたのだ。

しかし、次の瞬間にはウォースパイトは消滅した。間違っても証拠隠滅での消滅と言う部類ではない。目撃情報にあった瞬間移動と同じである。

「あの消え方は――何かに似ている」

 アイオワはウォースパイトの消滅演出に関して、何処かで見覚えがあったのだ。

何処で見たのかは――即座に思い出す事は出来ない。



 アイオワが様子を見ている事も気づかず、一人の女性が周囲を警戒しつつも姿を見せた。

帽子を深く被っているので、その正体は確認できないが――体格はぽっちゃり系にも見えそうな気配もする。

しかし、遠目では体格に関しても誤認識と言う可能性も高い。

「こちらが密かに発見した物――これほどの能力があったのか」

 彼女が周囲を確認し、深く被っていた帽子を指で少しパチンと上げるのだが――。

「まさか、あの人物は――!?」

その目を見たアイオワは、彼女の正体に驚くしかなかったのである。

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