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リズムゲームプラスパルクール  作者: 桜崎あかり
エピソード3『比叡、出撃へ』

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エピソード3-9

2017年1月13日付:加筆調整

 4月15日、ビスマルクが立ち寄っていたファストフード店――そこではイースポーツやARゲームの観戦をメインとした店でもある。

その為、ビスマルクの行動は普通の店では冷たい目で見られるような物だが、ここでは特に問題視される事はない。

他のイースポーツ観戦が目的のプレイヤーも、下手にもめごとを起こせばネット炎上騒ぎになる事は百も承知だった為か、不干渉を貫いているのが現状である。

スポーツ観戦をメインとしたスポーツバーという物が存在するのは周知の事実だが、まさかイースポーツ版が存在するとは夢にも思わなかったに違いない。

スポーツバーの場合、無許可で中継を流したり、中には裏でギャンブルを行っている場所もあると言う話がある。

しかし、ARゲームの場合は全てがARゲームの運営公認となっているので、こうしたトラブルは起きない――と言うより、大きなトラブルは報告されていないのが正しいだろうか?

中には非合法なガジェット取引に使われている場所もあると言う話で、こうした施設の洗い出しや摘発へ動いている話も聞かれていた。

ビスマルクの立ち寄った場所では、こうした話題は触れられていない。空気が悪くなるという理由ではないが、意図的に話題を避けている可能性が高いだろう。

話題を出したら、場所によっては出入り禁止になるのは目に見えている。そうした話題はネット炎上を誘発するので禁止と言うテンポが多いという証拠かもしれない。



 午前10時50分、ビスマルクがレースにそっちのけで別の用件をこなしている頃、別の人物は店内に入って来た。

無人レジに置かれている装置にスマホをかざし、並べられていたパンの品定めをしていた。

「今の時間だと、軽めの方がいいか」

 眼帯が特徴である、その女性はミートソースサンドをスタッフに指差して取ってもらい、飲み物はアイスティーを選択、それをトレーに置いてもらい、近くの立見席に陣取る。

このお店は座るスペースも存在するが、立見席と言うのも存在していた。立ち食いそば屋等と同じような原理だが、あまり立見席を利用する人物はいない。

いたとしても、ARインナースーツ的な事情で座れない、簡単な食事で済ませる、立ち見でレース観戦雰囲気を楽しむ客が多い。

【この手の施設が歓迎されるムードはなかったのが、まさかの展開だったな】

【リアルのスポーツでも一般視聴者参加型番組が存在した。その一方で、様々な問題を抱えて打ち切りになったという話もある】

【それはイースポーツにも言えるのではないのか?】

【確かに、市場規模が未知数だったジャンルに投資しようと考える人物はいない。逆に莫大な借金を抱える可能性もあるからな】

【そうしたリスクを百も承知で開拓した結果が――今のイースポーツ市場とも言えるだろう】

【イースポーツは海外先行だが、日本でも認知されつつある。一番有名なのは格ゲーだ】

【それ以外にはFPSも認識されつつあるが――他のジャンルは?】

【デジタルカードゲームは従来のTCGよりは周知が鈍い、海外の事情に合わせるとウォーシミュレーションも反応がいまいちだろうな】

【リズムゲームは? 海外でも設置されている機種はあるのだろう?】

【確かにリズムゲームは海外でも支持されている。アプリゲームでもリズムゲームは多く、1000万人を超えるユーザーがプレイしている機種もある】

【しかし、リズムゲームをイースポーツ化するのは非常に難しい。海外で反応が悪い超有名アイドルの楽曲をメインにすれば、ブーイングは避けられない。それに――】

 アイスティーを飲みながら、眼帯の人物はつぶやきサイトで有益な情報を探す。

しかし、検索ワードを絞り込んだとしても思ったような情報は得られない。

検閲が入っている訳ではないのだが、特定ワードが出されるのを嫌っている傾向がある。

「遅いな――別の席で待っているのか?」

 ミートソースサンドを食べ終わった彼女は、アイスティーの入っていたコップも返却スペースへ返却し、別の席を探し始めていた。

彼女が探している人物、それは――。



 午前10時55分、ビスマルクのテーブルには島風朱音しまかぜ・あかねも座っていたのだが、更に姿を見せた人物がいた。

その人物は、島風がパワードミュージックの紋章を知らないという事だったのだが――。

「紋章と言うのは、いわゆるノルマの様な物だ。一定の個数を集めれば、クリアとなる」

 ビスマルクと島風の目の前に姿を見せた人物、それは眼帯が特徴的な木曾きそアスナだった。

どうやら、偶然――2人の前を通りかかったような様子だった。

その木曾はと言うと、ビスマルクのテーブルにあったたこ焼きの様な物――楊枝の刺さったそれを1個つまみ、それを口の中へと入れる。

「!?」

 木曾の表情を見る限り、口の中でやけどをしているような表情――と言うよりは、変な感触がする事に違和感を持っているのだろうか。

その味はチョコレートである。たこ焼きの中身には、たこではなくてチョコレート――それもチョコの塊が入っていたのである。

その昔、玩具入りのチョコ菓子と言う物があったが、それをたこ焼き生地にチョコレートが入った物――と言うべきか。

実際には、たこ焼きの生地と思われたのはホットケーキ、ソースと思っていたのははちみつ、青のりはチョコチップ――。

「それはチョコ焼きというスイーツだ。マヨネーズでもかけようと言うのであれば、大変な事になるが」

 ビスマルクに言われて、ようやく味に関する違和感は解けた。しかし、カロリーが高そうと別の事を考えたようだが。

そして、木曾はビスマルクのお腹をじーっと見つめる。それに対してビスマルクは何も指摘しようとはしなかった。おそらく、何かを察したのかもしれない。



 その後、木曾は島風に改めてパワードミュージックの説明を行った。

難しい説明口調で話しても、おそらくは耳に入らないので――独特の口調で話し始める。

それは、木曾がリズムゲームのプレイヤーである事も理由の一つか。

「通常ルールでは紋章が10個集まればパーフェクトクリアとなる。しかし、1個も紋章が手に入らなければ――演奏失敗だ」

「紋章を手に入れる方法、それは譜面でフルコンボを取る、一定スコアに到達、特定アクションを披露する等があるが――楽曲よってと言うか、プレイヤーによって違うだろう」

「パワードミュージックでは紋章入手が目的の一つにはなっているが、あくまでも目的の一つであって、最終目標ではない」

「パワードミュージックは自由な目標設定が出来る、カスタマイズも自由自在、プレイスタイルも特に制限がかからない――ただし、怪我をする恐れのあるアクロバットは禁止されているが」

「カスタマイズも、さすがに裸エプロンとか全裸と言った物は――ARゲームでなくても警察に御用となる。露出度の高いコスプレで盗撮事件が起こるのと、同じ原理と言うべきか――」

「それでも、試しにプレイしようと言うプレイヤーが多いのも事実だ。ARゲーム自体が、まだ未知数の部分も多い影響は受けているかもしれない」

 木曾の解説は専門用語を使いつつも、分かりやすいように若干をかみ砕いて解説している。

公式ホームページでは複雑すぎる、まとめサイトでも炎上を煽るような発言やアフィリエイト広告等が邪魔――と言う事を考えると、その分かりやすさが浮き彫りになっているだろうか。

 木曾の解説に集中していたビスマルクは、またしても2曲目のプレイを見逃してしまった。ある意味でも不覚を取ったと言える。

後から動画サイト等でアップされる動画でチェックする手もあるが、やはりリアルタイム視聴に勝るものはない。

「3曲目の曲は――!?」

 楽曲名を確認したビスマルクは、若干かたまっていた。指定していた曲のレベルは5である。

しかし、譜面のレベルでビスマルクが固まった訳ではない。問題は楽曲の方であった。

「なるほど。これは、同名の別曲ではないのか」

 木曾はビスマルクが固まった理由が若干理解できていた。超有名アイドルの楽曲に、似たような曲名があったからである。

それに対し、ビスマルクが固まっていたというのが原因である。本来、超有名アイドルの楽曲はARリズムゲームには収録不可能だったからだ。

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