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リズムゲームプラスパルクール  作者: 桜崎あかり
エピソード12『次のステージへ、ゴングを鳴らせ!』

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エピソード12-15

2017年2月22日:加筆調整、サブタイトル修正

 午後3時35分、アンテナショップに集まっていたメンバーおよび観客の前に姿を見せたのは――。

「まさか、ここで不覚を取るとは――」

 ARバイザーが損傷してフェイスオープン状態となり、各種アーマーも損傷していた日向ひゅうがイオナだった。

彼女は別件である勢力に呼ばれ、そこでアイドル投資家を初めとした勢力を文字通りに一掃する。

しかし、ガーディアンへ投資家勢力を引き渡し、その足で草加駅近くのフィールドへ向かう道中――その時に事件は起こった。



 今から30分前の午後3時5分、リベッチオと比叡ひえいアスカのバトルでリベッチオが勝利した事が伝えられたのは、このタイミングである。

「貴様は――!?」

 日向の目の前に姿を見せたのは、自分の知っているARゲームプレイヤーではない。

だからと言って、超有名アイドルファン等とも違う装備をしていた。この人物の装備はチートの部類ではなく、間違いなく公式の物である。

『日向イオナか――お前にかまっている暇はない』

 男性声のボイスチェンジャーアプリを使っているようだが、装備的に男性とは思えない。

軽装の装備にブレストアーマーや一部装備でごまかしているが、アーマーの下にはクノイチを思わせるインナースーツ、それに――。

「ARガジェットのトライアルと言う事か」

 日向は、ふとネット上の噂になっているARガジェットのトライアルテストに関して思い出した。

『こちらとしても下手にランカーと争う事はしないが――』

 向こうの方は日向と分かっている為か、下手に関われば自分達にも風評被害で炎上すると思っているらしい。

「争う事はしない――? その割にはネット炎上勢等を魔女狩りしているのは、どういう事かな?」

 ゲームでもロケテストが各所で行われているが、そこで使用されているのは新型と言っても1世代前のガジェットが使用されている。

最新型や試作型ガジェットは危険性やバグ等の不具合と言った物を解消してから、アンテナショップに並ぶと言う。

ネット炎上勢やフジョシ勢、夢小説勢や超有名アイドル等が使用しているガジェットはチート仕様と言う事で、特定の機種に依存しない。

それでも、彼らはガジェットトライアル部隊と戦おうとはせず、敢えて逃げの戦術を取っていた。

最新型ガジェットにはチート装備でも勝てないと分かっているから。

『一部勢力は、こちらの装備を見て逃げる一方だったが――お前は逃げないのだな』

 トライアル部隊の一人は、戦車のキャタピラを剣にしたような武器を構える。

このガジェットは、日向の所持しているガジェットよりも最新型に位置していた。

「こちらはチート装備ではない。チートや不正アプリをインストールしていれば、対策された最新ガジェットに勝てるはずもないだろう」

 日向の一言を聞き、トライアル部隊の一人はにやりと笑う。その表情はARバイザーで見えないわけだが。



 そのガジェットトライアル部隊――彼女たちの事をネット上では、こう呼んでいた。

「チーム・アガートラーム。共通して、銀の腕を装備した部隊だ――」

 その名前を聞いてざわつくのは、周囲のギャラリーだけだった。逆に言えば、ビスマルク達が驚くような事はない。

何故かと言うと、既にアガートラームの使い手を目撃していたからだ。それがアイオワなのは――周知の事実だが。

「彼女達が動いているという事は――超有名アイドルやネット炎上に関係する一連の事件も、解決に向かっている証拠か」

 アイオワが冷静に解説をするのだが、その反応に関して日向は凍りついたかのような反応をする。

彼女達はチーム・アガートラームに関して何も怖いと感じていないのか? ARガーディアンよりも強力な勢力を――。

日向はアイオワがアガートラームの使い手と言う事実は知らない。それが、この反応の違いを生み出していると言っても過言ではない。

「それを恐れない理由――教えてやろうか?」

 木曾きそアスナは、日向に対してビスマルク達がチーム・アガートラームを恐れない理由を教えようとしていた。

「あれだけのチート勢力を運営は放置するのか?」

「彼女達はチートを使っていない。それに、アガートラームはチートに対しての圧倒的抑止力――」

「アレを抑止力と言うのか?」

「チートに対してしか発動しない圧倒的パワーを――彼女達が恐れると思うのか?」

「チートに対して? それは一体――」

「アガートラームはチートや不正アプリ等の不正行為に対しての制裁手段と言うべきものだ。ソシャゲいう所のアカウント凍結等に該当する」

 ビスマルク達がアガートラームを恐れない理由、それは単純な物だった。

チートを使っていないプレイヤーであれば、彼らは無縁の勢力だからである。

「あれだけの力が制裁と言うのか? あの力はまるで、戦争を起こせるほどの――」

 日向は、それでもアガートラームの力に関しては疑問を持っていた。

その力は自分の想像に追いつかない程の物を持っていたからである。

「あれを制裁と思うのであれば、チート勢力が今まで行ってきた事は何だ? それこそブーメランではないのか」

 木曾はアガートラームを恐れる事はない。実際の威力は正規ガジェットを使っているプレイヤーであれば、恐れるような数値ではないからだ。

アガートラームのワンパンチ撃破を別の動画で見た事のある日向は――別の意味でもその威力を恐れている。

「あの動画を見て恐れるようなチートプレイヤーは、正規プレイをするように引き返すべきだ。それこそ、コンテンツ流通の阻害となるテレビ番組の違法アップロードを根絶する為に、あのチェーンソー姫を――」

 ビスマルクははっきりと断言した。チートプレイヤーがゲームバランスさえも崩壊させているという事実が――。

ビスマルクもチェーンソー姫に関しては情報を聞いたばかりなのだが、何となくパロディCMらしき物を正規ルートで配信されている動画で見た事があった。

そこで伝えようとしているメッセージは、ビスマルクのそれと似ている可能性はあったのである。ジャンルの違いはあるのかもしれないが。



 午後3時40分、彼女たちの前に姿を見せたのは――大和朱音やまと・あかねである。

しかも、彼女の装備は戦艦大和をイメージしたARガジェット――つまり、別の用事をこなしながらここまでやって来たのだ。

「レースに関してだが、1曲勝負で行う」

 大和の発言を聞き――周囲がどよめく。しかし、数秒後には歓声に変わっていたのだ。

この変化は別の意味で驚く光景かもしれないが、ARゲームではよくあることとしてツッコミしない人が多いのが現実だろう。

「リズムゲームプラスパルクールの運営は、警察の強制調査の対象外だが――」

 大和が不穏な発言をするのだが、その辺りの詳細は敢えて突っ込む事はしない。

おそらくは、チーム・アガートラームが上手くやってくれるだろう。

「天津風や飛龍丸、明石が該当していたな――」

 リベッチオは、大体の事をネット上のタイムラインで目撃し――その上で真相を知ろうと実況者になり、ARゲームを調べていたのかもしれない。

それが――本当の自分なのかどうかは、まだ分からないが何となく周囲の反応で読めるかもしれない。

「強制調査を受けたメーカーは、芸能事務所とパイプを持っていた所だけ。あのメーカーは問題ないはず」

 ビスマルクは、心配は無用と言う様な表情でリベッチオと大和に話しかける。

「やはり、あの映像も偽物だったという事か――」

 ご都合主義と言うよりも、あの場合は超有名アイドルがデウス・エクス・マキナだと証明する為に用意されたトリックだったのかもしれない。

他人になりすまし、ネットを炎上させ、リアル世界も混乱させる――それが超有名アイドル商法の正体だったのだろう。



 そして、決勝のレースが始まろうとしていた。大和が指定した楽曲は――。

【アーカイブ・コンフリクト】

 まさかのオリジナル楽曲である。見た事のないジャケットには驚きを――と思ったが、ジャケットは真っ黒に銀の文字と言う物だった。

おそらくは仮ジャケットであり、正式の物は後日発表と言うケースかもしれない。

「ジャケットに関しては――未完成と言う訳ではない。レースが始まれば、分かる」

 大和が指定した楽曲、それは全くの新曲だった。

曲名も見覚えがないものだったのだが、ビスマルクは何かのデジャブを感じている。

「コンフリクト――まさか!?」

 もしかすると、彼女はまたもや同じような結末を繰り返すのか――と。

似たような曲名は別のリズムゲームでもあるのだが、そこで起こった事件の繰り返しがここでも起きるのではないか――。

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