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リズムゲームプラスパルクール  作者: 桜崎あかり
エピソード12『次のステージへ、ゴングを鳴らせ!』

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エピソード12-12

2017年2月20日付:加筆調整、サブタイトル修正

 午後2時、アイドルプロデューサーの逮捕が一斉に報道される。

しかし、あるテレビ局は洋画を放送しており、視聴者はそちらへ流れている傾向だ。

その状況下で、唐突にある映像がARゲームのセンターモニターを通じて流れだした。

『何も起こりはしないよ。壮大に何も始まらない――全ては超有名アイドルファンが自分達の欲望や利益を優先して、コンテンツを炎上させた段階で』

 センターモニターに時限装置でも付いていたかのように流れだしたメッセージ動画、そこに映し出されていた人物は何とビスマルクだった。

厳密にはビスマルクを思わせるコスプレイヤーと言うべきか。声はビスマルクと同じだが、ボイスチェンジャー等を使っている可能性も高い。

それに、ビスマルクがレースに参戦している中でこの映像が流れる事にもおかしい物があった。

この映像が生放送ではなく、事前収録された映像であれば動画の人物がビスマルクでも問題はない。

しかし、映像の人物は顔を意図的に見せないようなアングルでカメラで撮影している。この段階で作為的な物があるのは明白だろう。

その目的は単純に風評被害狙いであれば、超有名アイドルに対して批判的なメッセージを与えるであろう彼女を起用するのは間違っている。

むしろ、ARゲームの運営妨害辺りが動画の流れた理由と察する人物が若干多い。

『あのときにも言ったはず。今度は同じことの繰り返しにならないように――我々が正さないといけないのかもしれない――と』

 この部分では、若干だが映像にノイズが混ざっているような演出があった。何故、このような回りくどい手を使ったのか?

様々な疑問は浮上するのだが――この動画を作った人間がアイドル投資家等の様な素人とは考えにくい箇所もある。

何故かと言うと、彼らは既に別の手段で超有名アイドルが唯一神だと言う洗脳放送とも言えるような事を過去に行っており、今回も――。



 午後2時35分、アイドル投資家やアイドルファン等が協力し、洗脳放送を行っていたという事実がネット上でも拡散され、超有名アイドルに対する風当たりは悪くなっていく。

このような報道がある度に思うのは、悲劇と喜劇の繰り返し――それこそ1年で新番組に切り替わるような特撮ヒーローシリーズ等を思わせる。

こうした繰り返しが本当に、コンテンツ流通の為になるのか?

本当にコンテンツ流通を正しい物にするのであれば、炎上商法の様な手段をどうして使うのか?

炎上商法の議論をしていても――ある意味でループとなり、結果が出てくる事はない。それこそ、コンテンツ流通の阻害にしかならないだろう。

炎上商法を政治献金や超有名アイドル投資に利用している事例は海外でも問題視されている――にも関わらず、この話題を今になって更に切り出そうとする。

結局、これらの議題をわずか数人の人間で解決する事自体が不可能だったのか?

これらの議題を表にする事で、ネット上で新たなルール作りを試みようとしたのが、ビスマルクの例の動画であり、ガーディアンの行動でもあった。

最終的に、これを別の形で実現させたのが比叡ひえいアスカ、秘密裏に敵対勢力を潰していったのが天津風あまつかぜいのりや飛龍丸ひりゅうまるだろうか。

別のカテゴリーから問題点を洗い出そうとしたのは、もしかするとガーディアンの一部やヴィザールの様な存在かもしれない。

 ビスマルクのメッセージ動画、ARゲームについて語った動画――その真相はネット上でもまとめサイトに取り上げられた事はある。

しかし、それらが正しい意味、あるいは当初の目的通りに取り上げられた事例はない。

大半が超有名アイドルの海外進出を妨害、国際スポーツ大会等にも影響が出かねないと――超有名アイドルのステマ記事と化していた物がほとんどだったと言う。

「結局は、そのメッセージを正しい意味で理解しなかった結果――今回の様な展開が起こった。その警告を聞き入れれば、一部勢力の政治利用にコンテンツが使われる事もなかったのだ」

 この警告を以前から分かっていたのは、大和朱音やまと・あかねだった。

一連の行動は、ビスマルクの警告動画以前にもアカシックレコードで知っていたのだが、その作業を急ぐ必要性が出たのはビスマルクの動画が出回ってからだ。

しかし、ビスマルクの動画が拡散してからでは遅かったのかもしれない。

それとは別に保護主義を掲げるような勢力、一部のコンテンツだけが生き残ればいいとして暴走するファン――こうした動きは動画拡散前にも事例があった。

分かっていないがらも放置した大人たちにも責任がないとは言い切れないだろう。こうした負の遺産は、やがてブラックマーケットに悪用されてしまうのは明白だ。

ビスマルクは、そこまでの結末になる事を知っていたからこそ、あの警告動画を作ったのかもしれない。

「ビスマルクの動画が作られた理由――警告と言う意味だとしても、それは我々の憶測だ。パフォーマンスと言う勢力もいれば、過激派の発言と切り捨てる少数意見もある」

 大和の考えも、理由と思われる一つにすぎない。それは自分でも分かっている。

だからこそ、今までのコンテンツ流通を阻害してきたネット炎上を放置した事に――責任を感じていたのかもしれない。



 午後2時40分、トーナメントBの会場では――。

『現在、決勝レースの進行で著しい妨害行為があった事が確認されております。既に審議を始めておりますが、正式発表までしばらくお待ちください』

 アナウンス内容には誰もが耳を疑った。スコア順位は、1着でゴールしたビスマルク、2着にはリベッチオ、3着には島風朱音しまかぜ・あかね、4着は比叡ひえいアスカと言う順位に決まっている。

なお、ローマとヴェールヌイはスコア差でリザーバーが確定し――この結果だと、ビスマルクとリベッチオが決勝ラウンドと言う事になるだろうか?

しかし、そのレース進行中にノイズ、妨害行為に近い狙撃等が行われたと言う。

狙撃を行ったスナイパーは既に撃破したというのだが、その際の狙撃で島風が負傷し、ARガジェットの方も故障してしまったようだ。

「あのスナイパーの正体、分かっていたのと違うか? 比叡――」

 比叡の方に向かって接近していたのはリベッチオである。握った右手の拳で殴り飛ばしたい気分でもあった。

しかし、ここで乱闘騒ぎになればARゲームが炎上するのは目に見えており、それこそ別勢力にネット炎上のネタにされてしまう。

こうした事情もあって、リベッチオにはやりきれない気持ちもあった。

どこにぶつければいいのか分からない怒りは、やがて暴走し始め――。

「スナイパーに関しては審議をしているはず! これ以上、ARゲームの場を荒らして、それこそネット警察を名乗るつもりなの――実況者は」

 比叡の一言を聞いたリベッチオは、遂に怒りを爆発させた。

何と、背中のブーメランを展開し、それを比叡に向けたのである。この行動が狙いだと言う事を知らずに。

そして、投げる訳ではなく比叡のARメットに突きつけていた。明らかな脅迫とも言えるような流れである。

「実況者が芸能人みたいに有名になりたいがためにゲーム実況をしていると思ったら、大間違いよ! それに、実況者に対する風評被害は悪意ある信者やフジョシ勢の――」

 リベッチオは、遂に切れたと言うべきだろうか。ARガジェットでプレイヤーに傷を負わせる事はデスゲームを連想すると言う事で禁止されている。

これは以前のガイドラインにもあった項目だが、改訂後も健在だった。その為、リベッチオが比叡に傷を付ければ――アカウント凍結どころではない。

「それで同情を得たいと言うのであれば、それは私が過去に犯した過ちと一緒――自覚のない荒らしと変わらない」

 比叡の方は、哀しいような眼でリベッチオの方を見つめている。

しかし、この表情はARバイザーの影響もあってリベッチオには見えていないだろうか。

「――ならばARゲームで決着を付けるのは、どうかしら?」

 リベッチオの一言、それは――別の意味でも場の空気に乗せられたというべきなのかもしれない。

比叡は、それを引き出す為に演じていた訳ではないのだが、今の状況だとそう言う風に読みとられても仕方ないのだろう。

ネット上では悪意を持ってネット炎上させるような人物もいる。それを炎上マーケティングと言う人間もいるが――。

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