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リズムゲームプラスパルクール  作者: 桜崎あかり
エピソード7『架空と現実の境界線』
76/137

エピソード7-10

2017年1月27日付:加筆調整

 2曲目が終了し、その段階で倒れていたのは日向ひゅうがイオナである。

文字通りの慢心と言うべきか――体力の限界と言う可能性もあるだろうか。

倒れたと同時にARアーマーは消滅し、インナースーツとARメット、バックパック、両腕に装着されたARガジェットと言う状態に。

インナースーツの色的にも裸を連想するカラーではないので、その辺りを期待していた人物からは『チッ』という一言やがっかりするような表情の人物がいたり――様々だった。

「あの状態だと――復旧は難しいか」

 汗の一つも流していないと言うと嘘になるが、多少の疲れを見せているのはARメットを脱いだビスマルクである。

結果として、3曲目の続行は不可能と判断され、ビスマルクの勝利――と言う判定ではなかった。

実際には2曲目で日向がゲージを失った事による演奏失敗で終わっていたのである。

日向はゲージと紋章のルールを把握していなかった為、ゲージの方を選んでしまったと推測されているが――。

今回の結果は日向の敗北と言う判定となり、ビスマルクには勝ち星などは影響しないようである。



 日向が最初のプレイ終了後、スタッフに説明されたのが――。

「システムの方がゲージの方になっていましたが、そちらだと難易度が格段に上がります。プレイ保障等の点で紋章の方がお勧めですよ」

 このように声をかけられたのだが、日向には何の事だかさっぱりだったので、そのままゲージでプレイしていたのが真相らしい。

それでも、1曲目はビスマルクと対戦して演奏クリアに持ち込めたのは別の意味でも奇跡なのだろう。

自分のクリア出来ると思う譜面よりも難しい譜面に挑む事は、あまりお勧めされないプレイ方法だ。

高難易度しかプレイしないプレイヤーでも、ゲームアカウントを持ち始めた頃は初心者なのは間違ない。

しかし、同じようなジャンルをプレイしているからと言って、高難易度譜面に挑むのは――無謀と言わざるを得ないだろう。



 5分位経過した所で、日向の目が覚める。若干ふらつくようだが、運動に支障はないらしい。

フィールドにはギャラリーが若干数残っているような気配だが、別のレース待ちと言うのが有力だろう。

日向はベッドの上ではなく、待機専用のベンチの横に寝かされていた。

実際に、このベンチはベッドにも変形する仕組みになっており、ベッドと言う表現もあながち間違いではない。

しかし、布団や毛布の類はないので、そのまま寝かされていたのかもしれないが。

「やはり――自分の感覚で高難易度に挑むのは、無謀と言う事か」

 日向は改めて知った。わずか数譜面をプレイしただけで高難易度に挑む事、それは無茶である事を学んだ。

それに加えて、高難易度譜面だけをクリアしていくようなプレイヤーは、不正プレイの可能性も否定できない、と。

さすがに全ての動画としてアップされた高難易度譜面のクリアプレイヤーを不正プレイと言ってネット炎上させるのは簡単だろう。

しかし、本当の実力でクリアしたプレイヤーの動画まで炎上するのは――ランカーの望むような状態ではない。



 午後1時、今回のレース動画を見直していた人物が何人かいた。理由はビスマルクのチート疑惑がメインだが――。

あれだけの実力者がチートを使う訳がない――という意見も多いが、相手が相手だけに使用した疑惑も否定できなかった。

パワードミュージックを初めとしたリズムゲーム系のARゲームは、チートに関する部分が非常に厳しい物がある。

それでもチェックをすり抜けるケースは存在する為、更に厳しくしようと言う動きもあった。

実際、ARゲーム全体でガジェットの汎用化を強化し、チートのチェックを再調整しようと言う話もある。

しかし、他のARゲームでは明らかにチートと判定されそうなARガジェットを運用されるのは――と汎用化に関しては否定的なジャンルも存在していた。

「ARガジェットを他のジャンルでも対応できるようにと言う話はあるが、下手にチートクラスと言われるような威力のガジェットを導入するのは――」

 一連の動きに関して、否定的な意見なのはビスマルク。ARガジェットを購入する数が減る、複雑化するARゲームを分かりやすくできると言う長所も確かに存在しているが。

それでもARゲームのガジェット統一化に反対する理由――それは、攻撃力の違いだ。

ARFPSでは中堅の攻撃力を持つ武器が、AR武器格闘では数コンボ叩きこんだだけで即KOに持ち込める10割コンボが可能――となれば、バランスブレイカーになるのは当然である。

「過去にARアクションRPGを解禁しようとしていた所で、別のTPSで使われたガジェットが使われた結果――速攻でバランスブレイカーになったという話もあるか」

 それ程パラメータに関係した部分で細部調整が難しい――それをビスマルクは知っていた。

だからこそ、ARゲームがメジャータイトルのゲームよりもユーザー数が伸びないとネット上で言われているのは、このバランス調整が壁となっているからだ。

「アカシックレコードもさじ加減ひとつで、ゲームバランスを一変させるバランスブレイカーと――そう言う事か」

 ビスマルクは思う。アカシックレコードの技術を一つとっても、チートや不正と言われる可能性のガジェットは存在する。

それらの技術が正しい意味でガジェットとして採用されるには、検証する必要性も出てくるかもしれない。

どちらにしても、重要なのはARゲームの発展だが、ネット炎上等の風評被害要素は減らしていく事も重要だろう。



 しかし、一連のARゲームにおける動きとは別に――リズムゲームの方では、ある重大な事件が起ころうとしていた。

「何だ、これは――!」

 思わず、タブレット端末の持つ手が震えていたのは、眼帯を外した状態でニュース記事を見ていた木曾きそアスナである。

そのニュース記事に書かれていたのは、ある超有名アイドルの楽曲に関係したニュースなのだが、その内容は衝撃的な物だった。

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