表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リズムゲームプラスパルクール  作者: 桜崎あかり
エピソード5『炎上マーケティングの始まり』
47/137

エピソード5

2017年1月16日:加筆調整


 アカウント凍結騒動は瞬く間に拡散し、夕方のニュース番組でも報道された。それも、ほぼ全てのテレビ局がトップニュースで。

『まとめサイトの大手を含め、無数のサイトでアカウント凍結が相次いでいるようです――』

 例外があるとすれば、この時間帯はアニメを放送しているテレビ局が1つ、報道していないが――。

間違いなく、今回の事件はトップニュースで報道された。ニュースの影響力は、想像以上の物だったのかもしれない。

それとは別に地方局も、それぞれの地方に関係した話題を取り上げていた。事実上、民放と国営のテレビ局のニュースで報道された事になる。

ニュース番組で同じ話題を同じタイミングで取り上げるのは、緊急の記者会見などの特例ケースが該当するのだが、今回の事例は特例だったのだろうか?

一連のアカウント凍結はARゲームに無関係な芸能人のなりすまし、以前からブラックリストにしていたアカウント、更にはジャパニーズマフィアのアカウント――。

考えて見れば、ARゲーム関係の大量凍結は問題視されていたアカウント削除の『ついで』だったのかもしれない。

ニュースの方でも、あくまで問題のあったアカウントの削除が行われた事実は報道されたが、ARゲームに関しては『触れない』と言う意見が出たのだろうか?



 4月18日午後6時、他のニュースでは特に大きな物はなかったのだが、芸能人の不祥事やスキャンダルと言った物は国営のニュースでは報道されない。

過去には有名アイドルグループの解散を報じた事もある一方で、やはりグループの知名度なども考慮される可能性は高いだろうか。

【あそこまでアカウントが減るとは予想外だ】

【スパムとして申告されていた2割ほどのアカウントは削除されたが、そのついでで凍結された数が3割とか】

【あのつぶやきサイトを悪と認識している勢力もいる位だ。企業潰しと言う可能性もあるのでは?】

【企業潰しで芸能人のなりすましアカウントを削除するのか? それはおかしい話だ】

【削除したなりすましアカウントが、二流芸能人のなりすましで――超有名アイドルの評判落としに使われていた物とすれば――】

 つぶやきサイトでは様々な事が言われていたが、どれも真実にたどり着いているとは思えない。

結局は仲間外れになりたくないという理由でつぶやきに参加し、ネット炎上や炎上マーケティング等に加担、気が付けば超有名アイドルファンが出来上がっているという――。

これらの流れが超有名アイドル商法と結びついているかどうかは定かではない。

「アカウント凍結騒動は、一種のきっかけに過ぎないだろう。一体、どの角度からARゲームを潰しにかかるのか」

 一連のタイムラインを見ていたのは、アイオワだった。彼女自身もネット神の逮捕や一連の事件はニュースで知ったのだが――。

その真相を知る為にネットを検索した結果が、これである。一体、ネット炎上で混乱させようとしている勢力の狙いとは?



 4月19日、ニュースで大きく報道されていたアカウント凍結騒動は気が付けば――と言う状態になっている。

その後、18日の深夜には超有名アイドルのグループ名を実名で書きこみ、一連の騒動は彼らのプロモーションであると言うアカウントまで出現した位だ。

このアカウントに関しての真相はアカウントがしばらくして削除された事もあって不明である。

複数あったダミーと言う説も高く、まとめサイトでも様々な情報が掲載され、ネット炎上と言うよりもネット混乱と言えるかもしれない。

【いつの間にか、ニュースでも報道していない。どういう事だ?】

【本当だ。炎上プロモーション疑惑を含めて、何も言及していない】

【芸能事務所を強制捜査でもしたのか?】

【違う。芸能事務所が捜査を受けた事実はない。ホームページでも言及されている】

【では、一体何が――】

【芸能事務所がネット炎上させるのは、日常茶飯事じゃ――】

 更にはつぶやきサイトの方でも混乱が続いているのだが、何かを書きこもうとすると続きの文字が文字化けすると言う現象が発生していた。

その文字は実在する古代文字等ではなく、古代ARゲーム文字であると言う。

これに関してはサイトが話の不具合説も有力だったのだが――単純に不具合と言うには、謎の部分も存在する。

「どういう事だ――この文字を扱える人物が、他にもいたのか?」

 つぶやきサイトで古代ARゲーム文字と言うワードが浮上している事――それが意味する物とは、一体何なのか?

朝起きたばかりの飛龍丸ひりゅうまるは、メイド服姿ではなく――いわゆるパジャマである。

「しかし、古代ARゲームに関しては存在自体が不明と言う話もあるが」

 飛龍丸はソースが不明確な古代ARゲームに関して、普通のネットユーザーが知る事があるのか――と思っていた。

歴史の授業で教科書にも書かれていたという話もあるのだが、それがどの授業なのかは言及されていない。

もしかすると、フィクションの作品で登場する学校の授業と言う可能性だってある。つまり、リアルとフィクションが混同しているのだ。



 しかし、今回の仕掛け人が明石零あかし・ぜろと言う事は、あっさりと見破られた。

彼女であればアカシックレコードにアクセス出来る事もあり、不可能を可能に出来るレベルで情報改変も余裕だと言う。

だが、明石は本当に万能なのだろうか? 戦争の歴史、戦国時代の歴史を改変出来るわけがない。

既に起きた事を改変すれば、タイムパラドックスが起きかねない。さすがに、タイムマシンでもなければ無理な芸当だってある。

それを踏まえると、明石が出来るのはネット炎上を瞬時にして鎮火する程度の可能性が高い。

起きてしまったネット炎上案件よりも、それを火消しする方が大変だと言う話は色々な人物が言及している。

「明石と言えど、完璧超人ではない。あの人物が弱点を持っているとすれば――」

 しかし、速攻で思いつくような弱点であればネットスレの住民等にも解析されるのは目に見えている。

その正体を探る為にも飛龍丸はARバイザーを起動し、ネット上で情報を調べようとしたのだが――。

「なん……だと……?」

 飛龍丸は、目の前に表示されている画面を見て驚きの声を上げるしかなかった。

彼女がアクセスしようとしていたのは、つぶやきサイトのまとめとしては有名所なのだが、そこに立てられていた記事を見て唖然とする。

【ネタバレ? どういう事だ】

【フラゲ記事やゲームの発売当日にネタバレが出るのは問題だが、そのレベルとは次元が違う】

【一体、何処をどうネタバレと解釈できるのか?】

【このままでは、ネタバレと言う単語が魔法の言葉として浸透してしまう】

【ネタバレと裁判で言えば、そこまでで審議が止まり――警察も捜査を出来なくなるような、そこまでの単語になると言うのか?】

【ネタバレと言う名の魔法の言葉――】

 飛龍丸は明石の弱点になりそうな情報を探ろうとしたのだが、それ以上に目の前に入ったまとめが気になっていた。

電車の遅延に関するニュースなのだが、駅員の説明方法に問題があったのである。

「申し訳ありません。これ以上はネタバレとなるので、遅延の理由は説明できません」

 一体、どういう事なのか? 調査中であれば引き下がるような一般客も、ネタバレと言われては激怒するのは確実だ。

電車が遅れた理由をネタバレと言う事で説明せず、更には――と言う状況は、想像を絶する程の混乱を呼ぶ。

これは昨日のニュースなのだが、今日になっても原因はネタバレが流出するのを鉄道会社が嫌っている為に情報の公表がされていない。

ニュース番組でも『ネタバレを理由に電車の遅延が説明されていない』とはっきり言ってしまっている。

このニュースには、誰もが驚きを隠せない。それ程に衝撃的な物だ。

「ネタバレ――?」

 自室のテレビでニュースを見ていた比叡ひえいアスカは、ネタバレと言う単語を聞いて衝撃を受けた。

「説明責任をネタバレと言う言葉で逃げ通せるとでも――!?」

 しかし、ここで比叡は気づいてしまった。おそらく、ネット住民が恐れるラスボスの正体を――。

ネット神の様な実在する人物ではなく、人物特定が不可能な要素がラスボスであるらしいという事である。

「それだけではない。唐突に書きこまれ始めた明かされていなかった事実も――」

 比叡が更に懸念していたのは、まとめサイト等が報道していなかった事実が次々と判明している個所だった。

WEB小説で加筆修正されている作品も存在し、ネットの情報を含めてアップデートがされているようでもある。

一体、この情報更新は何者の仕業なのか? それもネタバレと言う存在による暗躍なのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ