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リズムゲームプラスパルクール  作者: 桜崎あかり
エピソード6『ネット炎上とリアル炎上と――』
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エピソード6-8

2017年1月23日付:加筆調整


 午前11時55分、ある報道バラエティー番組が速報テロップを出した。

【アイドルグループ○○○○○が解散を発表。芸能事務所の不祥事で】

 このテロップを見て、ネット上が大騒ぎすると思われたのだが――嵐の前の静けさと言う位に拡散されていなかったのが印象的である。

「これで、一つの事件の幕はとじるか――」

 ネットカフェでデータ検索をしていたガーディアンの男性が、何かを思わせるような事をつぶやく。

しかし、一つの事件が終わったとしても、そこで全ての事件も解決するかと言われると疑問は残る。

「しかし、事件が繰り返されるのは過去の事例を見ても明らかだ。歴史は繰り返されるのだ――今回も」

 アイドルグループの解散――これによって一連のネット炎上事件は終息していく事になった。これは、彼の予想を大きく裏切る物だった。

【あのグループが解散したようだ】

【ウソだろ?】

【不祥事と言っても事務所側に不手際があったのは明白だ】

【その内容が発表されていない以上は、どんな原因なのか特定できない】

【まさか、ARガジェットの違法改造ツールか?】

【それこそ、尚更あり得ない。ARゲームは超有名アイドルに対し、風評被害防止とも言える対策を無数に展開している】

【少し前に拡散していた情報、ガセだったのか?】

【解散は本当だったが、グループ名が違う。雑コラだったのはかく乱が目的だったのか】

 ネット上では、アイドルグループの解散よりも芸能事務所の不祥事に話題が集中している。

それに加え、彼らが起こした不祥事がARゲームに使用するガジェットのチートツールではないか、と言うらしい。

その真相は別として、少し前に情報に関しては拡散していたのである。ただし、実際はアイドルグループが違う雑コラとして。



 午前11時57分、明石零あかし・ぜろ島風朱音しまかぜ・あかねのバトルは2曲目に突入しようとしている。

しかし、ゲームシステムとしては2曲目と言う扱いになっているのだが、1対1でのバトルに変更しての仕切り直しに近い。

その理由は1曲目終了後、モブプレイヤーの一人が――。

「やったぞ! これで、俺は超有名アイドルグループの――!?」

 そう叫んだのと同時に何者かに狙撃されたのである。狙撃されたプレイヤーのARガジェットからは、違法アプリが検出された。

おそらくは、狙撃者の目的自体が違法アプリを使ったプレイヤーのピンポイント狙撃だった可能性もあるが――この段階では分からずじまいである。

狙撃に使用された武装はARガジェットで間違いないのだが、島風と明石には狙撃したスナイパーを発見する事は出来なかった。

二人としては、バトル中断に関して納得できないような表情をしているのだが――。

「あのスナイパー、どう考えても手口が姑息過ぎる。まるで、フジョシ勢力や夢小説勢、まとめサイト勢がやりそうな手口ね」

 明石は、スナイパーの存在に気づかなかった事が悔しかった。

これによって、手掛かりが消えたのと同じ――振り出しに戻ったと同然だったのである。

「まったく――チートプレイヤーなら、レース開始前で気づけばよかったのに」

 島風の様子が荒れている。まるで、スタートする前にチートプレイヤーを弾いていれば――と。

口調の方も若干変化しておりツンギレと言っても良いだろうか――。

今まではクールで貫いていたわけでなく、今回の出来事で我慢の限界だったのかもしれない。

 島風の言う事にも一理ある。ARゲームでは事前にARガジェットをチェックし、異常なツールやパーツ、アプリ、果ては偽ブランドのチェックまで行っていた。

さすがに偽ブランドのARガジェットは、確認されていないが――念には念を入れると言う所か。

ARゲーム自体が海外輸出を含めて注目されて入るのだが、軍事転用や海外の規格等の関係で輸出が困難と言う状態が続く。

国によってはゲームに対する風当たりが悪く、そうした国々では不買運動が起きかねない。



 日本としてもARゲームの経済効果等をアピールする為のイベントを用意しているのだが、ARゲーム運営側が政府主導のPRには苦言を呈している。

運営側としては政治家の票稼ぎやご機嫌とり等に悪用されるのを嫌っているのだろう。その為、ARゲームの運営方針は完全中立であり、利益独占も考えていない――と言う可能性が高い。

その証拠として、ARゲームに関するガイドラインには政治・宗教等への転用も禁止している。プロパガンダへの悪用禁止は書かれていない様に見えるのだが、そこには大きな落とし穴があった。

実は遠回しにプロパガンダと言う単語を使わない書き方でプロパガンダへの使用を禁止していたのである。

これが分かったのは、アカシックレコードなどで情報をチェックし、ガイドラインを調べていたビスマルクを含めて一握りなのは確定だろう。

そのガイドラインを細かく決めた人物、それは――。

「あの連中――何を想定して、ここまでのガイドラインを考えたのか」

 改めてタブレット端末でガイドラインの項目を確認していたのは、様々な場所を見て回っている比叡ひえいアスカだ。

様々な場所を巡っているのは、スタンプラリー的な理由ではない。それは――アカシックレコードに由来する。

「何としても、あの真実を問いたださないと」

 比叡がARゲームに対して訴えたい事、それは一種のぼっちプレイを推奨するような環境やネット炎上を恐れて様々な部分を縛っている箇所だった。

それらを解放し、ARゲームとしても本当の自由を与える事――そう思うようになっていったのである。


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