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リズムゲームプラスパルクール  作者: 桜崎あかり
エピソード7『架空と現実の境界線』
69/137

エピソード7-3

2017年1月25日付:加筆調整


 4月24日、昨日の雨が嘘のような晴天である。

雨の時は太陽光発電は使えないが水力や風力等の発電を使用し、屋内用ARゲームの電力を賄っていた。

太陽光と言っても、午前中からまっ暗闇ではないので――わずかな日差しからでも発電は可能であるのが、市販されている物との決定的な違いだ。

これほどの技術でありながら、ARゲームに使用される技術は特許を申請していない。

それどころか、ARゲームの運営はそこから新たなアイディアが生まれる事を踏まえて特許申請をしていない可能性もある。

おそらく、ARゲームの技術から生まれたという事でARゲームの認知度をより一般化させ、市民権を得ようとしているのだろうか。

過去にリズムゲームにおける特許権の事情がある可能性――それを運営側が知らない訳はない。

「リズムゲームが格闘ゲームと違い、複数の会社からはリリースされづらい環境――か」

 ふと思い出に浸っていたのは、ゲーセンで順番待ちをしていた比叡ひえいアスカである。

順番待ちと言っても、特定の席に座るタイプではなく、立って待機するタイプなのだが。

「何が、どうしてこうなったのか――」

 2000年代前期ではアーケードのリズムゲームと言えば1社の独断場とも言える状況だった。

しかし、その状況は時が流れるにつれて変化し、遂には別メーカー同士でタッグを組んでリズムゲームの大会を開催する程になる。

それでも紆余曲折は多く存在し、この展開を待ち望んだリズムゲームプレイヤーも多い。

比叡が見つめる先にある機種、それは以前にプレイした事のある機種とは違うのだが――。



 同日、天津風あまつかぜいのりは、ある人物に遭遇した。

その人物とは、ARゲームフィールドが展開されていないのに、フルアーマー状態という西雲響にしぐも・ひびきだったのである。

『アマツ、お前のやっている事はARゲームから新規プレイヤーを離れさせる行為――それに近い』

 西雲の一言を聞き、天津風はARウェポンを構えようとしたのだが、この周囲にARゲームフィールドは展開されていない。

それでも西雲が正体を見せるような事はない。フルアーマーはARゲームとは連動していないのだろうか?

「それは言われるまでもない。しかし、ARゲームを炎上マーケティングや超有名アイドルにとってのビジネスモデルを認めるほど――こちらも甘くはない」

 天津風の一言、それは何を意味しているのだろうか?

全てを聞き終える前には、既に西雲は姿を消していた。西雲が話を理解したかどうかに関しては不明である。



 4月25日、一部のプレイヤーがネット上の不審な情報を通報する案件が発生する。

「何かが違う――これは明らかに愉快犯の手口か」

 この異変に気付いたのは飛龍丸ひりゅうまるだったが、今はARガジェットを修理中と言う事もあってARアーマーの展開は出来ない。

仮にレンタルアーマーを使ったとしても、彼女のアカウントは停止中なのでどちらにしても同じだが。

【このチートって少し前に取り締まり対象になっていたような気配がする】

【それを今更通報って?】

【使用できないチートを通報する事に、何の意味がある?】

【おそらく、チートプレイヤーが多く存在するという事実を広めたいのだろうな】

【それでARゲームを潰そうと言う事か】

 タイムラインでは、この他にも通報情報が相次いでいたのだが――。

この情報がいたずらだと断定するには、チートの種類が細かく書かれており、偽物と判別するにも数が多すぎる。

その為、偽情報を絞り込むにも苦戦したと言えるのかもしれない。 

「これが、アカシックレコードの――?」

 その不審情報を調査していたビスマルクは衝撃的な事実を知る事になった。



 別所、日向ひゅうがイオナは、偽の通報をしている人物の割り出しに偶然だが成功していた。

「ARゲームと言うフィールドを荒らす連中――それを逃がすと思うのか?」

 日向が展開していたのはバックパックの変形したパワーアームユニット。阿修羅像の4本腕とギミックは似ているが、こちらは2本だ。

いわゆるSFでも用いられている隠し腕と言うべきか。

その隠し腕で掴んでいたのは愉快犯が使用していると思われるドローンだ。

どうやら、このドローンに何かのシステムをインストールし、拡散していたようである。

「馬鹿な――お前は、我々の味方ではないのか?」

 ドローンを奪われ、絶体絶命の男性プレイヤーは日向に詰め寄ろうとする。

しかし、詰め寄った所でARアーマーを破壊しようと言う策略だと日向はあっさりと見破っていた。

「味方? ARゲームを荒らして自分が悪目立ち――あるいは超有名アイドルの売名に利用したのだろう?」

「我々は、そんな事はしない! あの芸能事務所に所属しているアイドルは敵だと言うのに」

「敵ねぇ……」

「そうだ、我々は違う地下アイドルの――」

 男性の方は完全に口を滑らせた。いわゆる一つの負けフラグである。

その後、日向が完全に切れて、パワーアームでプレイヤーを握りつぶそうとしたが、それは寸前の所でアイオワが発見し、止めた事で事なきを得る。

この際の日向は、完全に眼が本気だったと言う。つまり、事故としてプレイヤーが負傷しても何とも思わない程。

ゲーム中の負傷等であれば、運営側の判断で対応が決まるケースがあるのだが、今回に限れば――日向がゲームへの正規乱入というよりも、場外乱闘の様な形である。

おそらく、こうした形での乱入はARゲーム運営側も認めておらず、ここでプレイヤーを負傷させていた場合――アカウント凍結ではなく、アカウント削除も可能性の話ではあるが――あり得るだろう。

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