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リズムゲームプラスパルクール  作者: 桜崎あかり
エピソード12『次のステージへ、ゴングを鳴らせ!』

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エピソード12-17

2017年2月23日付:加筆調整、サブタイトル修正

 午後3時50分、コースに関しての説明が行われた。

今回のコースはアンテナショップを使用した物ではなく、道路を封鎖しての特殊な物になるらしい。

コースを見て驚くのは、スタート地点がアンテナショップの目の前にある道路だからというのもあるだろう。

観客の方は心配しているが、これが自然であり当然のリアクションだ。

「このコースだと、一般道を余裕で使う――」

「この時間帯だと――非常にまずくないか?」

「自動車との接触事故なんて、ARゲームでやったらアウトだろ」

「この時間帯だと、さほど混雑はなさそうだが――」

 周囲のギャラリーも懸念するのは、一部のARゲームでは普通に行われていた一般道の使用に関してだろう。

実際にARゲームのプレイはアンテナショップと併設されたフィールド、ARゲーム専門のゲーセン等と限定される。

「今回のコース設定は運営に通したコースではないが、警察には道路の使用許可を得ている。相当な迷惑行為ではない限りは――思いっきり走ってこい」

 大和朱音やまと・あかねの発言は、ある意味でも衝撃的だった。

ARパルクールで一般道を使うケースや廃墟のビルを使用するARFPSも存在するのだが――。

それでも、危険なプレイやアクロバットを容認している訳ではなく――ルールを守ってプレイする範囲であれば問題はない。

この辺りはARゲームでも限られた空間でのプレイを想定して作られたガイドラインを、比叡ひえいアスカが変更するきっかけを与える結果となり――。

「まさか、このコース設定は警察の強制捜査等を?」

 この一言は日向ひゅうがイオナから出た。彼女の方は致命傷ではないので、怪我の方は問題なさそうである。

ARアーマーの耐久性が凄いことの証明になるのだが――。

「警察の強制捜査に関しては、考慮していない。あくまでも緊急車両の通行等を考慮した物だ」

 日向の疑問に答えるような形で大和が言及した。

どうやら、『こんな事もあろうかと』ノ系列ではない模様である。



 レースの開始は午後4時と言う事になった。これは道路整備や交通整理等の関係を考慮した物だ。

ARゲームに一定の理解をしている草加市だからこそ可能だったとも言えるだろう。

「ここまでの理解を得るために、どれほどの時間を必要としたのか――超有名アイドルの芸能事務所やネット炎上勢力は何も理解していない」

 大和は拳を握りながら震えているようでもあった。武者ぶるいというわけでなく、おそらくは――。

「結局、我々は超有名アイドルや芸能事務所等の仕業と思いこむ事で、別勢力のやろうとしていた事に加担していた――」

 突如として、隣に姿を見せたローマが話題を切りだした。

彼女も、一部勢力がタダ乗り便乗と言う名の炎上行為をしようとした事を目撃しており、それを止められなかったという事に対して後悔をしている。

「プラシーボ効果的な――確かに、そう言う風に読み取る事も出来るだろう。アカシックレコードにも、そう記されている」

 大和も一部の炎上勢力を捕まえた結果として、そう言った言動があった事をニュースや記事等で確認はしていた。

しかし、それが本当にアカシックレコードにも記されているが――事実なのだろうか、とも考える。

「アカシックレコードこそが絶対正義である――こうした思想は、どのジャンルにでも存在する。そうした考え方をするような勢力と言うよりも、人物を魔女狩りする時代が来るのか?」

「それを阻止しなくてはいけないのが――我々ARゲームのスタッフだと思う。イースポーツ化とカジノを結びつけたり、まとめサイトで炎上させて芸能事務所から報酬を得る――そういう天の邪鬼的な発想こそ――」

「その発想をするべきではなかった――という理論に到達するような悲劇を生みださない事は、運営だけでなくプレイヤーにとっても義務だと思う」

「ARゲームを最初に考案した人物は、アカシックレコードに記述を残して何をしようとしたのか?」

 大和は唐突にアカシックレコードに関して衝撃的な発言をする。

おそらく、直接的にアカシックレコードEに言及をした訳ではないのだが――その発想はEの発想にも近い物があった。

「何もしようとは思わなかった。おそらくは、自分の考えているARゲームが理想通りに拡散しているか――それを知りたいと思ったのかもしれない」

 それに対し、ローマはこう切り返した。やけにあっさりしているのかもしれないが――そうとしか考えようがないと言うべきか。

「アカシックレコードのARゲームが一次創作、リズムゲームプラスパルクールを含めた――この世界のARゲームは二次創作、と言う事か」

 大和の方もメタ発言をするのだが、それに対してローマは何も答えようとはしない。

おそらく、フジョシ勢や夢小説勢、その他の勢力も――公式のARゲームから二次創作を行い、それを誰かに見せたいと言う欲望があったのだろうか。

しかし、様々な事件や紆余曲折――そうした流れがARゲームは悪と言う印象を決めつけようとした。

その悪となったARゲームを超有名アイドルが撃ち負かすことで、唯一神思想を絶対にしようと言う可能性もあったのだろう。

「今となっては、それを考えるのも野暮と言う事か。ARゲームの未来を作る為にも、試練は必要だった――で片づけられるのかもしれないが」

 その一言を残し、ローマは大和のいる場所からスタート地点に近い場所へと移動する。

「ARゲームにとって、その試練は非常に代償が大きかったと言うべきだろう。これによって、今までのプレイヤーが離れる可能性もあるが――」

 大和は涙を浮かべそうな表情で、さっきまで拳を作っていた右手を開く。

全てのプレイヤーが賛同するようなARゲームを作りだすのは、ネット炎上等の不確定要素がある限りは不可能に近い。

それが実現できないという意味ではなく、100%賛成だと不正や買収などを疑われるという意味だろう。

それならば、現状で残ってくれるプレイヤーの為にも――ARゲームをよりよく運営していくのが、今出来る事の全てかもしれない。

理想のゲームバランスは人それぞれだろうが、中には一部のバランスブレイカーを残すべきと言う話も出ている。

しかし、それを悪用して賞金を荒稼ぎされては不公平が出るという風に大和は考えていた。

だからこその――あのガイドラインだったとも言えるかもしれない。

周囲からは保護主義的とも非難されていたのだが、最終的にはネットで風評被害が出るのも草加市に迷惑がかかると考えた末の結論だったのかもしれないだろう。

「自分達が神運営だと自惚れる――それがファン離れを加速するのであれば、どのような手段を取るべきだったのか」

 大和は悩み続ける。しかし、その答えは今すぐに出すべき物なのか? たった一人が答えを出してもよい物か?

それでは政治家を買収し、自分達の意見を強引に押し付けた芸能事務所及びネット炎上をさせてライバルコンテンツを抹殺しようとした勢力と変わりないのでは――と。

選択の時は、そこまで迫っている。大和は、どのような選択でARゲームを変えていくのか?

「人はソーシャルゲームに限った事ではないが、神運営を求める。しかし、それは本心で求めているのか?」

 大和は改めて考える。ARゲームは全てが神運営でなければいけないのか?

チートプレイが横行するようなアウトロー状態でも、ネットが炎上するのは避けられない。

やはり、バランスと言う物が重要と言う可能性は否定できないだろうか?

「違法行為が横行するのは認められない。それこそ、テレビ番組の違法アップロード等のコンテンツ流通を阻害する行為をチェーンソーでバラバラにすると言う例の動画は――」

 大和は例のチェーンソー姫を認める訳ではないのだが、違法行為に関しての制裁方法は――やり過ぎても逆効果だと感じている。

実際に違法アップロードをチェーンソーでバラバラ――というような恐怖を植えつけたとしても、それをARゲームのチートプレイの抑止に応用できるかと言うと、答えはNOだろう。

ARゲームにはARゲーム独自のやり方を模索する必要性がある。それこそ、アガートラームを使用する部隊や自警団的なガーディアンの存在――それこそが、ARゲームに必要なのかもしれない。


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