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リズムゲームプラスパルクール  作者: 桜崎あかり
エピソード8『変化していく環境、その行方』
78/137

エピソード8-2

2017年1月28日付:加筆調整

 4月26日、西新井大師駅近辺――ある人物が倒れている状況を見たギャラリーが周囲を取り囲んでいた。

一部のギャラリーは、その状況を写真に撮ってSNSへ拡散しようとも考える。

しかし、その頃には警察が姿を見せ、現場調査を行っていたのだが――倒れている男性は気を失っているだけであり、殺人事件ではないようだ。

気を失っていると言っても、周辺が血の海等になっている訳ではない。この様子は、どう考えてもおかしいのが普通である。

その際に使われたのは――明らかにARゲームであると判明した。警察はARゲームとは言わないが、周囲のギャラリーにとっては暗黙の了解でもあった。

【この者、ネット炎上アフィリエイター犯罪者】

 その男性に置かれていた謎のカード――と言うよりも、スマートフォンに表示されていた壁紙である。

一体、誰がこのような事を行ったのか? まるで、特撮番組に出てくるようなヒーローを気取ろうとでもいうのか?

周囲のギャラリーが警察の登場で解散する中、一人の人物が事件の中継を谷塚駅近辺のアンテナショップで見ていた。

「ARインナースーツを着ているようには見えなかったが、明らかにARゲームによる物か」

 今回の事件をARゲームによる事件と考えていたのは、ネット炎上を狙っている人物だけではない。

ARゲームの不正行為を取り締まる側も、ARゲームを守るべく動くガーディアンも――動かざるを得ないだろう。

その内の一人、飛龍丸ひりゅうまるはラーメンをスティック状にしたような駄菓子を口にしながら、中継映像を見ていた。

「どうして、ARゲームを戦争の道具にしようという連中は出てくるのか――」

 飛龍丸はさらりと爆弾発言になりそうな事を言うのだが、それを真面目に聞いているような人物はいない。

彼女のメイド服と言う外見もそうだが、周辺を歩いているギャラリーの中にはヒーローや魔法少女、更にはパワードスーツと言うコスプレイヤーが歩いていた。

中には露出度が高いようなコスチュームを着ているような女性もおり、ある意味でも無法地帯にも思えてくる。

しかし、これがARゲームを町おこしにしようと言う草加市にとっては『あるある』と言ってもいい光景だ。

「いずれ、北千住や秋葉原、その他の関東エリアのARゲームプレイヤーも、ここに来るだろう。そこからが――」

 駄菓子を食べ終わった飛龍丸は、ARメットを被り、何処かへと消えてしまった。

その消え方は、まるでテレポートしたかのようなエフェクトで消滅したと言う。

ログアウトみたいな消え方と言う目撃者もいるのだが、瞬間移動はARガジェットを使用したとしても不可能である。

それこそ、超能力や魔法の世界であり、ARゲームで再現できるレベルではない。



 4月27日午前11時50分頃、飛龍丸が戦っていたのは炎上系まとめサイトの管理人に雇われた傭兵崩れ――。

ARゲームのARTPSやFPS系のギルドメンバーである。こうした勢力は、イースポーツ化が早期に行われ、レアアイテムを得る為の軍資金を求める。

選択肢の一つとして存在したのが、迷惑メールに紛れて入ってくるまとめサイトの管理人を護衛する為の任務だ。

こうした任務にはリアルマネーで報酬が支払われ、中には10万円規模と言うのもあるのだが――こうした行為は、ARゲームとして見ると違法行為に該当する。

ジャンルによってはケースバイケースだが、リアルマネーが絡む違法性の高い八百長試合、超有名アイドルの宣伝行為、マスメディアへの情報売買――。

他にも事例があるかもしれないが、発覚すればネット上で炎上しかねないような事例である。

こうした人物達が使用するのは明らかな違法ルートで入手したレアアイテムであり、このような手段で入手したアイテムが違法である事は別のオンラインゲームでも実証済みだが――。

「愚かな――」

 飛龍丸が右手で指をパチンと鳴らすと同時に、背中のウイングが大型ブーメランに合体し、飛んできたブーメランをすかさず左手で掴む。

そして、それをそのまま放ち、周囲のチートプレイヤーに武器を使わせないと言わんばかりに即撃破する。

「お前達の断末魔を言わせる余裕も――与えない!」

 決まり文句は決まっている。どうせ、超有名アイドルに対しての賛美等を――と言うのがテンプレだろう。

そして、ネット上ではその他の勢力が物理で超有名アイドルファンを弾圧等と煽り、炎上マーケティングを展開する。

それがお決まりとして過去にも繰り返されて来た。それをネット住民はシステムの変わった戦争と言う。

しかし、こうしたテンプレはアカシックレコードにも記載されており、対抗策も同時に記載されている。

つまり――彼らが行っている事は無駄足なのだ。なのに、このような事を繰り返すのはどういう事なのか?

その答えは、ひとつしかない。それは、それを繰り返させる事で莫大な利益を得ている人物がいるからだ。

「虚構ニュースや炎上誘導のまとめ記事を作らせはしない――それらが、全ては計画的なマッチポンプだと分かっているから」

 飛龍丸は、今回の首謀者が誰なのかは分かっていないが、何となく犯人が分かりつつあった。

まとめサイトの管理人をまとめて操る事が可能で、更にはカリスマ性を持つような人物――ネット上では超有名アイドルが犯人とも言われている。

しかし、飛龍丸はネット上の予想とは違う様な人物が犯人と考えていた。

「それに、ネタバレがラスボスと言う話を――」

 別のネットニュースで触れられていたネタバレがラスボスと言う説、それを飛龍丸が信じる事はなかったと言う。

一時的には巨悪が発見できない際に『犯人が特定されないような方法』と言う意味で考えていた。



 午前12時、飛龍丸の襲撃に関するニュースがトップを飾ると思っていたが、ニュースでは別の事件を取り上げていた。

『次のニュースです。競馬の高額馬券的中に絡む事件で、警察は馬券を購入していた――』

 アンテナショップでビスマルクが見ていたニュースはARゲームとは一見して無関係に見える、高額馬券のニュースだ。

しかし、ARゲームとは直接無関係でも、内容が読み上げられると――状況は一変する。

『――警察の発表によると、5億円を超える馬券的中で得たお金を、有名アイドルグループのCDを購入する資金にしていたと――』

 これには驚きを隠せなかった。動揺する人物もいるのだが、これがアイドル投資家のやっている違法行為の一部である。

しかも、この事件が判明したのも氷山の一角にすぎず、コンテンツ消費が自作自演で行われている事、更には炎上マーケティングにも――。

「もはや、こうした事件でさえも異常と感じなくなってきている。これも一種の慣れてしまったという事なのか」

 ビスマルクは一連の事件に関して、異常と感じなくなった事に違和感を感じていた。

そして、こうしたインフレ状態を生み出したアイドル投資家は何としても規制しなくては――と。

彼らの様な勢力が国会に進出し、超有名アイドル以外のコンテンツを魔女狩りしていく状態になれば――WEB小説におけるチート無双や悪徳令嬢等の比ではなくなるだろう。


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