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リズムゲームプラスパルクール  作者: 桜崎あかり
エピソード8『変化していく環境、その行方』
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エピソード8-10

2017年1月30日付:加筆調整

 午後1時20分、比叡ひえいアスカがアイオワの待っているフィールドに姿を見せた。

その装備は初心者用のARスーツとは全く違う、ワンオフ系と言ったようなデザインである。

比叡の方もカスタマイズガジェットを使用しているという証拠なのだろうか――?

ただし、カスタマイズガジェットやいわゆる改二と言う訳ではない様子。一体、どうやってガジェットを入手したのか?

「貴女に聞きたい事がある――」

 お互いに選曲をしている最中、アイオワが切り出す。

「古代ARゲームについて――」

 その単語が出たと同時に比叡の手が止まる。そして、次の瞬間にはアイオワの方を振り向いた。

「そんなものは存在しない。超有名アイドルの芸能事務所が風評被害や炎上マーケティングを展開する為の――口実に過ぎないわ」

 比叡が全力で否定する所を見ると、何かを隠していそうな雰囲気はあるのだが、それを現段階で聞きだすのは不可能とアイオワは判断した。

アイオワの方は既に選曲を完了させているのだが、その曲を選んだのはマイベストフォルダーからである。



 その一方で、木曾きそアスナは――別の場所から2人のレースを見ていた。

本来であれば見届け人として名乗りを上げようとも考えていたのだが、気が変わったらしい。

「あのアイオワと言う人物――何か違和感がある」

 木曾はアイオワのレベルに関して――何かの違和感を持っていた。

ARゲームのレベルは、基本的に複数機種をプレイしていても合計される訳ではない。

あくまでも1機種でのレベルで扱われる。スキルレベルと言う様な概念とは違うのだが――。

「どちらにしても、この勝負は――アイオワが勝つだろう」

 木曾は考えていた。この勝負はアイオワが勝つのではないか、と。

「今の比叡には、何かの迷いがある様にも感じられる。慢心等とは違うような――」

 比叡のスキルは決して低い物ではないのは誰の目から見ても分かるが、ARゲームに対する熱意の差で――不確定要素が発生する。

木曾がアイオワの勝利を確信したのも、こうした不安定な比叡では敗北する可能性が高いと踏まえた上での物だった。


 

 午後1時50分、比叡とアイオワの勝負はアイオワの勝利と言う幕引きとなった。

しかし、これは一連の事件が決着し、次のステージはパワードミュージックによるバトル――と言う予感さえ感じさせる。

【あのレースは、明らかに比叡の方が勝っていた】

【今までの動きとは全く違っていたのに加え、的確に譜面も演奏出来ていたな】

【しかし、それでもアイオワには勝てなかった】

【向こうがチートを使っているのか?】

【向こうはチートではない。単純に――向こうの実力が上だった】

 つぶやきサイトでは、レースの動画がアップされたと同時に様々な感想が拡散していた。

比叡の動きも確かに以前と比べると凄かったが、それでもアイオワには勝てなかったのである。

その理由として、比叡とアイオワではARゲームをプレイしていた経験が違う。

結局は、比叡のレベルとアイオワのレベルでは違いがあったと改めて証明されたのだ。

それでもネット上の人気が低下するかと言われると、プレイの技術とネット上の人気は比例しない。

「アイオワの勝利は、プレイ時の集中力による物。比叡の集中力では、あの高難易度譜面に対抗できなかった。それだけの事」

 比叡の隣に姿を見せたガーディアンの一人は、アイオワの勝利に関して分析していた。

しかし、ARゲームは分析だけで攻略できるような物ではない。ウィキの情報を鵜呑みにしたとしても、100%勝てる訳でもない。

つまりは――その情報を、どれだけ自分流にアレンジしてフィールドで生かせるかが問題になっているのだ。



 午後2時、今回のレースを受けてパワードミュージックに参戦する人物が現れる事になった。

それは――何とローマである。彼女は別のARゲームをプレイしようとも考えたが、一連のイースポーツ化に対して色々と悩まされていた。

その外見は北欧神話を思わせるアーマー、ARバイザーもデュアルアイという異色デザインだ。

今までのARゲームとは違うアーマーカスタマイズには、ローマも考えている部分があるのかもしれない。

「ローマ、参加しないのではなかったのか?」

 ローマの姿を見かけ、声をかけたのは私服姿のビスマルクである。ビスマルクも比叡のレースに興味があったのだが――。

「あなたには分からないでしょうが――」

 彼女が本格的に参戦する理由、それは黒幕の存在でもあった。

ローマが黒幕の正体に気付き始めたのはネット神の逮捕――それに加え、襲撃者事件である。

これらの事件が、ローマにある人物が黒幕だと言う事を告げているようでもあった。

それに加えて、彼女自身が疑問に思うアカシックレコードの存在も――理由の一つかもしれない。

「大和――あなたが黒幕ではない以上、改めて参戦するわ」

 ローマは、別の画面に表示されたある人物のレース映像を見て、確信をしていたのである。

全ては――アカシックレコードとは別の何かを見せようとしている人物が、暗躍してシナリオを変化させている、と。

その人物こそが、アカシックレコードを生み出した可能性も否定できない。


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