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リズムゲームプラスパルクール  作者: 桜崎あかり
エピソード8『変化していく環境、その行方』
79/137

エピソード8-3

2017年1月29日付:加筆調整


 数日前、ネット上には様々な虚構記事がアップされていたと言う。

【アイドル投資家、日本の超有名アイドルを海外進出させる為の資金を募集】

【リズムゲームに超有名アイドルの楽曲を導入しなかった場合に、超有名アイドル税が導入される?】

【超有名アイドルを日本の最重要コンテンツにする為、政府与党に裏金工作か?】

【超有名アイドル以外のコンテンツを全面禁止する法案が動く?】

【日本政府が超有名アイドルの歴史を必修科目に?】

 記事のタイトルを見ても、明らかに虚構記事と丸わかりであると同時に、アカシックレコード内のWEB小説の内容をコピペしただけの幼稚な物が多い。

一体、こうした行動の裏には何があるのだろうか――この段階で予測はできても、それを的中させる事が出来る人物はいなかった。

「このような虚構記事にはガーディアンも動かないか」

 虚構記事を見た比叡ひえいアスカは、ガーディアンが記事の削除にも動かない事は放置されているとも考えていた。

しかし、それでも悪質な記事は通報後に削除されているので、仕事をしていない訳ではない。

その一方で、一部の記事は特定勢力をおびき寄せる為、意図的に放置しているとも考えられた。

「なるほどね。ガーディアンは、こういう手段を取るのか」

 別所で同じまとめ記事を見ていたのは、飛龍丸ひりゅうまるだった。

彼女は超有名アイドル勢力に対して、勢力の駆逐を考えていたのだが――虚構記事が放置されている件は、ある意図を把握して通報はしていない。

その意図とは、ガーディアンが一部の勢力を炎上させ、更にネット炎上を拡散しようと考えるまとめサイト管理人やアフィリエイト狙いの個人ユーザーを一網打尽にする事――。



 4月27日午前12時30分、あるアンテナショップ周辺。そこは野外サバゲ――野外ARゲームの有名所である。

場所としては草加駅と松原団地駅の間で、駅からシャトルバスも出ているのだが、徒歩でも行けない距離ではない。

そこでも傭兵崩れや報酬に釣られたARゲーマーが、超有名アイドルのまとめサイトを運営しているアフィリエイターを護衛している。

何故にアンテナショップ周辺なのかと言うと、そこから数キロ離れた所に有名アイドルのアンテナショップがあり、そこでイベントを行う為らしい。

そこにアイドル投資家と一緒にアフィリエイターがゲストとして呼ばれているのだが――ポスターにも講演会としか書かれていない。

内容を描かないのはトラブル防止もあってのことだが、どう考えてもARゲーム批判や超有名アイドル神化等を堂々と言うに違いない――とネット上では噂されていた。

「誰だ、貴様――はっ!?」

 ある傭兵の一人が目の前に不審者を発見した為、即座に発砲しようとしたが――ARゲームフィールド外なので銃火器は作動しない。

そのはずなのだが、何とアサルトライフルから銃弾が放たれた。これに関しては彼も驚いたのだが、周囲の傭兵も同じように驚く。

一体、これはどういう事なのか? プレイヤーの一人がアイドル投資家に尋ねようとしても『企業秘密』と言う事で教えてはもらえなかった。

いっそのこと、ネタバレと言ってくれれば――と心の底では思っていたのだが、『企業秘密』と言われては従うしか手段がない。

他の傭兵もロケットランチャーやハンドガン、グレネードで目の前に姿を見せた不審者に攻撃するが――。

目の前の人物のARアーマーに傷一つ付いていなかった。ある意味でもチートと疑われておかしくはないだろう。

「馬鹿な――この一撃も効かないのか?」

「あり得ない! 奴はチート使いではないのか?」

「それこそ尚更だ。奴がチート使いだとすれば――」

 周囲の傭兵が慌てるのも無理はない。彼らの使用している武器は――違法ガジェットだからである。

本来の正規ルートで流通しているARガジェットであれば、フィールド内でもゲームとして成立していなければ発動はしないはずだ。

それが動く以上はチートと言われても仕方はない。しかし、それはARガジェットだけではなく――ARアーマーにも適用される。

「アーマーだけが起動しているとは考えにくい」

「どんなトリックで攻撃を無効化しているのか」

 しかし、次の瞬間には傭兵達は瞬時にして倒されてしまう。常識では考えにくい『ワンパンチ』で――。

この技が使用出来る人物と言えば、あの人物しかいないだろうか。

「ここがフィールド内だったのは不幸中の幸いか――」

 目の前にいた不審者、それは別の場所でARゲームを起動させ、ARアクションフィールドを展開し――先ほどまでの攻撃を無効化していたのである。

その人物とは――両腕のARガジェットを見ても分かる通り、アイオワだったのだが――ガジェットの形状がパワードミュージックで使用するソレとは違っていた。

「そのARガジェットは――アガートラーム――!」

 ワンパンチで吹き飛ばされた傭兵の一人は、アイオワが使用しているガジェットがアカシックレコードでも言及されているアガートラームと感じたのだが――。

その考えに至るのは少し遅かったとも言うべき流れである。気づいていれば、対策などいくらでも取れたからだ。

わずか1分の間に、周囲にいたはずの傭兵軍団は壊滅し――例によってガーディアンが逮捕する。ここまで来るとWEB小説のテンプレ展開であった。

【アガートラームだと!?】

【あの伝説とも言うべきチートキラーが? にわかには信じられん】

【一体、どうやってあの武器を?】

 ネット上でも、アイオワがアガートラームを持っている件に関して疑問を持っている物が多かった。

アガートラームはアカシックレコードでも言及されているが、その威力はチートガジェットよりも大きく劣る物である。

それが、あの威力を発揮するのは――どういう事なのか?



 一方で、今回の計画に関して疑問を持っている勢力は別の所にも存在した。

ガーディアンに抵抗する勢力もゼロではないが、ネット上で目撃例があるだけでも2ケタは存在する。

「まさか、想定外の連中が邪魔をするとは」

 一連のアイドル事務所に関して黒服のスタッフが愚痴る。

彼らはアイドル投資家が来店する予定だった店にも強制調査を行うはずだった。

この黒服はガーディアンとは別の組織に属する人物らしいが、その詳細はアカシックレコードにも記されていない。

ネット上のまとめサイトでは色々と書かれている一方で――アカシックレコードには書かれていないとは、どういう事なのか?

「豊洲の新市場予定地を買収し、アイドルのアンテナショップにしたという一件もある」

「こちらとしてはアイドル投資家を減らしてくれるのは都合がよいが」

「――こちらの手柄が奪われる。それだけは避けたいのだが」

 黒服のメンバーも、アイオワの件に関しては同業の仕業とは考えていないらしい。

むしろ、彼らのやっている事は自分達の仕事に関しての妨害とも――。

「芸能事務所のやっている事は流行語の使用権利を確保し、超有名アイドル王国を日本に作る事だろう」

「そこまで来ると、芸能事務所の暴走だな。ライバルに虚構の不祥事を拡散し、週刊誌の出版社と協力するとは――」

 彼らの話を聞く限り、芸能事務所側もマッチポンプを仕掛けているようにも聞こえる。

それに、ARゲームの権利を独占する為に、自分達のライバルを偽の不祥事で潰そうとも考えていた。

まるで――アカシックレコードに掲載されたWEB小説のフジョシ向け二次創作作品――オリジナルキャラのモブメイン等に代表される小説である。

そうした世界を阻止する為に動いている人物こそ、比叡やビスマルクの様な人物、ガーディアンとは別に動いている大和朱音やまと・あかねなのかもしれない。


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