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リズムゲームプラスパルクール  作者: 桜崎あかり
エピソード6『ネット炎上とリアル炎上と――』
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エピソード6-7

2017年1月23日付:加筆調整

 午前11時50分、明石零あかし・ぜろがフィールドに設置されたセンターモニターのコイン対応端末の前に到着する。

そして、100円をコイン口に入れているタイミングで、モニターでは別のレースが始まっている様子が中継されていた。

そのセンターモニターでは、1対5とも言えるようなレースが展開されている。どう考えてもフルボッコと言う光景にしか見えないだろう。

本来、パワードミュージックのマッチングは最大4名であるのだが――このケースでは特殊なルールが導入されているらしい。

やろうと思えば、最大20人やTPS系で見かけるであろうチーム戦も可能かもしれないが、そこまでは許可している気配はないようだ。

今回の特別仕様は格ゲーにおける初心者台、練習台、乱入専用台と言う様な設定と同じ物だろう。

このフィールドでは最大10人のマッチングまでが可能と言う設定になっており、これによって多くのプレイヤーを呼び込もうと考えていた事が分かる。

「一体、誰のレースが――!?」

 そこでは木曾きそアスナが他のモブプレイヤーを無双と言うか――既にモブプレイヤーがかませ犬という状態になっているような気配もする。

完全に相手にならないという光景を――100円を投入していた明石は見せつけられる事になった。

しかし、この光景を見たとしてもこの映像のモブプレイヤーが自分の末路であるとは考えない。

あくまでも自分は自分であり、他人ではない。だから、あのプレイヤーの様な結末にはならないだろう。

他人のプレイを参考にする事はあっても、同じような展開になるとはリズムゲームでは確立としても非常に低いだろうか。

【規定クレジットを受け付けました】

 投入した100円玉は1枚で何とかなったようである。置いてきていたコインケースには100円玉が多く入っているが、手持ちの方は100円玉が少ない。

下手に両替に行っていると時間のロスになり、マッチング無効も視野に入る可能性があった。

作品によってはプレイ前に現金チャージを推奨している作品もあり、それを踏まえると――現金チャージは必須とも言える。

コイン投入も可能になっている理由は、こうした緊急の両替が出来ない場合の救済処置だろう。しかし、細かいお金を持っている事が前提だが。

明石の場合は現金チャージもしていたのだが、急なチャージ不足と言う緊急事態だ。

「こうなるのだったら、チャージしておくべきだった――かも?」

 目の前のコイン対応端末だが、実は電子マネーチャージにも対応している。

しかし、100円単位ではなく1000円単位と言う事もあった為に明石は断念せざるを得ない。

機種によっては500円単位チャージも出来るのだが――。



 午前11時52分、明石がコインを投入している頃、島風朱音しまかぜ・あかねのフィールドには別のモブプレイヤーが姿を見せる。

「白銀のガジェットねぇ……」

 島風のフィールドに乱入する訳ではないのだが、白銀のガジェットを装着したモブプレイヤーが島風の方を見つめていた。

この人物は、島風がコスプレイヤーである事等は知らないかもしれないが――その冷たい視線は島風にとってもプレッシャーになる。

【プレイヤー3のクレジットを確認しました。3人プレイで進行いたします】

 島風のバイザーに表示されたメッセージ、それは明石が100円を投入してクレジットエントリーをした証拠だ。

「やっぱり、ゲームっていうのはこういう感触がないと――」

 島風はARゲームでは見かけないようなアイテム課金型のゲームに関して、存在自体は否定しないが――少し距離を置いている。

アイテム課金型のARゲームは、存在こそはしないがロケテスト自体は行われた記録が存在し、その時は賛否両論だったという話を聞く。

【プレイヤー3のクレジットを確認しました。3人プレイで進行いたします】

 同じメッセージはプレイヤー2ことガトリングガンのプレイヤーにも表示されている。

こちらの方は特にノーコメントらしく、さっさと楽曲の選択準備に入っていた。

【クレジット消費を確認しました。3人プレイで進行いたします】

 明石のARバイザーに表示されたのは、2名の物とは違ってクレジットの消費を確認する物である。

これで、何とかプレイ出来るようにはなった。下手をしたらエントリー向こうもあっただけに、何とか間に合ったのだろう。

実際、このままスタート地点に立っていたらエラーでスタートできない状態になっていた可能性も否定できない。



 午前11時53分、3人の腕に装着されているARガジェットに表示された画面、それは楽曲選択画面だった。

CDのサイズよりも若干小さめのジャケットがずらりと並ぶ画面は、別のリズムゲームで使用されている形式だが――。

「なるほどね。この中から1曲を選ぶのか――?」

 明石はジャケットをタップしても楽曲が決定しなかったので、故障なのでは――と思った。

しかし、ジャケットをタップして変化したのはジャケットのデザインだった。どうやら、明石は裏譜面がある楽曲ジャケットをタップしたらしい。

楽曲の決定に関しては、チュートリアルではジャケットを1回タッチして決定ボタンをタッチするのが正しいやり方である。

それをすっかり忘れていた訳ではないが、裏譜面の出現は周囲のギャラリーにとっては驚きの声で迎えられた。

「裏譜面かよ」

「あの曲の裏譜面は、さすがに初心者では無理だろう」

「まず、初心者が裏譜面に挑むはずがない。捨てゲーと言われてネットが炎上する様子が目に見える」

「それよりも、パワードミュージックに裏譜面の概念がある事自体が驚きだ」

「裏譜面は一定のランクでないと、出現は可能でも選べないはずだ」

 その周囲の反応は正しかったようで、明石が裏譜面を出現させたのは操作ミスらしい。

結局は選曲できなかったので、別の曲を選び直す羽目になるのだが。

何故に裏譜面が呼べたのかは他のプレイヤーが裏譜面を常駐させていた可能性が高い。

しかし、それを調べるすべは明石にはなかったのである。



 午前11時54分、一部のネット住民が騒ぎ出しているようなタイムラインが存在した。

そこには週刊誌のリークと思われるような情報が、拡散していたのだが――それを信じるような流れではなかったのである。

【マスコミのガセ情報じゃないのか?】

【雑コラのニュース記事じゃないのか? そのグループが解散するなんて――】

【いくらなんでも、あの大手芸能事務所の圧力で解散とか、まずあり得ないだろう】

【コンテンツ炎上でも例の芸能事務所が――と言う噂もある】

【一部の勢力がガセ情報を拡散し、アフィリエイトサイトへ誘導するパターン乙】

【この情報がまとめサイトに流れたら、どうなる?】

 あるつぶやきではアイドルグループの大手が解散するのではないか、と言う雑コラに近いニュース記事が拡散する。

これに関しては芸能事務所側も即座に対応するような気配は見せていない。一体、何が起きているのか?

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